知識

再生可能エネルギーとは?種類や特徴、必要性とこれからの課題

自然界に存在する資源を利用して作られているのが、再生可能エネルギーです。再生エネルギーを目にする機会が増えましたが、具体的にどんなものなのか、なぜ必要なのかなど、詳細についてはあまり報道されません。

再生可能エネルギーがなぜ重要だとされているのか、種類や特徴、必要性、再生可能エネルギーの現状と今後の課題についてご紹介します。

再生可能エネルギーとはどんなもの?

再生可能エネルギー 環境

再生可能エネルギーとは、太陽光や水、風など、自然界に存在する資源を利用して作られたエネルギーを指します。現在、石炭や天然ガス、石油などの化石燃料が、日本の主なエネルギー源となっています。化石燃料は資源に限りがあるためいずれ枯渇しますが、再生可能エネルギーは永続的に資源の補充が可能です。また、再生可能エネルギーは、発電時に二酸化炭素を排出しないことから、地球温暖化への対策として、新たなエネルギーとして注目されています。

2019年度の日本における発電電力量のうち、再生可能エネルギーが占める割合は18.5%です。日本は2030年までに再生可能エネルギーの割合を36~38%とする方針を発表しました。

続いて、再生可能エネルギーのそれぞれの特徴を紹介します。水力発電・風力発電・地熱発電・バイオマス発電・太陽光発電、それぞれのエネルギーが発生する原理やメリットについて解説します。

水力発電の特徴

水力発電とは、水が高いところから低いところに落ちる勢い(落差)を利用した発電方法です。高低差を利用する水力発電は、豊かな水資源と山に恵まれ、起伏に富んだ日本の風土に適している発電方法といえます。

2021年の日本における水力発電は、発電電力量のうち7.8%を占めています。再生可能エネルギーの中では、太陽光発電に次いで多い割合です。今後は、農業用水や一般河川などの小さな流れを利用して発電する「小水力発電」の導入を促進する動きが高まっています。

風力発電の特徴

風力発電とは、風の力によってブレードと呼ばれる風車の羽根が回転して生じるエネルギーで発電する方法です。一定の風が吹いていれば昼夜問わずに発電できるうえに、電気への変換効率が高いのが特徴です。

風力発電には、陸地に風車を設置する「陸上風力」と、海の上に風車を設置する「洋上風力」があります。四方を海で囲まれた日本は、洋上風力に適した国土を持っています。陸上風力だけでなく、洋上風力をいかに拡大できるかが今後の課題です。

地熱発電の特徴

地熱発電とは、マグマの熱エネルギーを利用した発電方法です。地上で降った雨は、地下に浸透するとマグマの力で加熱されて蒸気となり地下に溜まります。井戸などを掘って取り出した蒸気で電気を発生させるのが、地熱発電の一般的な仕組みです。

火山帯に位置する日本は、地熱資源に恵まれており、地熱資源量は世界第3位です。マグマの熱を利用するので、太陽光や風力のように昼夜や季節によって変動することなく、安定した発電ができます。

バイオマス発電の特徴

バイオマス発電とは可燃ごみや廃油、家畜糞尿などの生物資源(バイオマス燃料)を燃焼し、電気を発生させる発電方法です。本来廃棄されるものを燃料としているので、無駄なくエネルギーを作ることができます。また燃料さえあれば、安定した発電量が見込めるところも特徴のひとつです。

バイオマス発電は「カーボンニュートラル(※)」という考え方に基づいているので、燃焼しても大気中の二酸化炭素は増加しません。そのため、クリーンな発電方法といえます。

※カーボンニュートラル

バイオマスを燃焼するときに発生する二酸化炭素は、もともと植物が成長する過程で大気中から吸収するものであるため、トータルで見ると二酸化炭素の増減に影響を与えていない、という考えのこと。

太陽光発電の特徴

太陽光発電とは、太陽の光エネルギーを利用した発電方法をいいます。発電中に二酸化炭素などの有害物質が発生せず、枯渇しないことがメリットです。その一方で、太陽光が当たらない夜間や日照不足の日は十分な発電量が見込めないので、安定性の面では弱い部分が課題となります。

