近年、日本では集中豪雨や大型の台風などの異常気象が頻繁に発生するようになりました。
これらの異常気象の発生には地球温暖化などが大きく影響しており、日本のみならず世界中の国々が気候変動対策に取り組んでいます。本記事では、日本が取り組んでいる気候変動対策への具体例を紹介しつつ、気候変動の原因や問題、SDGsの概要について解説します。
目次
世界の気候変動とは
気候変動とは、地球の気候が時間の経過とともに変化する現象を指します
これは、人間活動によって増加している温室効果ガスの排出が主な原因だとされています。
実際に、地球温暖化が進行し、極端な気候現象や海面上昇などの影響が広がっています。
その結果として、生態系や農業、水資源等に大きな影響を与えており、今後の深刻化が懸念されています。
「地球温暖化対策」についての具体的な内容は、下記の記事をご参照ください。
https://accel.e-dash.ioarticle_0090/
気候変動の対策には、温室効果ガスの削減や再生可能エネルギーの利用、森林保護などが重要で、国際的な協力と継続的な取り組みが求められています。
気候変動に日本が取り組んでいる対策は?具体例を紹介!
日本が取り組んでいる気候変動への対策には、主に以下のようなものがあります。
・化石燃料の使用を控える
・ガソリンの使用を控える
・カーボン・オフセットを活用する
それぞれについて詳しく解説します。
日本の対策:化石燃料の使用を控える
気候変動は、主に二酸化炭素などの温室効果ガスの排出が原因のため、二酸化炭素の排出量削減は有効な対策です。
そのため、二酸化炭素を排出する化石燃料の使用を控える必要があります。
そこで、日本は対策として化石燃料の使用量削減を目的とした、火力発電の低炭素化を推進しています。具体例では、火力発電における高効率化技術の開発・導入や、電力システムの再構成および、それに応じた火力発電の設備容量・発電電力量の低減などがあります。
また、「バイオマス混焼」も本格的に運用を開始しています。
バイオマス混焼とは、バイオマス燃料と石炭を混ぜて燃焼させることを指し、バイオマスの有効活用により化石燃料の使用量を削減できます。
日本の対策:ガソリンの使用を控える
同様に、ガソリンの使用を控えるために、日本は対策として自動車の電動化の推進や車の使い方の変革を掲げています。
遅くとも2030年代半ばまでに「乗用車新車販売で電動車100%」を実現できるよう、包括的な措置を講じています。具体例では、燃費規制の活用や充電インフラ拡充・導入などの「電動車・インフラの導入拡大」、大規模な投資支援や軽自動車・商用車の電動化などの「電池・燃料電池・モータ等の電動車関連技術・サプライチェーン・バリューチェーン強化」、電動車の選択・利用の促進や自動走行・デジタル技術の活用などの「車の使い方の変革」を今後の取り組みとしています。
日本の対策:カーボン・オフセットを活用する
カーボン・オフセットとは、排出される温室効果ガスを相殺するために、温室効果ガスの削減活動に投資を行う考えです。温室効果ガスの排出を削減する努力をしたうえで投資を行います。
削減活動への投資は、任意の削減活動のクレジットを購入することで行われます。投資によって多くの資金が循環することで、更なる温暖化対策が実現できるようになるという仕組みです。
「カーボン・オフセットを、誰もに開かれた選択肢へ」をコンセプトとして「e-dash」が提供しているものに「e-dash Carbon Offset(https://carbon-offset.e-dash.io/)」があります。
e-dash Carbon Offsetは、これまで購入が難しかったクレジットを誰もが簡単に購入できるマーケットプレイスです。
特別な会員登録や月額利用料なしで利用できるため、誰もがカーボン・オフセットを活用できます。
e-dash Carbon Offsetホームページ:e-dash Carbon Offset|ホームページ
気候変動に対する日本企業の対策は?
