知識

SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」を徹底解説

SDGsには17の目標があります。その7番目は「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」です。具体的にはどのようなことを目指すのか、また、実現のために克服すべき課題や取り組み例について解説します。

SDGsの目標7とは

ソーラーパネルと風力発電 エネルギー

SDGs(Sustainable Development Goals)とは、2015年9月に開催された国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記された目標で、持続可能な開発目標と訳されます。SDGsには17の目標と169のターゲットがあり、いずれも2030年までの実現を目指して各国でさまざまな取り組みが実施されています。

SDGsの目標の7番目は「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」です。この記事では具体的にはどのようなことを指しているのか、また、実現に向けて何ができるのかについてご紹介します。

「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」

国際連合広報センターによれば、2020年の時点で世界の約7億3,300万人の人々が電力を利用できていません。生活を便利にするための家電製品を使うためにも、正確な情報をパソコンやスマートフォンで入手するためにも電力は不可欠です。

SDGs7番目の目標の前半部分である「エネルギーをみんなに」を実現することで、より便利で適切な情報と雇用機会のある世界に近づけるでしょう。

また、すべての人々に電力が提供されても、地球自体が汚染され、異常気象や砂漠化などが起こるのではよりよい世界になったとはいえません。

SDGs7番目の目標の後半部分である「そしてクリーンに」を意識し、温室効果ガスを生まず、なおかつ枯渇しない再生可能エネルギーへとシフトしていく必要があります。

2019年時点では、最終エネルギー消費量全体に占める再生可能エネルギーの割合は17.7%のみです。よりよい地球を次の世代に引き継ぐためにも、クリーンなエネルギーの割合を増やしていくことが求められます。

なお、2010年の時点で電力を利用できていない人は地球上に12億人いましたが、2020年には4億以上減りました。再生可能エネルギーの総消費量は2010年から2019年の間に4分の1増加しています。

SDGs目標7のターゲット

SDGsの7番目の目標「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」には、3つの達成目標と2つの実現のための方法の合計5つのターゲットがあります。

2030年までに到達を目指す達成目標は、以下のとおりです。

  • だれもが、安い値段で、安定的で現代的なエネルギーを使えるようにする
  • エネルギーをつくる方法のうち、再生可能エネルギーを使う方法の割合を大きく増やす
  • 今までの倍の速さで、エネルギー効率をよくしていく

エネルギーが利用できない場所がなくなっても、高額で限られた人々だけが利用できるのでは意味がありません。そもそもSDGsとは、地球上の人々がだれ一人として欠けることがなく実現するための目標です。

所得が低い人々も気軽にエネルギーを利用できる程度の価格でなくては、目標を達成したことにはならないのです。

また、石油や石炭などの限りある資源は持続可能な供給源とはならないため、SDGsの目的に適いません。太陽光や風力、地熱といった枯渇しない資源を使用し、なおかつ二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーにより、電力を生み出す必要があります。

エネルギー効率の改善も、SDGsの7番目の目標を達成するために不可欠な要素です。太陽光や風力などの再生可能エネルギーは供給源が枯渇しないというメリットを持ちますが、安定して得られるとは限らず、供給量が安定しにくいという課題もあります。

エネルギー効率を改善することで消費するエネルギー量を抑制し、再生可能エネルギーだけでもまかなえる状態にすることが求められるでしょう。

これら3つの達成目標を実現するために、次の2つの方法を実施できます。

  • 国際的な協力を進めて、再生可能エネルギー、エネルギー効率、石炭や石油を使う場合のより環境にやさしい技術などについての研究を進め、その技術をみんなが使えるようにし、そのために必要な投資をすすめる
  • さまざまな支援プログラムを通じて、開発途上国、とくに、最も開発が遅れている国、小さな島国や内陸の国で、すべての人が現代的で持続可能なエネルギーを使えるように、設備を増やし、技術を高める

エネルギーの開発や効率改善などは、企業や国といった枠組みにとらわれずグローバルな規模で行うことが必要です。よりよい燃料やシステムは地球規模で共有し、だれもがエネルギーを安価に利用できるような世界を目指します。

そして、エネルギーの研究や開発には資金も必要です。国や自治体、企業が主体的に資金を提供することはもちろんのこと、投資を促す働きかけも必要になるでしょう。

SDGs目標7の現状

海と発電所

SDGsの7番目の目標である「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」は、他のSDGsの目標と同じく2030年の到達を目指してさまざまな取り組みが実施されています。

取り組みは成功し、2010年の時点では電力を利用できていない人は12億人でしたが2020年には7億3,300万人と、10年間で4億人以上もの人々がエネルギーを利用できるようになりました。

しかし、次の10年、つまり2020年から2030年までの10年間では、同じようなペースで電力を利用できない人が減るとは考えられていません。減少するペースは失速し、2030年になっても6億7,900万人の人々が電力を利用できない状態でいると試算されています。