近年では、ソーラーパネルを設置する家庭が増えたこともあり、2020年の太陽光発電導入量は、中国やアメリカに次いで世界第3位でした。日本での全発電発電量のうち太陽光発電が占める割合は9.3%(2021年度)と、再生可能エネルギーの中で最も高い割合を占めており、主力エネルギー源として期待されています。

再生可能エネルギーのメリットとデメリット

メリット デメリット

再生可能エネルギーの最大のメリットは、二酸化炭素を排出しないことです。世界的に問題視されている地球温暖化の主な原因である温室効果ガスは、そのほとんどを二酸化炭素が占めています。石炭や天然ガス、石油などの化石燃料を燃焼すると大量の二酸化炭素が発生します。再生可能エネルギーの割合を増やすことで、二酸化炭素排出量の削減へとつなげています。

また再生可能エネルギーは、化石燃料のように資源を消費せずに生産できるので、枯渇しない点もメリットです。化石燃料をめぐる国際的な競争の緩和にも期待できます。ほかにも、有害物質や廃棄物が発生しないことや、災害時などには予備電源になること、日本のエネルギー自給率向上につながることなども挙げられます。

デメリットには、発電コストの高さが挙げられます。再生可能エネルギーは燃料費がかからない一方、初期コストや災害対策のコストが生じます。年々減少傾向にはあるものの、日本の発電コストは国際水準と比較しても高いのが現状です。加えて、太陽光や風力などは発電量が変動しやすく、不安定な面も課題点といえます。

再生可能エネルギーの現状とこれからの課題

世界地図 エコ SDGs

2017年度において、日本の電源構成に占める再生可能エネルギーの比率は16.1%です。イタリアやスペイン、ドイツは30%を越えており、カナダに至っては65.7%と高い水準になっています。

日本の再生可能エネルギーの比率が低いのは、世界水準から見ても高い発電コストや、電力系統に接続する際の制約の問題といった、さまざまな課題にあります。季節や天候によって発電量が左右される再生可能エネルギーに関しては、需要と供給のバランスが崩れないよう、どのような対策が必要になるのかも課題となっています。再生可能エネルギーを主力電力化するためには、さまざまな問題を着実に解決することが重要です。

再生可能エネルギーが必要な理由

原因 疑問

再生可能エネルギーが増えることで私たちの暮らしにどのような影響をもたらすのか、詳しく解説します。

温室効果ガスの一つ、二酸化炭素の削減に有効だから

地球温暖化を抑制するためには、主な原因となっている温室効果ガスの一つである二酸化炭素の削減が必要です。しかし、私たちの生活で欠かせない電気などを作る際は、石炭や石油、天然ガスといった化石燃料を燃焼するため、二酸化炭素が大量に排出されます。そこで注目されたのが、二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーです。

さらなる利便性を追及し持続的に発展するためには、電力消費量は今後も増加するでしょう。地球温暖化がこれ以上進まないようにするためにも、再生可能エネルギーの割合を増やし、二酸化炭素の排出量を削減することが重要です。

エネルギー自給率の向上のため

日本のエネルギー自給率は、世界的に見ても低い水準です。2019年度における日本の一次エネルギーの自給率は12.1%。世界1位のノルウェーの816.7%と比較すると大きな差があります。

日本は足りないエネルギーを海外から輸入しており、2019年度の石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料の依存度は84.8%でした。しかし、世界のエネルギー需要が急速に高まっているため、依存を続けることで価格競争に巻き込まれ、産業が不安定になるでしょう。国産のエネルギー源である再生可能エネルギーを主力電源として実現できれば、エネルギー自給率を向上し、他国に依存しないエネルギー供給が可能になります。

再生可能エネルギーで持続可能な社会に

地球環境 守る

二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーは、地球温暖化が問題視されるなかで、とても重要な存在です。現在日本の電源構成は化石燃料がほとんどを占めています。再生可能エネルギーの割合を増やすことができれば、地球温暖化を抑えつつ、今後も持続的に発展できる社会を作り上げることができます。

CO2削減をはじめとした環境問題への取り組みに関心のある企業は、e-dashへご相談ください。e-dashはエネルギー消費や削減目標を可視化し、省エネやクリーンエネルギーへの移行など、企業に合った方策をご提案致します。