多くの日本企業が気候変動対策として様々な取り組みをしています。
実際にどのような対策をしているのか、5つの企業を紹介します。
リコーの対策
リコーは環境保全活動と経営活動を同時に実現するために、全グループでの環境負荷の削減と地球の再生能力の向上に取り組んでいます。
2030年までに事業に必要な電力を50%再生可能エネルギーに切り替えること、2050年までにバリューチェーン全体の温室効果ガス排出量をゼロにすることがグループ全体の目標です。
具体的な対策として「製品・ソリューションによる二酸化炭素の削減」、「事業活動における排出物・水の削減」、「事業活動における環境影響化学物質の使用量・排出量の削減」、「生物多様性の保全・回復」、「環境技術開発の推進」などを行っています。
パナソニックの対策
パナソニックは、健全な社会発展に貢献することを経営理念とし、地球温暖化防止や資源循環など、持続可能で安心・安全な社会を目指した取り組みを進めてきました。
現在は「Panasonic GREEN IMPACT」の実現に向けて取り組みを進めています。
具体的な対策として「クリーンなエネルギーで安心してくらせる社会づくり」と「持続可能な社会を目指した事業推進」を行っており、蓄電池技術の開発や水素をエネルギー源として電気をつくり出す燃料電池技術の開発、再生可能エネルギー発電設備の自拠点導入などに尽力しています。
オリックスの対策
オリックスは変化し続ける社会において、サステナビリティを意識した経営を行っています。
主な対策として「再生可能エネルギー事業の積極的な推進」、「事業による温室効果ガスの削減」、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言」を掲げており、2050年3月期までに温室効果ガス排出量を実質的にゼロにすることを目標としています。
TCFDへの取り組みを進めることは、サステナビリティ推進基盤の確立にも有効であると考え、特に気候変動との関連性が高い環境エネルギー、不動産、自動車の3つの事業のシナリオ分析を実施しています。
富士通の対策
富士通は「自然と共生するものづくり」を体現するため、環境保全を経営の最重要事項の一つに位置付けています。「サステナビリティ経営委員会」のもと、環境に配慮した経営を行っています。
2050年までに二酸化炭素ゼロエミッションの達成と、脱炭素社会の実現および気候変動対策への適応に貢献することを目標とした「FUJITSU Climate and Energy Vision」を掲げており、温室効果ガス排出量や再生エネルギー利用に関する中長期目標を設定しています。
「事業拠点における温室効果ガス排出量の削減」、「データセンターの電力使用孤効率改善」、「再生可能エネルギーの利用量拡大」を環境行動計画として推進しています。
LIXILの対策
LIXILは住まいづくりのあらゆるプロセスで環境に配慮した取り組みを行っています。
特に、水資源の持続可能性を追求しており、水まわり製品のリーディングカンパニーとして価値を創造しています。
具体的には「節水型トイレの開発」、「節水・浄水関連製品の開発」、「水まわり環境のサポートシステムの提供」などを行っています。
また、事業活動における水使用の効率化と水質保全にも力を入れています。生産拠点における水リスクを調査するため、2017年3期から水を使用する生産拠点67拠点において、水リスク調査を実施しています。
世界各国が進める気候変動対策
世界的に気候変動対策が取り組まれています。その中でも、温室効果ガスの削減が重要です。
そのため、再生可能エネルギーの普及が重要で、各国で太陽光や風力発電の導入を進め、国や地域ごとに目標を設定しています。
また、省エネルギー技術推進として、交通機関などのエネルギー効率を向上させる取り組みやアマゾンやコンゴ盆地などの熱帯雨林の保全等、様々な方面に対策を行うことで持続可能な地球環境の実現を目指しています。
このように、気候変動対策は世界が連携して取り組みを行っています。
気候変動に直結する主な3つの原因
気候変動は様々な原因により引き起こされていますが、その中でも気候変動に直結する主な原因が以下の2つです。
・温室効果ガスの排出
・森林破壊
それぞれ見ていきましょう。
温室効果ガスの排出
温室効果ガスが排出されると温室効果ガスが地球を覆い、太陽熱が閉じ込められてしまいます。
温室効果ガスは本来、大気を温めて地球を温暖に保つためになくてはならない役割を持っています。しかし、温室効果ガスの大気中の濃度が急激に増加したことで地球温暖化が進み、気候変動が引き起こされるのです。
特に化石燃料の消費は、温室効果ガス排出の大きな原因になります。日本でも脱炭素社会に向けての取り組みを進めてはいるものの、現時点では電力のほとんどは石炭や天然ガスを燃やす火力発電でつくられており、それによって二酸化探査が発生してしまっています。
森林破壊
建築物や農地などを作るために森林を伐採すると、樹木に貯蔵されていた二酸化炭素が放出されてしまいます。
また、樹木は二酸化炭素を吸収する役割を持っているため、森林破壊は二酸化炭素の放出を抑える力の低下を意味します。
気候変動がもたらす生活に影響する5つの問題
