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再生エネルギーにデメリットはある?メリットと比較しわかりやすく解説!

電球を持つ手

近年、再生可能エネルギーが注目されている中で、そのデメリットが顕著に表れるようになりました。環境へ優しい点や持続可能なエネルギー供給が可能というメリットがありますが、一方で無視できないデメリットも存在します。これらのデメリットを正確に理解し、メリットを最大限に活用することで、より持続可能な社会を実現する手助けとなるはずです。

この記事では、再生可能エネルギーのメリットとデメリットを比較しながら、その現状について解説していきます。

再生可能エネルギーとは何か?

電球の中の新芽、エコイメージ

そもそも、再生可能エネルギーの定義とは明確にどのようなものでしょうか?この章では、再生可能エネルギーの定義とその重要性を解説します。

さらに、その具体的な種類と特徴を一覧で取り上げていますので、ぜひ最後までご覧ください。どのようなものが再生可能エネルギーとして認識されているのか、詳しく知ることでより深い理解が得られます。

「再生可能エネルギー」の定義

再生可能エネルギーとは、太陽や地球、生物などの自然由来のエネルギーを人間の生活に活用するエネルギーのことを指します。このエネルギーの大きな特徴は、資源が永久に枯渇しないこと、そして火力発電のように温室効果ガスを排出しない点です。

再生可能エネルギーを利用した発電方法には、特に認知度が高いもので、太陽光発電・水力発電・風力発電などがあります。

再生可能エネルギーの種類を一覧で紹介

再生可能エネルギーにはさまざまな発電方法があります。認知度が高いもので、下記が挙げられます。

  • 太陽光発電:太陽の光を電気に変える方法
  • 水力発電:高低のある場所を水が流れるエネルギーを利用
  • 地熱発電:地中の熱を活用
  • 風力発電:風の力を活用

また、まだまだ日本では普及が進んでいませんが、下記の方法についても、自然のエネルギーを使用して発電を行っています。

  • 海洋温度差発電:深海と浅瀬の温度差を利用
  • 波力発電:波の動きを利用
  • ソーラーアップドラフトタワー:暖かい空気の上昇を利用
  • バイオマス発電:有機物の燃焼や腐敗からのガスを活用

欧州各国と日本の発電量に占める再生可能エネルギー比率

日本では、2012年の3.11以降「FIT制度」がスタートし、再生可能エネルギーの導入量は増加して約15%に達しました。

しかし、ドイツなどと比較すると、日本の自然エネルギー導入状況は約10年の遅れがあると言われています。2016年のデータを見ると、英国は約25%、デンマークは約54%、ドイツは約32%という高い比率で再生可能エネルギーを活用しており、日本は諸国に遅れをとっている状況です。

欧州各国と日本の全発電量に占める自然エネルギー比率の推移|出典:EU統計データなどより作成

再生可能エネルギーのデメリットと、検討されている解決策

課題

再生可能エネルギーについては多くのメリットが紹介されていますが、一方で避けては通れないデメリットも存在します。

この章では、発電コストや発電効率などにおいての課題と、それを乗り越えるための検討されている解決策を取り上げます。

発電のコストや工事費が高い

再生可能エネルギーの大きな課題として、高いコストや工事費が挙げられます。

特に日本では、発電に適した土地が限られ、さらに自然災害が多いため、設備の維持や修理にもコストがかさむ傾向があります。実際、資源エネルギー庁も「日本ならではの難題」と回答しています。

  • 解決・改善策
    ステッカー式のソーラーパネルの開発により場所に縛られない発電設備の推進や、他企業との共同発電というような新しいアプローチで、これらの課題に取り組んでいます。

発電効率(エネルギー変換効率)が悪い

再生可能エネルギーの中でも、特に太陽光、地熱、バイオマスの発電効率は約20%、風力は最大約60%とされています。エネルギー変換の過程でのロスが大きく、特に太陽光発電では電気エネルギーが熱エネルギーに変わってしまうことが問題とされています。

  • 解決・改善策
    例えばLED電球は、熱エネルギーとしてロスする分が少なく、ワット数が小さくても白熱電球より明るさが得られるように開発されました。このように発電効率の良い技術の開発が今後期待されています。

発電量が天候などに影響し不安定である

再生可能エネルギーは天候に左右されるものが多いため、曇りや雨の日、風が吹かない日などは安定して発電できません。この点が従来の火力発電などに比べて劣ってしまうため、普及が進んでいない現状があります。

  • 解決・改善策
    不安定性への対策として、火力発電や水力発電など、出力を容易に変化させられる他の発電方法と組み合わせることで、電力供給を安定させるという方法が図られています。また、コストを補填するような制度を利用することで、経済的にも安定するような対策が出されています。

