最近、新聞やテレビなどのメディアでよく聞くようになった「サステナブル」という言葉ですが、サステナブルの意味や目的について正確に把握している人は意外と少ないかもしれません。最近は「サステナブル経営」といった言葉もあり、ビジネスの世界でもサステナブルという言葉を使う頻度が増えてきています。
本記事ではこのサステナブルについて、意味や目的などを詳しく解説していきます。またサステナブル経営についても合わせて解説していきますので、ぜひ最後までご覧になってください。
目次
「サステナブル」とは
サステナブル(Sustainable)とは、「持続する」という意味の「sustain」と「~できる」という意味の「able」の2つの英単語を組み合わせて作られた単語になります。サステナブル自体は「持続可能な」「続けられる」といった意味を持っています。
「サステナブルな社会を目指そう」といったスローガンを良く聞きますが、直訳すると「持続可能な社会を目指そう」といった意味になります。
「持続可能な」という言葉は特に環境面を強調して使用されることが多いです。現在の生活や環境だけを意識するのではなく、次の世代に向けて環境問題などへ対処していくことが重要であるというメッセージが含まれていると考えてください。
世界が目指す「サステナブルな社会」とは
現在、日本をはじめとした世界各国で「サステナブルな社会」というスローガンが掲げられています。サステナブルな社会は、直訳すると「持続可能な社会」という意味です。地球の環境を壊さず、資源も使い果たさずに、未来の世代も美しい地球で平和に生活を続けられる社会を指します。
このようなスローガンが大々的に掲げられている背景には、地球温暖化の深刻化が挙げられます。工業化の発展に伴い、二酸化炭素の排出は急増してきています。
このまま何も対策をせずに二酸化炭素の排出が進めば、世界的な温暖化・異常気象はますます深刻化していくでしょう。21世紀末には平均気温が1.8~4℃上昇するといった報告もあります。
未来の世代が地球上で安心して暮らしていけるためにも、今の私たちの世代がサステナブルな社会づくりをスタートしていく必要があります。
サステナブルな社会に向けた目標
サステナブルな社会を実現するために、国連では「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」と呼ばれる17の目標を採択しています。SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称で、日本語で「持続可能な開発目標」と訳します。
SDGsでは、貧困・飢餓・環境問題・経済成長・ジェンダーなど幅広い課題を解決するための目標が網羅されています。地球環境を守りつつ、「誰一人取り残さない」ことを強調している点も特徴です。SDGsは2016年~2030年までの15年間で達成することが目標になっています。
下記、SDGsの17の目標の内容です。
①あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
②飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する
③あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する
④すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機械を促進する
⑤ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る
⑥すべての人々に水と衛星へのアクセスと持続可能な管理を確保する
⑦すべての人々に手頃で信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する
⑧すべての人々のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワークを推進する
⑨レジリエントなインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る
⑩国内および国家間の不平等を是正する
⑪都市と人間の居住地を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする
⑫持続可能な消費と生産のパターンを確保する
⑬気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る
⑭海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する
⑮陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る
⑯持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する
⑰持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する
引用元:Take Action for the Sustainable Development Goals
また国連の目標としてのSDGsに加えて、企業活動におけるサステナブル化の目標として「ESG」と呼ばれる目標も設定されるようになりました。ESGとは「Environment・Social・Governance」の頭文字を取って並べたものです。直訳すると「環境・社会・企業統治」と訳されます。
環境・社会問題を解決していく上では、国際機関や政府のみならず公的存在としての企業の活動も不可欠です。企業が主導的に環境・社会問題を解決していくという意識を強く持って活動できるよう、ESGの観点のもとで企業理念・活動目標・行動指針の見直しが求められています。
たとえば、企業が従業員の働き方改革を実施している場合、企業のサステナブル化を推進する上で評価されます。働き方改革によって従業員の暮らしにゆとりが生まれれば、それだけ従業員の生活もより持続可能なスタイルへ繋がりやすくなるためです。
企業ができるサステナブルな取り組み
企業ができるサステナブルな行動には様々な種類がありますが、たとえば「サステナブルな生産体制を構築する」といった方法が挙げられます。製品の原材料を再生可能な材料に変更したり、製品自体をリサイクルしやすい仕様にする等、サステナブル化を推進する生産体制を構築できれば、経済活動と環境保全活動の両立を実現しやすくなります。
実際に、家具メーカーとして世界的な知名度を誇るイケアでは、家具の素材選びにおいて環境・気候への影響を考慮しています。「省エネルギーを実現する製品の開発・製造」「廃棄物を削減できるデザインや素材の提案」など、サステナブルな社会実現に向けて、自社商品の開発・生産で工夫を凝らしています。
サステナブル経営とは?