気候変動は、私たちの生活にも影響を及ぼします。
気候変動がもたらす生活に影響する問題は以下の5つです。
・生態系に影響が現れる
・自然災害や異常気象が増加する
・水質の悪化や水が不足する恐れがある
・農作物に影響が出る
・健康リスクが高まる
それぞれ見ていきましょう。
生態系に影響が現れる
地球上には様々な生物が生息していますが、気温の変化に敏感な生物も多く存在します。
特に海洋生物は、もともと温度の変動が小さい環境で暮らしていることもあり、気候変動の影響を受けやすい傾向にあります。
主な影響としては分布図の変化や分布範囲の縮小などですが、このまま気候変動が続いていけば絶滅してしまう生物も現れることでしょう。
自然災害や異常気象が増加する
気候変動によって自然災害や異常気象が増加することが考えられます。
また、平均気温の増加によって降雨パターンが変化したことで異常気象の発生頻度が高まったとされています。主な影響としては、大雨の頻度増加による洪水や土砂災害、台風の増加による高潮災害などです。
大雨が私たちの生活に与える影響は大きく、もともと雨の多い日本においては人命にかかわる大きな影響や被害が出る可能性は十分考えられます。
水質の悪化や水が不足する恐れがある
気候変動による降雨パターンの変化は、水資源の貯蓄量にばらつきがでる原因でもあります。
ばらつきがでることで、日本のように降雨量が増加した地域では洪水や土砂災害に伴う水質の悪化、降雨量が減少した地域では干ばつなどによる水不足が懸念点となるでしょう。
気候変動対策を徹底し、水資源の供給を安定させることが急務です。
農作物に影響が出る
気候変動による気温の上昇や豪雨などの異常気象は、農作物にも悪影響を及ぼします。
特に影響を受けやすい農作物は、みかんや稲です。みかんは収穫期前の9月~10月ごろに高温や豪雨の影響を受けると日焼けや浮皮症になってしまい、出荷できなくなる可能性があります。
また、稲は高温によって玄米の一部または全部が乳白化し、粒が細くなる白未熟粒が発生してしまいます。
健康リスクが高まる
気候変動による異常気象は、私たちの健康にも大きな影響を及ぼす可能性があります。
身近なものとしては、熱中症や食中毒などです。熱中症は気温の上昇、食中毒は気温上昇に伴う高温多湿の環境により引き起こされます。
また、世界では「熱波」による健康被害が問題視されています。
気候変動を食い止めない限りは、これらによる健康リスクの高まりを抑えることはできないでしょう。
気候変動を具体的な対策をテーマに掲げるSDGsの項目とは?
近年、世界各国が積極的に取り組んでいるものが「SDGs」です。
ニュースなどでも聞く機会が増えてきましたが、SDGsとは具体的にどのようなものなのでしょうか。
SDGsの概要や具体的な取り組み例について見ていきましょう。
SDGsの概要
SDGsは持続的な開発目標(Sustainable Development Goals)の略称で、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標として設定されました。
2001年に策定された「ミレニアム開発目標(MDGs)」の後継として2015年9月の国連サミットで全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されています。17のゴール、169のターゲットから構成され、日本も積極的に取り組んでいます。
政府主導による日本国内の取り組み
日本は政府主導による取り組みである「SDGsアクションプラン」を毎年策定しています。
SDGsアクションプランは、8つの優先課題に基づき、政府の施策のうちの重点項目を整理したものです。2022年に策定された「SDGsアクションプラン2022」では、感染症対策やクリーンエネルギー戦略の推進を掲げています。
また「ジャパンSDGsアワード」を創設し、SDGs達成に資する優れた取り組みを行う企業・団体などを表彰しています。
世界へ向けて日本が行っているSDGsの取り組み例
日本は2016年5月に「女性の活躍推進のための開発戦略」を発表しており、この分野における国際協力を強化しています。
途上国における女性の活躍推進のための支援や、途上国の女性たちに質の高い教育や人材育成の機会を提供することを表明しました。
また教育面でも取り組みを行っており、2019年~2021年の3年間で途上国の子ども・若者900万人以上にイノベーションのための教育とイノベーションによる教育を提供する「教育×イノベーション」イニシアティブを発表しています。
気候変動に対する世界と日本の取り組みを知っておこう
今回の記事では日本が取り組んでいる気候変動対策への具体例を紹介しつつ、気候変動の原因や問題、SDGsの概要について解説しました。
気候変動の原因は温室効果ガスの排出や化石燃料の消費など、私たちの生活に起因するものも多く、政府や企業だけでなく私たち一人ひとりの意識も重要となってきます。
世界や日本が気候変動に対してどのような取り組みを行っているかを知り、少しでも気候変動対策の手助けができるよう日頃から意識することが大切です。
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