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PPAモデルとは?太陽光発電を導入するメリットとデメリットを解説

太陽光発電システムを初期費用をかけずに導入できる、PPAモデルが注目されています。PPAモデルは、自社で保有することなく太陽光発電を利用できる仕組みです。

本記事では、PPAモデルで太陽光発電を導入するメリットとデメリットについてご紹介します。

太陽光発電のPPAモデルとは

太陽光パネル

PPAとは、「Power  Purchase  Agreemen(電力販売契約)」のことを指し、第三者所有モデルとも呼ばれています。

太陽光発電を導入しようとする企業や自治体が、電力会社ではなく太陽光発電を管理する企業(PPA事業者)と契約することで、初期費用をかけずに太陽光発電システムの設置ができる仕組みです。

太陽光発電の設備自体はPPA事業者が保有するため、資産保有をすることなく再生エネルギーを利用できます。

PPAモデルの特徴と一般的な太陽光発電システムの違い

一面に広がる太陽光設備

PPAモデルと一般的太陽光発電システムの違いは下記の通りです。

PPAモデルの特徴・無償で太陽光発電システムを設置できる
・PPA事業者が太陽光発電装置のシステムを維持管理する・契約期間が決まっている
・条件によっては太陽光発電の導入をできない場合がある
一般的な太陽光発電システムの特徴・導入やメンテナンスに費用が掛かる
・長期間稼働することで投資効果が得られる
・余った電力は売ることができる

大きく異なる点として、使用者である企業などが無償で太陽光発電設備の設置から維持管理まで行えることが挙げられます。

PPAモデルのメリット 

風力発電と太陽光パネル

PPAモデルのメリットについて5つ解説します。

  • 初期費用をかけずに太陽光発電システムを導入できる
  • メンテナンス費用がかからない
  • 電気代の削減が期待できる
  • CO2削減になり、企業好感度の向上につながる
  • 非常用電源として活用できる

初期費用をかけずに太陽光発電システムを導入できる

PPAモデルの最大のメリットは、高額な産業用の太陽光発電システムを、初期費用をかけずに導入できることです。PPA事業者も、無料で太陽光発電の設置場所を借りることができ、電気料金として収入が得られるため、お互いにメリットがあります。

メンテナンス費用がかからない

太陽光発電システムはPPA事業者が所有し管理するため、メンテナンスや修理はPPA事業者が行います。そのため企業は管理やメンテナンスのコストを削減できます。

所有者はあくまでもPPA事業者であり、土地や施設を保有している企業や自治体ではありません。

所有者がPPA事業者であるため、太陽光パネルが劣化して発電効率が低下したときや、設備の故障時も無償で交換してもらうことができ、メンテナンス代を準備する必要もありません。

日々のメンテナンス費用や、大きな出費となる修理代などが掛からない点が、大きな魅力です。

電気代の削減が期待できる

太陽光発電により作られた電気には、再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)がかかりません。再エネ賦課金は、電気料金とあわせて徴収され、通常電気を使うすべての人が負担するものです。

再エネ賦課金は、電気事業者が買取制度で電気を買い取るための費用に回されています。

再エネ賦課金は年々料金が上がっており、企業にとっても少なくない負担となります。

太陽光発電設備を導入していれば、再エネ賦課金が掛からない分、電気代の削減ができる点は魅力的なメリットになります。

CO2削減になり、企業好感度の向上につながる

PPAモデルを利用し、太陽光発電を導入することは、企業や自治体としてCO2削減する取り組みになります。

CO2削減など環境への取り組みを行うことで、社会的にクリーンな企業のイメージへとつながります。環境にも優しく、企業のイメージアップにもつながるため、大きなメリットと言えるでしょう。

また、CO2削減への取り組みや再エネの利用の拡大は、RE100への加盟へのきっかけにもなります。

近年では、再生エネルギー100%で企業活動を目指す「RE100」と呼ばれる、国際的な取り組みに加入する企業が増加中です。

加入には審査があり、無事通過すると環境保護や社会問題解決に取り組む企業として社会的に認識されます。

さらに、RE100への加盟や加盟を目指した取り組みは「ESG投資」にもつながるでしょう。ESG投資とは、財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資のことを指し、近年注目が高まっています。

ESG投資の具体的な内容として以下になります。

E(Environment:環境)・再生可能エネルギーの使用
・CO2排出量の削減
・製造工程でも廃棄物の低減
S(Social:社会)・地域社会への貢献
・人材の多様化・女性の活躍
・人的資本の活用
G(Governance:企業統治)・積極的な情報開示
・取締役会の多様化
・資本効率への高い意識

