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業界動向

プラスチックリサイクル率の割合は?廃プラの問題点も詳しく解説

自然と水

私たちは本当に効率よくプラスチックをリサイクルできているでしょうか?

近年、地球環境の問題が深刻化する中で、プラスチックのリサイクルは大きな注目を集めています。

その背景には、リサイクルによる複数のメリットが存在します。

リサイクル率を向上させることにより、資源の有効活用が促進され、ゴミの量を減少させるだけでなく、新たなプラスチックの製造に伴うCO2排出の削減にも繋がります。

この記事では、その重要性と具体的なメリットに焦点を当てて詳しく解説していきます。

プラスチック廃棄物がもたらす環境問題

太陽と水

この章では、私たちの生活に欠かせないプラスチックがどのように環境へ影響を及ぼしているのか、具体的な問題点とその背景を解説していきます。

輸入規制により廃プラスチックの行き場が無くなった

2021年、バーゼル条約の大きな改正が行われ、廃プラスチックの輸出入が規制対象となりました。

これにより「廃プラスチックは輸出前に輸入国の明確な同意が必要となる」という新しいルールが施行されました。

日本は、実は世界第3位の廃プラ輸出国です。

主に中国やマレーシアといった国々へ輸出しています。

この新たな規制によって、廃棄物の処理方法やリサイクルへの取り組みが一層重要となってきました。

プラスチックごみによる海洋汚染が深刻化している

近年、私たちが使ったプラスチックが、廃棄後海洋環境にどのような影響を及ぼしているのかが大きな問題となっています。

廃棄されたプラスチックは海に流出し、小さな粒子となって魚やクジラの体内に蓄積します。

そして、これらのプラスチック粒子は魚達の体内を経て私たちが飲む海洋深層水などの飲料水にも混入します。

この深刻な状況は、「SDGs」の目標14「海の豊かさを守ろう」にも関連し、現在即時の対策が強く求められているのです。

「プラスチックリサイクル」が進まない理由や問題 

小さな家電やゴミ箱

この章では、プラスチックリサイクルの背後に潜む難しさや課題点に焦点を当てて解説します。多くの人々が疑問に思う「なぜリサイクルが進行しづらいのか?」その核心に迫ります。

加熱処理による空気汚染や、資源の焼却が問題

「サーマルリサイクル」という加熱処理によるリサイクル方法は、二酸化炭素を排出し大気汚染の原因となっています。

加えて、この方法ではプラスチックを新たな製品の原料として再利用することが難しく、多くは焼却されてしまいます。

焼却するだけの処理方法は、持続可能なリサイクルとしては望ましくありません。

リサイクル原料からの再生産にはコストがかかる

廃プラスチックを再生産する場合、元の原料状態に戻してから加工しなければなりません。

しかし、これには手間とコストがかかり、新しい資源を使って新製品を作るよりも負担が増えてしまいます。

このように、経済的な課題もリサイクルの進行を阻む要因となっています。

日本のプラスチックリサイクル率の現状と比較

プラスチック製品とエコ製品

この章では、日本のプラスチックリサイクル率の現状を国際的な観点で比較しながら、具体的な数値や背景を深く探ります。ヨーロッパとの違いや、年間の変化も詳細に解説します。

日本のプラスチックリサイクル率は現状「86%」

日本のプラスチックリサイクル率は表面的には86%と高い数字を示しています(2021年)

けれども、詳しく分析すると別の現実が浮かび上がります。

実際の日本のプラスチックリサイクル率はサーマルリサイクルを除外すると約25%です。

ヨーロッパの基準では、サーマルリサイクルはリサイクル率の計算に含めないため、日本との違いは歴然です。

日本でサーマルリサイクルが多用される主な理由は、新しい製品の生産に関連するコストや品質の担保が難しいからです。

よって、日本のプラスチックリサイクル率を必ずしも「86%」と断定することは出来ないでしょう。

【2019年】リサイクル(回収・再資源化)率

2019年のデータによれば、軽量化率は24.8%、リサイクル率は85.8%です。この年には、国内でのリサイクル量は327千トン、海外では182千トンとなっています。継続的な取り組みを感じることが出来ます。

【2020年】リサイクル(回収・再資源化)率

2020年では、軽量化率が25.3%に上昇し、リサイクル率も88.5%と向上しました。

内訳を見ると、マテリアルリサイクルが22%、ケミカルリサイクルが3%、サーマルリサイクルが60%です。リサイクル量としては、国内344千トン、海外144千トンを記録しています。