サステナブル経営とは、地球環境や社会、経済などの持続可能性に配慮して企業活動を行っていく経営を指します。
前述した国連によるSDGsの採択によって、それまでCSR(corporate social responsibility(企業の社会的責任))の一環に過ぎなかったサステナブルへの取り組みが、企業によって積極的に行われるようになってきました。特に国連サミットにおいて「2015年~2030年の間にSDGsの達成を図る」といった期限が明確にされたこともあり、多くの経営層の間でサステナブルに対する意識が浸透してきています。
サステナブル経営のメリット
サステナブル経営と聞くと、企業にとっては負担が多く、あまりメリットは無いように見えるかもしれません。しかし、実はサステナブル経営を行うことで企業側が得られるメリットも多くあります。
サステナブル経営のメリットとして、主に下記の3点が挙げられます。
・企業価値が高まる
・社会からの信頼を高められる
・コスト・リスク削減を実現できる
企業価値が高まる
サステナブル経営を行うことで、企業価値を高めることができます。サステナブル社会の実現は、今や世界中で共有されている価値観です。サステナブル経営を行うことで、企業がサステナブル社会の実現に積極的に貢献している証になります。
サステナブル社会に貢献している企業ということで、世界的な評価を高めることに繋げられるのです。それまで世界的な知名度がそこまで高くない企業であっても、サステナブル経営をきっかけに世界中の国から注目を浴びることも十分可能です。
サステナブル経営をきっかけに企業の知名度が高まり、事業全体の売上が伸びるといった現象も生じてくるかもしれません。
社会からの信頼を高められる
社会からの信頼を高められる点も、サステナブル経営のメリットです。サステナブル経営を行っている企業であれば、「世界的な問題に取り組んでいる企業である」という評価を得やすくなります。サステナブル経営によって社会全体から信頼を高めることで、働いている従業員や経営者もサステナブルに対する意識を自然と高めることが可能です。
コスト・リスク削減を実現できる
サステナブル経営によって、自然エネルギーや天然資源、新しいテクノロジーを搭載した機器などを活用するようになると、これまで生じていた調達コストや価格変動のリスク削減に繋げることも可能です。
自然エネルギーを活用すれば、燃料高騰の影響を抑えることができますし、新しいテクノロジーを搭載した機器を活用すれば業務効率化に繋げて無駄なコストを削減することもできるでしょう。
組織全体がコスト・リスクなど無駄なものを排除することで、柔軟性をもった組織に生まれ変わりやすい点もメリットです。柔軟性のある組織風土であれば、従業員間にも心のゆとりが生まれやすく、働きやすい職場環境を維持しやすくなります。
サステナブル経営まとめ
サステナブルという考え方は、今や世界中で広がりを見せています。持続可能な社会の実現に向けて、国際組織・政府のみならず、企業や一人一人の従業員が一丸となって取り組んでいくことが重要です。
実際に多くの企業がサステナブル経営に取り組み始めています。この動きは今後も加速していくでしょう。未来の世代が安心して地球で暮らせるよう、サステナブル社会を実現していくことが現代の私たちに求められています。
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