非常用電源として活用できる

蓄電池と組み合わせることで、非常用電源として活用ができます。

災害などで停電が発生した場合、太陽光発電設備を導入していない事業所では、電気の供給が止まり、業務に支障が出る可能性があります。

太陽光発電設備と蓄電池を組み合わせれば、災害や緊急事態に停電が起こった場合でも、非常用電源として使うことが可能です。

いざという時の問題をカバーできるので、経済的損失を最小限に抑えられるでしょう。

PPAモデルのデメリット 

メリットとデメリット

PPAモデルのデメリットについて3つ解説していきます。

  • 10年〜15年の長期契約が必要
  • 自由に移動や撤去ができない
  • 自己所有型に比べると電気代の削減効果が低い

順番に解説します。

10年〜15年の長期契約が必要

PPAモデルは一般的に10〜15年の長期契約となるため契約期内容の精査が必要です。

PPA事業者は、太陽発電設備に投資した費用を回収するまで、長期間契約しないと損をしてしまうので、10〜15年、長い場合だと20年という長期契約になります。

また、施設の利用状況の変化や、電力使用量が減少した場合、違約条項などが設定されている場合もあります。

PPAモデルを契約する前は、事前に雛形などを入手し、契約内容の条項についての事前の確認が重要です。

自由に移動や撤去ができない

設備はPPA事業者の所有物のため、自由に移動や撤去をすることができません。

太陽光発電設備を移動することで、今まで安定して発電できていた電力を供給ができず、PPA事業者に損失を与える場合があるからです。

また、太陽光発電設備は産業廃棄物なので、撤去時の費用には数十万円程度の負担が掛かります。撤去費用は所有者である、PPA事業者が支払うためPPA事業者に損失を与えます。

自己所有型に比べると電気代の削減効果が低い

月々の節約額は自己所有型に比べると少なく、売電もできないため電気代の削減効果が低く感じる場合もあります。

自己所有型の場合、余った電力は売電ができ、収入が見込めるので電気代の削減に関するメリットは感じやすいでしょう。

しかし、PPAモデルには初期費用やメンテナンス費用等が必要がないので、総合的に見るとコスト削減のメリットも大きいです。

PPAモデル以外の太陽光発電システム導入の方法

太陽光パネルと雲が広がる空

 

PPAモデル以外で太陽光発電システムを導入する方法は「自己所有」と「リース」の2種類です。それぞれ詳しく解説します。

自己所有型

自己所有型は、自社で太陽光発電設備を導入し、維持管理を行う方法です。自己所有なので、導入にはまとまった費用がかかり、維持管理にも費用がかかります。

しかし、余った電力を売れるので、長期的に稼働すれば設備にかかる費用分をある程度は回収が見込めるでしょう。

自己所有型のメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット・長期間稼働することで、投資費用の回収以上の期待ができる
・余った電力を売って収入を得られる
デメリット・設備の導入やメンテナンス費用の負担が大きい
・資産計上するので財務指標の手続きを行うので手間がかかる

従来は売電収入を得ることを目的とし、自己所有型の太陽光発電を導入するケースが多くありましたが、売電価格が低下傾向にあるため、以前よりも利益が出しづらくなっています。

リース

リースは、リース事業者から太陽光発電設備を借りて利用する方法です。リース料を払うことで、メンテナンスや万が一故障や交換が必要になった場合でも追加料金が必要ありません。

リースのメリットやデメリットは以下になります。

メリット・設備導入費用やメンテナンス費用が不要で太陽光発電設備を導入できる
・余った電力を売って収入を得られる(FIT活用のみ)
デメリット・月々のリース料が必要
・リースは資産計上しないとけない
・リース契約を終了すると何も残らない

リースはPPAモデルと似ていますが、リースはレンタル料を支払い、太陽光発電設備を借りているため、太陽光発電設備からの電気は無料で使え、売電もできる点が大きな違いです。

PPAモデル導入に活用できる補助金 

資料と計算機

環境省では、PPAモデルの導入を促進し再生可能エネルギーの普及につなげるため、補助金制度を設けています。

令和4年度の補正予算として、「PPA活用等による地域の再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業」として予算が計上されました。

その他にも自治体ごとにPPAや太陽光発電に関する補助金制度を設けている場合もあるため、補助金について定期的にチェックしてみるとよいでしょう。

太陽光発電の導入の際はPPAモデルも検討してみよう 

青空と太陽光パネル

太陽光発電は、イオンやセブン&アイ・ホールディングスなど、すでに多くの企業で取り組まれています。

PPAモデルを導入することで、初期費用やメンテナンス、突発的なトラブルも費用を掛けず、大幅にコストを削減して太陽光発電設備の導入ができます。また、再生エネルギー利用促進につながるため、国や自治体からの補助金を活用することも可能です。

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