また、再生可能エネルギーの開発や利用は増加していますが、2020年の時点で約24億人が、依然として非効率かつ環境汚染につながる調理システムを利用しているとのデータもあります。

2030年までにSDGsの7番目の目標を到達するためにも、よりいっそう電力供給の範囲を広げ、再生可能エネルギーを増やし、エネルギー効率を高めていく必要があるでしょう。

SDGs目標7の課題

瓦の屋根

多くの国々や企業では、SDGs7番目の目標達成のためにさまざまなプロジェクトを打ち立て、積極的に取り組んでいます。しかし、予想以上の成果を得られているケースもありますが、思ったよりもはかどらず、2030年までの目標到達は難しいという見方が強いです。

「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」という目標の到達を阻む課題としては、次の4つが挙げられます。

  • 発電にかかるコストが割高
  • 系統不足による電力余り
  • 発電量が不安定であること
  • 蓄電池システムが高額

それぞれの課題は以下の通りになります。

発電にかかるコストが割高

再生可能エネルギーを創出するためには、新たな発電設備を建設しなくてはいけません。また、太陽光や風力などは天候に左右されるため、常に同じ費用で同じ発電量を生み出せず、必然的にコストが割高にまります。

発電にかかるコストは、電気料金に反映されるため、消費者の負担が増加します。電気料金があまりにも高額になると、SDGs7番目の目標の「みんなに」という点の実現はさらに難しくなります

系統不足による電力余り

日本などの一部の国では、エネルギーの種類を問わず、先着順で電力系統に接続されます。そのため、再生可能エネルギーを創出しても送電線につなげられず、使用されないまま余る事態も生じています。

電力輸送を確実にする系統を充実させる、あるいは再生可能エネルギーを優先的に送電線につなぐなどの対策が考えられますが、費用面や発電量の不安定さにより実現は簡単ではありません。

発電量が不安定であること

太陽光や風力による発電は、自然を活用した再生可能エネルギーの創出方法です。しかし、いずれも天候や時間帯に左右され、安定した発電量を供給できません。

消費者がいつでも電力を利用できる状態にするためには、従来の石油などの天候などに左右されないエネルギー源を併用するなどの不足分を補う仕組みが必要です。

蓄電池システムが高額

系統不足による電力余りや発電量の不安定さなどのデメリットをカバーするためには、創出した電力を蓄える蓄電池システムが必要です。発電量が過剰な場合に、蓄電池システムで貯めることが可能であれば、再生可能エネルギーの普及が進むでしょう。

しかし、蓄電池システムは高額なため、導入が難しいとされています。また、小型化が難しいことも、蓄電池システムの導入が進まない原因の1つです。

SDGs目標7の国内の取り組み事例

水の入った透明な水筒と青空

SDGsの7番目の目標「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」を達成するために、国内外のさまざまな企業が独自のプロジェクトを立てて取り組んでいます。実際にどのような取り組みを実施しているのか、国内企業における事例を紹介します。

西日本電信電話株式会社

西日本電信電話株式会社では、設備の統配合や空調システムの効率化などを通して、エネルギー使用量を抑えたエコオフィスの推進に取り組んでいます。また、環境負荷を低減する光回線の販売拡大により、消費者も巻き込んだSDGs活動を展開しています。

株式会社伊藤園

株式会社伊藤園では、2030年に全社で使用するエネルギーのうち再生可能エネルギーが100%になることを目指し、エネルギー効率の高い製造工場や流通を実施しています。また、オフィスでもLEDライトを導入し、省エネ対策に取り組んでいます。

積水ハウス株式会社

積水ハウス株式会社では、積水ハウスのオーナーから太陽光発電の余剰分を買い取り、自社グループの事業に活用する「積水ハウスオーナーでんき」というサービスを実施しています。

多くのオーナーがサービスを利用したことにより、社内の再生可能エネルギーへのエネルギーシフトの達成が、予定より10年程度早まる見込みです。

株式会社リコー

株式会社リコーでは、2030年度までに国内拠点における再生可能エネルギー比率30%を目標にしていましたが、独自の評価制度の導入により50%の到達が見込まれています。また、海外の主要拠点では、2030年度までに100%の達成を目指しています。

SDGs目標7の実現に向けて再生可能エネルギーを活用しよう

葉のついた太い木の枝

SDGsの7番目の目標「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」を企業で達成するためには、すべての社員が環境に対する意識を高め、エネルギー問題に取り組む必要があります。

社員の意識を高め、エネルギー削減と効率化に取り組むためにも、温室効果ガスを可視化するサービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

弊社「e-dash」は、温室効果ガスの排出量削減を総合的にサポートするサービスプラットフォームです。排出量の自動計算や分析はもちろん、クリーンエネルギー調達のアドバイスまで、トータルでご提供いたします。

デモンストレーション利用もご利用いただけます。ぜひお気軽にお試しください。