【2021年】リサイクル(回収・再資源化)率

2021年の軽量化率は25.6%、リサイクル率は86.0%となっています。

国内のリサイクル量は前年よりも増加して377千トン、一方、海外は122千トンと若干の減少が見られました。変動の背景や原因を追及するのも興味深い点となります。

世界(OECD加盟国)のリサイクル率最新ランキング

地球と自然のモチーフ

OECD加盟国の中でのリサイクル率を見ると、スロベニアが52.8%で首位を占めます。

続いて、ドイツが48.6%、スイス42.0%と続きます。

その後もスウェーデン34.0%とヨーロッパ国が上位を占める中、韓国も高いリサイクル率を示しています。

加えてルクセンブルク、オランダ、ベルギー、チェコ、オーストリアと続き、欧州のリサイクル率の高さがわかります。

EU加盟国が上位に入る割合が多い

欧州の国々は、SDGsの取り組みの中で、プラスチック廃棄物のリサイクル政策が進展しているため、高いリサイクル率を示しています。

特にEU加盟国では、2025年までにプラ包材のマテリアルリサイクル率50%を、2030年までには55%を達成するという共通目標を掲げ、一丸となって取り組んでいます。

EU加盟国が上位ランク入りしている背景にはこれがあるのです。

EU内のグローバルメーカーの取り組み

欧州のグローバルメーカーもプラスチックリサイクルに対して新たな取り組みを行っています。

例えば、モンデリーズ・インターナショナル社は2022年よりクリームチーズのブランドで知られるフィラデルフィアの包材に再生プラスチックを使用するそうです。

他、プラスチックリサイクルのスタートアップ企業、カービオスはネスレ社などから資金提供を受け、新しい酵素を使ったPET向けの再生プラスチック生成技術の開発していく予定だそうです。

日本政府や企業のプラスチックリサイクルへの取り組み

地球儀と森

日本の行政と企業が、プラスチックリサイクルに関してどのように取り組んでいるのか、具体的な例をもとに紹介してまいります。

プラスチックリサイクルは3種類ある

プラスチックリサイクルには、具体的には三つの方法があります。

まず、「マテリアルリサイクル」とは廃棄物を原材料として再利用するもので、原材料へのリサイクルを行います。

次に「ケミカルリサイクル」とは、廃棄物を化学的に処理して分子レベルに分解し、新しい燃料や物品の原料として利用することです。

そして、「サーマルリサイクル」は廃棄物の焼却による熱エネルギーを活用する処理方法。

日本での採用率は56%と半分以上この方法によって処理しています

行政や企業などによる現状の取り組み

日本では、生分解性プラスチックの開発や、海洋・海底のゴミ回収・処理システムの構築、マイクロプラスチックの回収・分析といった行政の取り組みが進行中です。

企業も後れをとらず、すかいらーくはプラスチック製品の廃止を、ネスレ日本はキットカットの包装を紙に、カルビーは持続可能な社会を目指し、サントリーは世界初の植物由来100%のペットボトルキャップを採用するなど、多岐にわたる取り組みが進行中です。

新しいビジネスの可能性

リサイクル技術の進化は、新たなビジネスの機会をもたらします。

例えば、エフピコは使用済みトレーの効率的な収集に成功しました。

他に東洋インキグループは、プラスチック包装の複層構造を分離する技術を開発。

また、廉価燃料「RPF」も石炭代替として注目を浴びています。

企業がプラスチックリサイクルを行うメリット

メリット

企業がプラスチックリサイクルに取り組む際のメリットを具体的な例とともに解説します。

プラスチックリサイクルを行い業務のスリム化やコスト削減を

企業がプラスチックリサイクルに取り組んでいくことは、イメージUPや経済的メリットなどにつながります。

具体的には、廃棄物の削減や業務のスリム化、それに伴ってごみ処理コストを大幅に削減出来ます。

プラスチックリサイクルを進めて循環型経済に

2022年4月に「プラスチック資源循環促進法」が施行されました。

この法律のもと、メーカーは国の設計指針に基づいて、設計・製造段階でのプラスチックの使用量削減の取り組みが必須となりました。この動きを背景に、プラスチック循環プラットフォームの構築が進み、社会全体が循環型経済へと大きくシフトしています。

まとめ

電球と芽

日本におけるプラスチックリサイクル率は、現状充実しているとは言い難いでしょう。

特にコストがかかり過ぎるため他のリサイクル方法が採用出来ず、大半がサーマルリサイクルによって賄われている事などが課題となっています。

プラスチック製品はもはや私たちの生活には欠かせません。

それ故、無くすわけにはいかないのでサステナブルに使える循環型にもっと力を入れていかなければなりません。

今企業には、循環型経済を視野に入れ、サステナブルに資源を有効活用するよう求められているのです。


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