気候変動は地球の環境に大きな影響を与えており、気候変動防止の取り組みが以前よりもいっそう注目されています。気候変動への対応について、自分一人では何をしたらいいかわからない、企業が対策をすべきであると考えている人もいるでしょう。しかし、個人での対策も気候変動防止に大きく影響します。
今回は、気候変動に対応する方法である「適応」と、気候変動を防止するための個人でできる対策について詳しく解説します。今日から自分一人でできる取り組みもあるので、参考にしてください。
気候変動と「適応」とは
地球温暖化による気候変動に対応するための方法は2つあります。一つがさまざまな気候変動防止策による「緩和」、もう一つが「適応」です。
「適応」は、
環境省その他が主導する気候変動適応情報プラットフォームによって「現実の気候または予想される気候およびその影響に対する調整の過程。人間システムにおいて、適応は害を和らげもしくは回避し、または有益な機会を活かそうとする。一部の自然システムにおいては、人間の介入は予想される気候やその影響に対する調整を促進する可能性がある
引用元:A-PLAT|気候変動と適応
と定義されています。
つまり今後起こりうるさまざまな気候変動に対して、人類の文化文明ができるだけ被害を受けることのないよう工夫をおこなう取り組みが「適応」です。
適応とパリ協定
2015年、パリ協定では世界共通の長期目標として、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃未満に抑えることを掲げ、さらに1.5℃に抑えることを努力目標として合意が行われました。
またSDGsにおいても、ゴール13として「気候変動に具体的な対策を」との文言がラインナップされています。また各ゴールには細分化された目標が定められ、ゴール13においては「13-1」として「気候関連災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力を強化」が挙げられています。
適応の能力を強化とあるように、予想されるさまざまな気候変動への対応が各国で求められてはいるものの、「緩和」と異なり「適応」には世界共通の明確な目標が定められていないのも現実です。
気候変動適応はなぜ必要なのか
気候変動への対応として重要なのは「緩和」です。変動を緩和するための地道な、かつ着実な作業が求められます。しかし、気候変動の緩和対策は、効果がすぐに現れるものではありません。緩和対策を引き続き継続し、強化することは不可欠です。そして、同時に目の前の異常気象に対応するための「適応」対策を行い、各国における被害を最小限に留めることが必要となります。
こうした地球の現状に対応すべく、日本では2018年に「気候変動適応法」が制定されています。気候変動適応法では、緩和と適応を「車の両輪」として、社会全体で適応策を推進していくことを法的に定めました。国が適応を主導することを定めたこの法律に象徴されるように、社会全体で気候変動への適応に取り組むことが求められています。
気候変動を防止する取り組み「気候変動適応法」
気候変動適応法について、もう少し詳しく掘り下げてみましょう。
気候変動適応法の柱は以下の4つです。
・適応の総合的推進
・情報基盤の整備
・地域での適応の強化
・適応の国際展開等
全4章、20条におよぶ条文に、それぞれの考え方や進め方が明記されています。第三条には国の責務、第四条には地方公共団体の責務があり、第五条に事業者の努力、第六条には国民の努力を記載するなど、それぞれ一丸となって適応の推進を担うべきであることが明文化されている法律です。
また気候変動適応法では、適応に関する国際協力を推進しているほか、事業者の取り組み支援を通して適応ビジネスを促進することも定められています。計画は5年ごとに評価を行い、継続的に改定されます。
気候変動防止のために個人でできる対策
気候変動防止のために行う対策のなかには、個人でできるものも多くあります。実際、二酸化炭素排出量全体のうち、家庭から排出される量はおよそ16%を占め、ほとんどが電力、ガス、ガソリンの消費によるものです。
すなわち、こうしたエネルギーの消費量を減らすことで、家庭から排出される二酸化炭素排出量を大幅に減らすことができます。具体的な方法を見てみましょう。
公共交通機関を利用する
公共交通機関を利用すると、家庭から出る、主に自家用車移動に関わる二酸化炭素排出量を減らせます。自転車も二酸化炭素の出ない移動手段です。駅までは自転車、駅からは電車など、工夫した生活が求められます。
再生可能エネルギー重視の電力会社と契約する
電力会社を選ぶ際、再生可能エネルギーを重視している電力会社と契約するのがおすすめです。火力発電を使う電力会社に比べて、発電の際に二酸化炭素排出量の少ない電気を利用できます。
現在はクリーンエネルギーを利用できる電力会社が増えているため、身近な業者で利用できるものがないか探してみましょう。
使っていないコンセントは抜く
電化製品は、使用していなくてもコンセントが挿してあるだけで一定の電力を消費しているため、使っていない電化製品のコンセントを抜くと効果的です。
少ないとはいえ、こうした待機電力を削減することは二酸化炭素排出量の削減につながります。
使わないものの電源は消す
電化製品の電源をつけっぱなしにしておくと、その間はずっと電力を消費している状態です。使わないものの電源を消すことで不要な電力を削減し、二酸化炭素排出量を減らすことができます。人のいない部屋の電気や冷暖房、パソコンなど、つけっぱなしにしがちなのではないでしょうか。スイッチの消し忘れに注意しましょう。
気候変動の防止のために、「適応」を
気候変動の防止には、温暖化ガスを削減する「緩和」への取り組みのほか、気候変動による影響を少なく保つための「適応」も大切です。気候変動適応法にあるとおり、緩和と適応は両輪をなす対策となっています。
気候変動防止のために、私たちが個人のレベルでできる対策もあります。こうした対策はいずれも細かいものばかりですが、全員の小さな取り組みが大きな成果を生み出すことを認識し対策に取り組むことが大切です。
弊社の「e-dash」は、脱炭素への取り組みを総合的にサポートするプラットフォームです。エネルギーの最適化からCO2削減まで、貴社の脱炭素経営をトータルにお手伝いします。低コストでスタートできるプランを用意しているため、まずは気軽にお問合せください。