デメリットによるコストを補う制度を知ろう

制度の文字

再生可能エネルギーの導入には多くのコストが伴います。しかし、日本にはそのコストを補助するための制度や補助が多く存在します。

本章では、FIP制度や環境・エネルギー対策資金など、再生可能エネルギー導入時の負担を軽減する制度について詳しく解説していきます。

FIP制度

コスト補助の方法の一つに「FIP制度」というものがあります。この制度では、売電価格に一定の補助額が加算されるため、事業者にとって売電の利益を拡大するチャンスとなっています。

環境・エネルギー対策資金(日本政策金融公庫)

再生可能エネルギーの導入を進めるには多額の初期投資が必要ですが、日本政策金融公庫が提供する環境・エネルギー対策資金を利用すれば、特別な利率で融資を受けられます。この制度は、非化石エネルギーの設備導入に特化したもので、多くの事業者が活用しています。

再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置(固定資産税)

固定資産税の負担を軽減する制度として、再生可能エネルギー発電設備に関する特例措置があります。これにより、設備や発電出力に応じて課税標準が軽減されるため、導入初期の経済的な負担を少なくすることができます。

日本環境協会による補助事業

日本環境協会が提供する補助事業は、非営利団体に限らず、営利団体や事業者も対象としているものもあります。事業内容に応じた補助が可能なので、多くの団体や事業者に制度を活用してもらうことで、再生可能エネルギーの普及を促進しています。

グリーンファンド(地域脱炭素投資促進ファンド事業)

グリーンファンドは、地域の脱炭素プロジェクトを推進する事業者を出資という形で支援する制度です。グリーンファンドの出資により、民間資金の更なる投融資を呼び込み、脱炭素化プロジェクトの実現や地域の活性化に寄与することを目的としています。

なぜ再エネが重要視されているのか?メリットも確認しよう

メリットとデメリット

再生可能エネルギーは、環境保護に直結するエネルギー源という点で、積極的に導入していくことが求められています。再生可能エネルギーのメリットは多岐にわたります。

具体的には、下記の通りです。

  1. 温室効果ガスや、SO2やNOxのような有害物質を排出しないため、環境の健全性を保つのに有効
  2. 自然に存在するエネルギー資源を利用して発電するため、発電燃料の自給率を高める助けになる
  3. エネルギー資源が枯渇するリスクが少ないため、持続的な供給が期待できる
  4. 資源が各地に存在するため、発電方法によっては地域の活性化や雇用の創出につながる

再生可能エネルギーの取り組み事例

RE100 芝生 グリーン 立体的文字

この章では、様々な事業者や自治体がどのように再生可能エネルギーを活用しているのか、具体的な事例を取り上げて解説します。株式会社リコーのRE100への参加や、株式会社カインズの太陽光発電の取り組みに注目していきます。

【企業】株式会社リコー:RE100に参加

株式会社リコーは、RE100へ参加するなど、再エネ電力の積極的な活用を進めています。同社の取り組みの一環として、生産拠点での再エネ電力の使用を拡大しており、持続可能なエネルギーの導入を推進しています。

【企業】株式会社カインズ:太陽光発電の導入を推進

株式会社カインズは、2050年までのカーボンゼロ達成を目標に掲げています。壬生店を皮切りに、店舗への太陽光発電の導入を推進しています。この施策により、店舗の年間電気使用量の約22%を賄うことが期待されています。

【自治体】富山市:温泉熱と太陽光発電を自家利用

富山市は、牛岳温泉の温泉熱と太陽光を駆使して、完全人工光型の水耕栽培式植物工場を整備しました。再生可能エネルギーの有効活用で、持続可能な食材栽培方法を探求しています。

【自治体】山形県庄内町:風力発電と田園風景との調和

山形県庄内町は、最上川の強風を活かした風力発電事業を展開しています。風力発電に使用する風車が、庄内町の田園風景に美しく調和し、新たなモニュメントとして親しまれています。

再生可能エネルギーのメリットとデメリットを理解し、未来の資源を守ろう

緑の植物の背景に透明な地球と新芽
緑の植物の背景に透明な地球に新芽。環境保護と持続可能な社会のイメージ

再生可能エネルギーは、温室効果ガスの削減やエネルギーの持続供給といった多くのメリットを持ちながら、導入に際してのデメリットも確かに存在します。この記事では、再生可能エネルギーの重要性や具体的な取り組み事例を通じて、環境に負担の少ない発電方法としての可能性を紹介してきました。

再生可能エネルギーの有効活用は私たちの未来の資源を守る鍵となることを理解し、より多くの人々に知られることを願っています。


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