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【2024年1月より】中小企業版SBT:中小企業の定義が変わる?変更内容とその影響を詳しく解説!

【2024年1月より】中小企業版SBT:中小企業の定義が変わる?変更内容とその影響を詳しく解説!

SBTはパリ協定で定められた、「世界の気温上昇を、産業革命前よりも2℃の上昇に少なくとも抑え、1.5℃に抑えることを目指していく」という目標を達成するため、科学的な根拠を元にして定められた温室効果ガスの削減量の目標です。

企業はSBTに沿った目標設定をし、SBTiに申請することで、認定を受けることができます。

認定には通常版と中小企業版が用意されていますが、中小企業版は通常版と比べると認定を受けるにあたってのプロセスが簡易で、また費用もお手頃です。そのため昨今、環境への取り組みを対外的にアピールするため、認定を受ける企業が増加してきています。

そんな中、2024年1月1日より、SBTiによる中小企業の定義が変更されます。

この変更により、一般的に中小企業と呼ばれる企業でも、通常版SBTの取得が必要になる場合があります。

(中小企業版SBTを現在取得している企業が、中小企業に該当しなくなった場合の対応については、アナウンスされていません)

本記事では、この定義変更について詳しく解説します。

SBTについて、詳しく知りたいかたは以下の記事をチェック!

定義変更の目的

定義変更の目的について、SBTiからの明確なアナウンスはありません。(2023年12月18日時点)

定義変更について情報解禁がなされたページには、以下の記載があります。

企業がさらに積極的な気候変動対策に取り組み、より小規模な会社が気候変動対策に取り組むための目標を設定・達成しやすくするために、今回の定義変更は行われる。

(出典:Science Based Targets

具体的な新基準

ここからは具体的に、SBTiが新しく設定した中小企業の定義について解説します。

この定義変更は、条件がなかったものに新たな条件を加える形で変更がなされています。

排出量の上限について

排出量の上限についての上限はありませんが、Scope 1およびScope 2の排出量が10,000tCO2未満であること、という条件が加えられました。

対象外となる業種について

これまでは、特定の業種等を対象外とすることはありませんでしたが、以下の業種等は対象から除外されました。
・海運船舶を所有・管理している企業
・再生可能でない発電資産を所有・管理している企業
・金融機関・石油・ガス部門に分類されている

親会社が通常版SBTを取得している場合について

親会社が通常盤SBTの認定を受ける企業に該当する場合、
その子会社は中小企業版SBTの対象外となりました。

従業員数・年間売上・総資産・業種について

これまでは従業員数・年間売上・総資産・業種についての条件は設けられていませんでした。しかし、今現在(2024年3月7日)、以下の4つの条件のうち、3つ以上を満たす必要が生まれました。

・従業員数 250名未満
・売上高が5,000万ユーロ以下であること
・総資産が2,500万ユーロ以下であること
・義務付けられている森林、土地、農業 (FLAG) 部門に属していないこと

以上が具体的な定義の変更です。

こちらは2024年2月13日に変更が加えられた最新版となります。

(出典:Science Based Targets

定義変更による影響

2024年のSBTi中小企業版SBTの定義変更による影響には、以下のような点が考えられます。

中小企業版SBTから通常企業版SBTへ

新基準により一般的に中小企業と呼ばれる企業であっても、これまでの中小企業版の対象から外れ、通常版SBTの取得が必要になる可能性があります。
それに伴い、認定を受けるにあたり、想定していたよりも複雑な認定プロセスとなり、取得にあたってのコストが高くなってしまう可能性があります。

※既に中小企業版SBTの認定を受けているものの、新しい定義によってその対象から外れてしまった場合の対応については、まだアナウンスはありません。(2023年12月18日時点)

気候変動対策の積極化

新しい定義では、中小企業がより積極的に気候変動対策に取り組まなければなりません。

そのため認定を受けている企業は、より気候変動対策に積極的に取り組んでいるという評価を、外部から受けることができるようになるでしょう。

SBTを取得するメリット

本記事では、SBTiにおける中小企業の定義が変更されることについて解説しました。

SBT認定を取得することができれば、企業は環境に対する真摯な取り組みを対外的に示すことができます。結果的に顧客の獲得や株主や投資家からの評価に繋がることがあります。

また、目標設定にあたってエネルギー使用効率をあげたり、再生可能エネルギーに切り替えたりすることは、長期的には運用コストの削減に繋がります。

さらに近年、世界各国で環境に関する規制が強化される中、SBT認定を取得していれば、こうした規制への対応もスムーズに行えることが想定されます。

こうしたことから、SBT認定の取得は短期的にはコストとなりますが、長期的には企業の信頼性・競争力の向上、コスト削減につながります。

e-dashは、CO2排出量削減への取り組みを総合的にサポートするサービスプラットフォームです。

また、CO2排出量削減への目標設定やロードマップ作成も可能となっており、排出量データ報告や対外公表をスムーズに進めることができます。

また、中小企業版SBTの取得もサポートしていますので、お気軽にご連絡ください。

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