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建設業におけるカーボンニュートラルの重要性とは?実例や課題を解説

食物を資源に作業をする建設現場

建設業は国内で温室効果ガスを排出している業種のなかでも、大きな割合を占めています。そんな建設業において、近年重要視されているのが「カーボンニュートラル」という考え方です。

温室効果ガスの排出と吸収を均等にすることで、二酸化炭素をプラスマイナスゼロにするカーボンニュートラルについて、本記事で解説していきます。

カーボンニュートラルとは

戸建住宅の枠組み

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量をプラスマイナスゼロに均衡させようという考え方です。

人が生産活動する際には二酸化炭素が排出され、逆に、山や森では二酸化炭素を吸収します。現在は、森林などで吸収される二酸化炭素の量よりも、我々人間が排出している二酸化炭素の方がはるかに多くなり、これが地球温暖化などを引き起こしていると考えられています。

そこで生まれたのが、「カーボンニュートラル」という考え方です。もちろんカーボンニュートラルにおいて削減するのは、二酸化炭素だけでなく一酸化二窒素やフロンなども含んだ「温室効果ガス」です。

しかし、温室効果ガスの排出を、完全にゼロにすることはやや非現実的といえます。そこで排出される温室効果ガスをできる限り抑え、吸収、除去することで中立の状態(ニュートラル)を目指すという動きが生まれました。

脱炭素とカーボンニュートラルの違い

「カーボンニュートラル」と同じく、環境問題についてよく聞くワードに「脱炭素」というものがあります。脱炭素というのは、二酸化炭素の排出を完全にゼロを目指した取り組みのことです。二酸化炭素の排出量を「実質的に」ゼロにする、カーボンニュートラルとは少し異なります。

イメージとして、カーボンニュートラルな社会を実現した先にあるのが「脱炭素」です。なお「低炭素」というものは、炭素を削減しようという動きです。

またカーボンニュートラルとは、温室効果ガスをプラスマイナスゼロにしようといった取り組みそのものを表す言葉でもあり、脱炭素はそのなかの具体的な活動と位置付けることもできます。

建設業におけるカーボンニュートラル

建設現場の重機

本来カーボンニュートラルの活動は、特定の業種に限っておこなわれることではなく、社会全体で取り組むことです。しかし、もともと温室効果ガスをあまり排出しない業種よりも、排出量が多い業界が積極的に取り組むことで、大幅な変化が期待できます。

そこで、注目されているのが、二酸化炭素の排出量が最も多い業界である「建設業」です。本章では建設業における二酸化炭素の排出量の現状や、カーボンニュートラルの必要性について解説します。

建設業におけるCo2排出量の現状

日本では、二酸化炭素換算で年間約11.5億トンの温室効果ガスを排出しています。排出されている温室効果ガスの内訳としては、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、ハイドロフルオロカーボン類などとなっています。

さまざまな成分が温室効果ガスに含まれますが、その90%は二酸化炭素です

そしてこの二酸化炭素を最も多く排出しているのが、産業部門(建設業)です。日本で排出される二酸化炭素のうち、全体の35%が産業部門から排出されています。特に建設機械における排出量が最も多く、排出量は年間約571万トンです。

そのため、日本全体で取り組むべきカーボンニュートラルのなかでも、とりわけ建設業の取り組みが注目されています。

カーボンニュートラルの必要性

現在、世界中のあらゆる企業がカーボンニュートラルへ向けた活動をしています。温室効果ガス排出ゼロを目指した活動は、もはや世界的なトレンドとも言えます。

では、そもそもカーボンニュートラルはなぜ必要なのか、また企業が取り組むことの必要性とは何なのでしょうか。

建設業をはじめとした企業が、カーボンニュートラルに取り組むことの必要性は、以下の3点です。

・エネルギーのコスト削減に繋がる

・他企業や個人とのコミュニケーションがとれる

・収益アップに繋がる

まずカーボンニュートラルに取り組むことで、エネルギー全般のコスト(固定費)を削減できます。現在ではあらゆるエネルギーの価格が高騰しており、エネルギーコストは企業の経営を大きく圧迫しているのです。固定費削減の点からも、カーボンニュートラルに取り組むことは必要と言えるしょう。

さらに、カーボンニュートラルに取り組むことで、他企業や個人とのコミュニケーションをとるきっかけにもなります。環境問題に対する高い意識をもつ先進企業との繋がりや、各自治体、NPOなどの組織とコミュニケーションをとるきっかけともなるでしょう。企業の認知拡大にも効果的です。

収益を上げられることも、カーボンニュートラルに取り組むことのメリットです。削減(吸収)した温室効果ガスをクレジット化することもできるため、収益アップに繋がるでしょう。

