私たちの暮らしに大きな影響を与える気候変動は、SDGsでも改善目標に掲げられている環境問題の一つです。近年増加している猛暑日や豪雨などにより、気候変動を意識し始めている人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、世界の気候変動について詳しく解説し、気候変動によって生じる世界の変化や日本の変化なども紹介します。気候変動による影響を理解できれば、日々の環境行動を決める指針となるでしょう。
目次
気候変動とは
気候変動とは、気候を構成する気温や降水量、湿度などのパターンが長期的に変化することです。気候変動には、自然要因と人為的要因の2つがあります。
自然による気候変動は、海洋の変動や火山の噴火、太陽活動の変化などによって引き起こされますが、特に地球の表面の約7割を占めている海洋の影響は大きいと考えられています。
また、人為的要因には、1800年代以降多く使われるようになった石炭や石油、ガスなどの化石燃料の燃焼が該当します。
化石燃料の燃焼により発生した二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスは、地表を暖めて気温を上昇させます。また、大規模な森林伐採や森林消失なども二酸化炭素排出の要因となります。
気候変動によって生じる世界の変化
ここでは、気候変動によって生じる世界の変化について見ていきましょう。
世界の平均気温が上昇している
気候変動によって生じる変化の一つが世界の平均気温の上昇です。実際、19世紀以降から100年あたりの平均気温は0.72度の割合で上昇しています。
将来的な気候変動を予測するため、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第5次評価報告書では、温室効果ガス濃度の変化を仮定する4つのシナリオRCP2.6、RCP4.5、 RCP6.0、RCP8.5が用いられました。RCPに続く数値が大きいほど2100年までの温室効果ガス排出が多く、将来的な気温の上昇量が大きくなるだろうことを意味しています。
これらによると、21世紀末の世界の平均気温は20世紀末と比較し、RCP2.6シナリオで0.3~1.7度、RCP8.5シナリオで2.6~4.8度の上昇が予測されています。
海水温が上昇している
海洋の温暖化により、気候システムに蓄積されたエネルギーが大幅に増加することがわかっています。1971~2010年の間に蓄積されたエネルギーのうち、海洋の温暖化によるものは90%以上を占めていました。
また、世界の年平均海水温は1891~2016年において0.53度の割合で上昇を見せており、今後も海水温は上昇し続けるとの予測です。21世紀末までにRCP2.6シナリオで約0.6度、RCP8.5シナリオで約2.0度の上昇が予測されています。
北極海の海氷が減少している
1979年以降、世界平均気温の上昇に伴い、北極海の海氷が急激に減少しています。2021年に発表された北極評議会(AC)の報告によると、北極圏の温暖化は地球全体の約3倍の速さで進行しているとされ、1年あたり北海道ほどの面積が減少しているようです。
21世紀末における北極域の9月の海氷域面積を20世紀末と比較すると、RCP2.6シナリオで43%、RCP8.5シナリオでは94%の減少が予測されています。また、RCP8.5シナリオは、今世紀半ばには北極海の氷がほぼなくなる可能性を示唆しています。
熱帯低気圧の最大風速や降水量が増加する可能性が高い
IPCC第5次評価報告書によると、今後地球全体での熱帯低気圧の発生頻度は変わらない、もしくは減少傾向にあると予測されています。一方、地球全体で見る熱帯低気圧の最大風速や降水量は増加する可能性があるとされているものの、地域別の予測は確信度が低いとされている現状です。
また、最近の研究によると、日本南海からハワイおよびメキシコ西海にかけて、最大風速59m/秒以上の大型台風の通過が増える可能性が高いと予測されています。
気候変動によって生じる日本の変化
ここからは、気候変動によって生じる日本の変化について解説します。
世界より早いペースで気温が上昇している
世界の年平均気温と同様、日本の年平均気温も上昇傾向にあり、100年あたりで見ると1.19度の割合で上昇しています。RCPシナリオによる予測では、21世紀末の日本の年平均気温は全国的な上昇が見られるとのことです。
低緯度より高緯度のほうが上昇程度が大きいとされ、RCP2.6シナリオでは0.5~1.7度、RCP8.5シナリオでは3.4~5.4度の上昇が予測されています。
真夏日や猛暑日が増加している
1931~2016年において、真夏日と猛暑日はそれぞれ増加傾向を辿っています。ちなみに、日最高気温30度以上の日を真夏日、日最高気温35度以上の日を猛暑日と呼び、特にここ10年で猛暑日は0.2日の割合で増加しています。
RCP8.5シナリオによると、21世紀末の猛暑日年間日数も増加。特に、沖縄や奄美では、猛暑日が年間54日ほど増えると予測されています。
大雨の日数が増加している
日本では、日降水量100mm以上の大雨の日数や1時間降水量50mm以上の短時間強雨の発生回数が増加しています。一方、日降水量1.0mm以上の日は減少傾向にあり、弱い降水を含む降水日数は減少しています。
RCP8.5シナリオによると、21世紀末における短時間強雨の発生回数はすべての季節・地域で増加するとの予測です。ただし、21世紀末における無降水日も全国的に増加すると予測されています。
大雪が増加する可能性がある
1962~2016年における日本海側の年最深積雪は減少しています。10年あたり、東日本では12.3%、西日本では14.6%の減少率を見せています。RCP8.5シナリオによると、21世紀末には特に本州日本海側で年最深積雪・年降雪量ともに大幅な減少が予測されているとのことです。
一方、北海道の内陸部や本州では、10年に一度レベルの大雪が今後より多く発生する可能性があると予測されています。
気候変動の抑制には一人ひとりの取り組みが必要不可欠
地球温暖化によって起こる気候変動は、私たちの生活に大きな影響を与えます。真夏日や猛暑日の増加に加え、大雨・大雪の増加ではさまざまな災害が引き起こされる可能性もあるでしょう。影響を最小限に抑えるためには、今後一人ひとりの取り組みが必要になります。
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