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省エネコンサルティングとは?企業のメリットと取り組み事例

省エネコンサルティングとは、専門家がエネルギー利用の現状調査を行い、省エネ施策について解決策や方針を相談し、省エネ施策などを提案する職業です。

企業が専門家に求めている提案が、従来のコスト削減や生産性向上だけでなく、幅広い分野にそれぞれ精通した専門家による複数の問題を融合して解決する提案へと変化しています。

社会問題への積極的な活動は企業好感度等にもつながるため、省エネコンサルティングを活用して施策に取り組む事例が増えています。

企業が省エネに取り組むメリット、省エネの取り組み事例などを解説します。

省エネコンサルティングとは

電球マークを抱えるビジネスマンとアイコン

省エネコンサルティングとは、エネルギー管理の専門家が、企業のエネルギーの利用状況や施設、機器などを診断して改善施策を提案することを指します。

対応範囲はコンサルティング会社によって異なりますが、主に次のような項目があります。

項目具体例
設備・機器の使い方の提案利用状況のデータ分析、空調や換気設備の最適化など
省エネ機器の導入提案LED灯、人感センサー付きの照明など
再エネ活用の提案太陽光発電、風力発電システムの導入など
省エネ支援制度活用の補助補助金制度への申請、申請用資料の作成など

省エネコンサルティングの必要性

グラフを分析中の3人

現在、省エネコンサルティングの取り組みが行われていない理由として、多くの企業は専門知識を持った人材が不足していることが挙げられます。

例として、製造業では生産性の専門家が豊富な一方で、省エネの観点では検討できない、といった事例になります。

また、企業に求められている脱炭素化の必要性について理解していても、具体的にどのような施策に取り組めばよいのかわからないといった事例もあります。

この様な背景から、課題や不安についてヒアリングを行い、専門的な提案をする事が求められています。

国や自治体では、省エネ支援を目的とした各種補助金制度を実施しています。

しかし、それぞれに条件が設定されているため、申請後に誰でも補助金を受給できるわけではありません。承認に必要な資料の準備や、計画書の準備・作成といった作業や手続きを専門家に委任することで制度を活用することができます。

このように、省エネコンサルタントが活躍している背景には、補助金申請や脱炭素化の進捗報告などの複雑な事務作業を代行するサービスを行っている点も挙げられます。

企業が省エネに取り組むメリット

粘土でできた地球儀と上昇中のグラフ

省エネは設備投資などの初期費用がかかりますが、長期的に考えるとメリットのほうが大きい取り組みです。ここでは企業側のメリットとして、コスト削減、生産性向上、企業好感度について解説します。

コストを削減できる

省エネ対策は、エネルギー調達費用の削減効果を期待できます。簡単なところでは、エアコンの温度調整や出入り口へのビニールカーテンの設置によって電気利用量の削減につながります。

太陽光発電の再エネ設備導入も効果的な施策の一つです。初期費用については、シミュレーションや見積りを利用することで具体的に知ることが出来ます。短期的には初期費用やランニングコストにより一時的なコスト増加となりますが、自家消費やFIT制度(余剰電力の固定価格買い取り制度)などの活用によって、長期的にはコストを削減できる可能性があります。

2050年のカーボンニュートラル実現に向けて省エネ、再エネの補助金制度が拡充していますので、導入を検討中の企業には好材料になります。例えば、設備導入時に「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」を活用することで、省エネの生産設備やユーティリティー機器の購入に補助金が充当されます

生産性の向上につながる

省エネの観点から生産工程を確認することで、生産ラインの最適化に繋がる問題が発見できることも珍しくありません。例として、機器の風量や水量等の圧力、待機電力の発生などが挙げられます。また、レイアウトの変更により設備全体を小型化できる場合もあります。

こうした省エネ観点の施策によって生産性の向上がもたらされます。省エネへの取り組みとして、工場の稼働をデジタル化する「スマートファクトリー」へと移行することで、CO2削減と生産性向上を両立する企業も増えてきています。

相乗的な効果として、機器や設備等の寿命を延ばす効果も期待できます。また、省エネ対策に伴う日々のメンテナンスや稼働時間の短縮から、劣化が抑えられます。

企業の好感度につながる

省エネやCO2削減は、SDGsにつながります。そのため、省エネへの取り組みが社会貢献活動として認知され、取り組み実績によって企業好感度となって影響します。

企業好感度は、売り上げ向上や顧客獲得につながります。また、SDGsに取り組む企業に積極的に投資する「ESG投資」も増えているので、金融機関や投資家からの資金調達の好材料となるでしょう。

また、株式会社学情による2022年の調査では、約7割が「企業がSDGsに取り組んでいることを知ると志望度が上がる」と回答しています。省エネやCO2削減への取り組みが採用活動にも好ましい影響として期待できます。

企業の省エネ取り組み例

両手で地球を包み込むイメージ

省エネ施策は業種や職場環境によって大きく異なります。そのため、自社だけで省エネ施策を推し進めるのではなく、専門家から省エネコンサルティングを受けることが重要です。

具体的な実施イメージとして、各企業の省エネや脱炭素化を支援している一般社団法人省エネルギーセンターが紹介している事例について解説します。

  • 業種:銀行業
  • 用途:一般事務所、電算室
  • 従業員数:300名

次項から解説する施策の結果、CO2削減量101.1トン/年、エネルギーコスト削減額253.3万円/年を達成しました。

コストをかけずにできる取り組み

一般的なオフィス環境において、空調設備や換気設備の設定も省エネ対策の一つとなります。実施した内容と成果は下記になります。

項目具体策CO2削減量エネルギーコスト削減額
事務室の空調設定温度の緩和暖房温度を25℃→23℃に変更12.2トン/年30.9万円/年
事務室の外気導入量低減換気装置で取り込む外気を減らす CO2濃度600 ppm→900ppm30.0トン/年74.6万円/年
空調用冷凍機の冷水出口温度設定の緩和7℃→9℃ ※冷房負荷が高い7~8月を除く14.7トン/年36.9万円/年
合計 56.9トン/年142.4万円/年

表のとおり、既存設備の設定変更であっても、CO2の削減とコストカットを実現する事ができます。職場の快適性を維持することで、従業員の同意も取りやすいでしょう。

設備投資を通じた取り組み

続いて、設備投資による省エネの取り組みについて紹介します。ここでは身近な照明類や、ビルや工場施設にある変圧器の設備投資なので取り組みやすい設備ではないでしょうか。実施した内容と成果は下記になります。

項目具体策CO2削減量エネルギーコスト削減額
蛍光灯のLED化蛍光灯225台(85W/台)→LED灯225台(48W/台)に変更 20.4トン/年51.0万円/年
誘導灯のLED化蛍光灯型161台→LED型161台13.0トン/年32.6万円/年
変圧器の高効率化変圧器11台→高効率変圧器11台10.8トン/年27.3万円/年
合計 44.2トン/年110.9万円/年

この企業の事例では、すでに照明の間引きや、24時間点灯の照明のLED化、節電の徹底などの施策を実施していました。これらに取り組んでいない企業なら、この事例より高い省エネ効果が見込めるでしょう。

省エネは企業の利益アップにつながる

段差の矢印とNext Stageの文字

業種や規模を問わず全ての企業にとって課題となっている省エネ施策ですが、上手く取り入れることで、コスト削減や生産性向上、企業好感度などにもつながります。

様々な省エネ施策の中でも、空調や換気設備の設定変更、照明のLED化といったスモールスタートできる項目もあるので取り組みやすいのではないでしょうか。

必要に応じて省エネコンサルタント協力の元、積極的に省エネ施策に取り組むことが重要です。