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RE100のメリットとは?加盟企業や取り組み事例について解説

近年、CO2削減を行うための取り組みが世界中の企業で行われています。中でも、注目されているのがRE100です。

RE100とは、事業活動に伴う電力を、全て再生可能エネルギーで賄うことを目的として活動している国際的な企業連合です。

世界でもトップクラスの企業が多く加盟していることもあり、CO2削減への取り組みについて考えている企業にとって、RE100についての詳細を知ることは重要となります。

本記事では、RE100について解説し、加盟するメリットや加盟企業なども紹介します。

RE100とは

芝生に書かれたRE100の文字

近年、注目度が高いRE100について詳しく解説します。

RE100(アールイーヒャク)とは、事業で使用する電力の全てを再生可能エネルギーで補うことを目的とした、国際的なイニシアティブのことです。

再生エネルギー市場の拡大や、CO2排出量の削減を目的として、2014年に結成されました。

RE100は、国際環境NGOの「The Climate Group(TCG)」という団体が主導しており、RE100に加盟した企業は、達成の目標年や目標達成に向けての活動を、毎年TCGに報告する必要があります。

RE100とEP100・EV100の違い

風力発電と空に浮かぶCO2の文字

環境問題を解決させるために立ち上がった団体は、RE100以外にもあります。代表的な団体は、以下の2つです。

  • EP100
  • EV100

2つの団体は、RE100と比較してどんな違いがあるかについて詳しく解説します。

EP100とは

EP100とは、事業のエネルギー効率を倍増させることを目標に掲げている企業が加盟している国際的なイニシアティブです。高度なエネルギー効率技術を駆使し、エネルギーコストの削減やCO2の削減、エネルギー安全保障の改善を実施します。

EP100に加入し、省エネ効率を上げることでエネルギー使用量を最小化できます。最小化したエネルギーを、RE100にて再生可能エネルギーに転換すれば、脱炭素化の実現が可能となります。

EV100とは

EV100とは、輸送に伴う大気汚染や騒音公害を防ぐことや環境整備を目的とした国際的なイニシアティブです。

主に、電気自動車の使用や環境整備促進を目指した活動に取り組んでいます。加盟企業は、2030年までに事業活動で使う車を100%電気自動車にすることを目指しています。

特にガソリン車は、大気汚染の大きな要因の一つなので、この課題を解決するために電気自動車を推進しています。

そのため、EV100の参加条件として、社用車のEV化、充電器の設置などEV化を推進していることが必要となります。

RE100と非化石証書との関係

CO2と書かれた積み木と下矢印の積み木

RE100は、非化石証書を自然エネルギーの電力として認定しています。非化石証書とは、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーから取り出したものを指します。

非化石証書には、下記の3種類となります。

  • FIT非化石証書(再エネ指定)
  • 非FIT非化石証書(再エネ指定)
  • 非FIT非化石証書(再エネ指定なし)

もともとRE100に用いることができたのは「トラッキング付FIT非化石証書」のみでしたが、最近では「非FIT指定非化石証書(再エネ指定)」も使えるようになりました。

RE100に加盟するメリット

地球を両手で包み込むイメージ

RE100に未加盟であっても、CO2削減に取り組むことで社会貢献につながりますが、加盟することで下記3つのメリットがあります。

  • ESG投資へつながる
  • エネルギー価格高騰への対策になる
  • 企業好感度の向上につながる

上記についてそれぞれ解説します。

ESG投資へつながる

ESG投資とは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素を踏まえた投資になります。

近年の投資では、業績や財務状況だけでなく、環境に配慮した事業活動を行っているかも重要視されています。

RE100に加盟している企業は、全て再生可能エネルギーへ移行する企業姿勢を発信することができます。

ESGを重視する機関投資家や個人投資家から高い評価を獲得することで、資金調達への好材料となります。

エネルギー価格高騰への対策になる

RE100に加盟すると、企業で使用している電力をすべて再生可能エネルギーに移行していく必要があります。

一般的には、再生可能エネルギーの購入や、自家消費を目的とした設備環境を整えることで調達します。

また、自家消費を目的とした設備投資は、化石燃料にかかるコストの削減になります。エネルギー価格高騰等のリスク対策は、長期的に見れば大きなメリットとなります。

好感度の向上につながる

RE100に加盟することで、CO2排出量を削減をすることで、地球温暖化問題に取り組む企業として好感度の向上にも繋がります。

企業の好感度の向上は、既存の消費者だけでなく、新たな顧客層への発信に繋がります。

社会問題への取り組みで貢献することで、企業好感度を向上につなげ、業績の安定を図ることができます。

RE100に加盟企業と加盟条件

車のミニチュアと新芽の模型

RE100への加盟条件について解説します。2022年10月時点では、国内のRE100加盟企業は74社となっています。

RE100に加盟するには、下記条件に該当する必要があります。

1. 消費電力量が年間100GWh以上であること

※日本企業は50GWh以上に緩和されています(2022年10月時点)

