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気候変動枠組条約とは?締約国会議や京都議定書・パリ協定について

世界を揺るがす気候変動に対応するため、現在までに気候変動枠組条約と呼ばれる約束ごとが国と国との間で締結されています。

また気候変動枠組条約のなかでも、とりわけ有名なものが「京都議定書」と「パリ条約」の2つです。それぞれの違いも含めて触れていくので、環境問題への理解や、日々の地球温暖化対策への動機付け、目標作りなどに、ぜひ役立ててください。

気候変動による影響

豪雨でごみだらけになった場所

現在地球上では、地球温暖化を主な原因とする気候変動で自然環境や生態系、人々の生活にさまざまな影響が出ています。

気候変動の主な例として挙げられるのは、平均気温の上昇です。実際に2021年の日本の平均気温は、1991~2020年の30年間での平均値から0.61℃上昇しています。日本の年平均気温は、様々な変動を繰り返しながら上昇しており、長期的には100年あたり1.28℃の割合で上昇しています。

気温差はわずかなものに思われますが、実際には真夏日も猛暑日も増加傾向です。日本ではゲリラ豪雨と呼ばれる激しい雨が頻発するようになりました。世界的にも頻繁に水害が発生し、雪の降る地域では大雪の増加も報告されてきました。

気候変動とよく似た言葉に「異常気象」があります。異常気象は数ヶ月程度の変化を指すのに対し、気候変動はさらに長期的なスパンでの変化を指す言葉です。

気候変動枠組条約とは?

粘土でできた地球と気温上昇を示す赤いグラフ

気候変動枠組条約(UNFCCS)とは、国際的な取り組みとして地球全体で気候変動への対策にあたる条約です。この条約が国連総会で採択されたのは1992年で、1994年から発効しています。

気候変動枠組条約では、条約の目的のほか、これまでの経緯を簡潔にまとめ、全世界をあげた気候変動への対応の必要性を確認しています。条約の最大の目的として「温暖化防止のため大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させること」を掲げています。途上国を含めたすべての締約国に対して、温室効果ガス削減に対する具体的な計画の作成と実施、排出量および吸収量の実績公表が義務付けられています。

さらに日本など先進国には、追加義務として温暖化防止のための政策措置や、途上国への資金供与、技術移転の推進などが規定されました。

気候変動枠組条約締結国会議(COP)とは

気候変動枠組条約締結国会議、通称「COP(コップ)」は、気候変動枠組条約の締結国が、条約では定められていない温暖化ガスの具体的な削減義務など、細かな部分を話し合うために設けられた締結国会議です。COPは「Conference of the Parties」の略で、第1回のCOPは1995年3月にベルリンで開催された後、通常は年に1回、世界各国で開催しています。

COPにおいて最初の大きな議定書締結が行われたのが、1997年12月に京都で開催されたCOP3、第3回締結国会議です。この会議では「京都議定書」が採択され、その後の地球規模の温暖化対策における広い意味でのガイド策定となりました。

COP3採択【京都議定書】

先述のとおり、1997年に京都で開催されたCOP3において採択された議定書が「京都議定書」です。2020年までは、気候変動枠組条約における条項達成のための具体的枠組として機能していました。

京都議定書では、2008年〜2012年の間で先進国全体に二酸化炭素の削減目標が定められました。内訳として、日本が6%、EUは8%、他にロシアやオーストラリアなどの先進国が具体的な数字を課せられています。一方、京都議定書では途上国への削減義務が求められていませんでした。

京都議定書については2001年にアメリカが、2012年にはカナダも脱退しています。また当初、2013年〜2020年を第二約束期間として新たな目標を定める予定でしたが、先進国と途上国との間で齟齬が起こるなどで採択ができず、さらにキャリーオーバー規定の問題(※)もあり発効が見送られました。

※第1約束期間に京都議定書において設定された削減目標を上回って削減した場合、その余剰分を、どれくらい、第2約束期間に繰り越すことを許すかという問題

COP21採択【パリ協定】

パリ協定は、京都議定書のいわば後継となる新たな枠組みとして、2015年にパリで開催されたCOP21(第21回締結国会議)で採択された協定です。

パリ協定の最大の意義は、196カ国すべての締結国がもれなく温室効果ガス削減に取り組むことを定めた点にあります。先進国も途上国も公平に温室効果ガス削減を義務付けられたという点で、歴史的な採択となりました。

パリ協定は気候変動対策として、世界の平均気温の上昇を「産業革命以前に比べて2℃より充分低く保つこと」「努力義務として1.5℃に留めること」を定めています。先進国も途上国も、温室効果ガス削減について5年ごとの成果報告を行わなければなりません。これらの規定には法的拘束力があるとされ、史上初の実効的な協定となりました。

なお2021年に英国で開催されたCOP26では、パリ協定における合意を実現するための具体的なルールブックが策定されています。

世界の協力で地球温暖化・気候変動にブレーキを

両手のうえに青い世界地図が浮かんでいる様子

気候変動枠組条約で規定されているように、地球温暖化や気候変動を緩やかにするためには世界全体の努力が必要とされています。私たち個人もまた世界全体の一人として、温室効果ガス削減に取り組むことが大切です。