建設業におけるカーボンニュートラルの取り組み

建設現場の重機

建設業における「脱炭素(カーボンニュートラル)」とは、具体的にどのような取り組みをしているのでしょうか。

本章では、以下について解説します。

・再生可能エネルギー活用する

・建築物省エネ法を遵守する

・原材料をカーボンニュートラル化する

・カーボンニュートラルに対応した試行工事

それぞれ具体的にどのように取り組んでいるのか、確認しておきましょう。

再生可能エネルギー活用する

建設業に分類される多くの企業では、再生可能エネルギーを活用することに尽力しています。例えば、「大和ハウス工業株式会社」では、新築する建物において原則ZEB化する方針を採用しており、現在オフィスや店舗、物流施設など広範囲で「ZEB化」を進めているそうです。

それに加えて、事業で必要な電力を、再生可能エネルギーで賄うことにも尽力しています。以前から取り組んでいた発電事業をベースに、グループ全体で本格的な導入を進めているそうです。

また『戸田建設株式会社』では施工する際に必要な電力を、全て再生可能エネルギーで賄う取り組みをおこなっています。加えて、建設現場では重機から排出される二酸化炭素を削減するため、より低炭素な「軽油」を活用するよう切り替えています。

建築物省エネ法を遵守する

2019〜2021年にかけて施行された「建築物省エネ法」を遵守することも、大きな成果を上げています。「建築物省エネ法」は大きく「オフィスビル」「マンション」「戸建住宅」の、3種類に分けられます。

オフィスビルを対象とした「建築物省エネ法」としては、オフィスビル等に係る措置の強化に努めることが定めています(2021年4月1日施行)。それに加え、複数の建築物の連携による取り組みの促進も進んでいます(2019年11月16日施行)。

マンションを対象とした「建築物省エネ法」は、マンション等に係る計画届出制度の審査手続の合理化(2019年11月16日施行)を定めるものです。

そして戸建住宅を対象とした「建築物省エネ法」としては、戸建住宅等に係る省エネ性能に関する説明の義務付け(2021年4月1日施行)や、大手住宅事業者が供給する、戸建住宅等へのトップランナー制度の全面展開(2019年11月16日施行)が定められています。

原材料をカーボンニュートラル化にする

原材料を「カーボンニュートラル化」することも、建設業が取り組める活動の一つです。建設業においては、建築物を作る際に使う原材料から変えることで、カーボンニュートラル化がスムーズに進みます。

具体的には、低炭素材であるグリーン調達品目を積極的に活用していくことなどが挙げられるます。また温室効果ガス削減へ向けて、照明をLED化にしていく動きも有効です。

カーボンニュートラル対応試行工事

建設時に排出される二酸化炭素は、電気・軽油・灯油・水道を使用する際だけでなく、資材ごとの製造時に排出される量も対応しておく必要があります。

そのため、建物トータルでの二酸化炭素の排出量を、排出量の少ない資材を使うことで削減する試みがおこなわれています。

そこでおこなわれているのが、工事契時にカーボンニュートラルに関する取り組み実績や提案を評価する、カーボンニュートラル対応試行工事です。一般的工事に比べ、カーボンニュートラルに取り組んでいることもアピールできます。

どのくらいの二酸化炭素が排出されるのは踏まえたうえで、できるだけ削減できるように建設工事の内容も検討しなければなりません。

建設業界におけるカーボンニュートラルの課題

自然由来の資源である土とシャベル

建設業界全体でカーボンニュートラルへの取り組みが進んでいますが、「課題」があります。

第一に挙げられる課題としては、二酸化炭素排出量が多いことです。カーボンニュートラルの取り組みが進められていますが、まだまだ二酸化炭素の排出量は多く、削減しきれていないといった問題があります。

第二の課題は、そもそもカーボンニュートラルをクリアするのが難しい点にあります。大手企業においては導入が進められているものの、まだその数は少ないことが現状です。

二酸化炭素の排出が多い建設業もカーボンニュートラルに取り組むべき

建設現場で作業をする従業員

建設業は、二酸化炭素の排出量が最も多い業種です。そのため、建設業がカーボンニュートラルに取り組むことで、日本全体の温室効果ガス削減に大きく影響します。

これから二酸化炭素の排出量削減への取り組みをする場合、何から取り組むべきなのか、どう進めるべきなのかお悩みの場合は「e-dash」にご相談ください。カーボンニュートラル化へ向けた対策を、総合的にサポートしています。何から始めるべきか、自社で何ができるのかと悩んでいる方は、お気軽にお問合せください。