2. 自社事業で使用する電力(GHGプロトコルのスコープ2及び1の電力消費)の100%再生エネ化に向け、期限を切った目標を設定し、公表すること

3. グループ全体での参加及び再エネ化にコミットすること

3つの条件全てに該当しなければ、加盟することができません。

Re100の取り組み事例

太陽光発電

国内の企業では74社がRE100に加盟して、CO2削減の取り組みを積極的に行っています。

加盟している企業の取り組みについて、いくつか事例を紹介します。

  • 株式会社リコー
  • 大和ハウス工業株式会社
  • 味の素株式会社
  • 株式会社 資生堂

各社の取り組みについて、順番に解説します。

株式会社リコー

株式会社リコーは、2017年4月に日本企業で初めてRE100に加盟しました。生産拠点における再生可能エネルギー由来の電力活用を拡大することを掲げ、2030年度には再生可能エネルギー使用率を50%まで改善することを目標にしています。

脱炭素社会、循環型社会を実現するために、リコーの販売拠点である欧米の販売会社10社が使用する電力を100%再エネ電力に切り替えることに成功しています。

大和ハウス工業株式会社

大和ハウス工業株式会社は、2018年3月にRE100に加盟しました。自社未利用地を活用した再生可能エネルギーによる発電事業の推進だけでなく、さらなる再生可能エネルギーの活用を推進するため、「EP100」に加盟しCO2排出削減に貢献しています。

RE100とEP100双方に加盟した世界初の建設・住宅業界の企業となった大和ハウス工業株式会社ですが、その背景には大和ハウスグループが、2007年から「風」「太陽」「水」といったの再生可能エネルギー資源の有効活用することを掲げていた社会問題への取り組み姿勢が挙げられます。

2018年2月に完工した「大和ハウス佐賀ビル」では、井水・太陽熱利用ハイブリッド空調システムなどを導入することで、一般建築の2倍以上のエネルギー効率に成功しています。

味の素株式会社

味の素株式会社は、2050年度の再エネ100%化を目標とし、2020年8月にRE100に加盟しました。

まずは中期経営戦略として、地球と環境との共存・共栄に向けて2030年度に温室効果ガス排出量を50%削減、2050年度の再エネ100%を掲げています。

具体的には、本社と全国の営業拠点で使用する電力全てに「グリーン電力証書」を購入し、環境対策に貢献しています。

他にも、ブラジルやベトナムなどの海外工場でバイオマスボイラーを設置し、サトウキビの搾りかすやもみ殻などの非可食部分や未利用部分を燃料としたエネルギーの利用を推進しています。

株式会社 資生堂

株式会社資生堂は、2022年2月にRE100に加盟しました。脱炭素社会への移行に伴い、「2026年までにカーボンニュートラル」の実現を目標として、環境対策に取り組んでおります。

具体的には、以下3つの取り組みを行い、環境保全を推進しています。

  • 地球環境の負荷軽減
  • サステナブルな製品の開発
  • サステナブルで責任ある調達の推進

地球環境の負荷軽減において、資生堂の製品工場における生産工程を見直し、高効率設備の導入をしました。これにより、CO2排出量削減を行っています。

特に国内外の製品工場と研究所の建物や敷地には、太陽光発電設備の設置を促進し、国内工場では水力発電由来の再生可能エネルギーも積極的に利用しています。

【中小企業向け】「再エネ100宣言 RE Action」とは

CO2ZEROと書かれた額縁

RE100は加盟条件が厳しく、中小企業の多くは条件を満たすことができません。

そのため、中小企業向けに再エネ100宣言 RE Actionがあります。

再エネ100宣言 RE Actionは、企業や自治体、医療機関などの団体が使用電力を100%再生可能エネルギーへ切り替える活動を促進する新しい枠組みです。

参加条件としては、以下3つをクリアする必要があります。

  • 遅くとも2050年迄に使用電力を100%再エネに転換する目標を設定し、対外的に公表すること
  • 再エネ推進に関する政策エンゲージメントの実施
  • 消費電力量、再エネ率等の進捗を毎年報告すること

2022年10月時点で条件を満たしている285団体が加盟しています。参加条件を満たした企業や団体は加盟することができるので、ぜひご検討ください。

RE100は企業価値向上につながる

太陽の光に照らされた木の枝葉

RE100は、再生エネルギー市場の拡大と、CO2排出量を削減することを目的としているため、加盟する企業や団体の増加によって目標の達成へと繋がります。加盟を通じて、再生可能エネルギーを活用することは、社会問題の解決につながるだけでなく企業にとっても大きな役割を果たします。

企業の好感度の獲得だけでなく、企業理念が浸透することによって新たな顧客の見込みにつながるといった効果も期待できるので、ぜひご検討ください。

CO2削減をはじめとした環境問題への取り組みに関心のある企業は、e-dashへご相談ください。e-dashはエネルギー消費や削減目標を可視化し、省エネやクリーンエネルギーへの移行など、企業に合った方策をご提案致します。