知識

発電方法の種類と特徴を解説!環境に優しい再生可能エネルギーとは?

海沿いの風力発電

日々の生活で欠かせない電気は、どのような方法で生成されているのでしょうか?特に近年、地球の環境問題が注目される中、環境に優しく持続可能な再生エネルギーの重要性にも関心が高まってきました。

この記事では、各発電方法の特徴を解説しながら、再生エネルギーのメリットに焦点を当てていきます。環境との調和を求める現代、どのようなエネルギーが私たちの未来を支えるのか、一緒に考えてみましょう。

世界や日本の電気構成の割合

グラフ ひらめくアイデア

現在の日本では、どの発電方法が主流か知っていますか?この章では、日本や世界の電気構成とその背景を紹介します。現状を知ることで、今後のエネルギー政策の方向性を理解しましょう。

日本では化石燃料による火力発電の割合が72.9%

2021年度において、日本のエネルギー供給のうち72.9%が化石燃料による火力発電で占められています。しかし、「2050年までにカーボンニュートラルを実現する」という宣言が出され、今後は火力発電に頼る割合を減らす方向に進むと考えられます。

また、2011年の東日本大震災による福島第一原発事故は、原子力発電のリスクを改めて浮き彫りにしました。原発が稼働停止となったことにより、再生エネルギーへの関心が高まったのです。

更に、2030年度には野心的な電源構成(エネルギーミックス)として、再生可能エネルギーの発電割合を36〜38%まで伸ばす見通しを立てています。この背景には「S+3E」の考え方があり、安全性(Safety)を前提に、「安定供給(Energy Security)」「環境適合(Environment)」「経済効率性(Economic Efficiency)」といった理念でエネルギー施策を進めています。

アメリカは天然ガスの発電が39%を占める

アメリカのエネルギー構成は多様化しています。天然ガスによる発電が39%と大きな割合を占めていますが、原子力20%、再生可能エネルギーが15%と続き、非化石電源の比率は合計で35%になります。こうした構成は、ドイツなどの他国と比較すると、ガス化が進んでいることが伺えます。

また、アメリカでは2035年には電力供給を100%脱炭素化することを目指しており、その方針がエネルギー構成に影響を及ぼすことが予想されます。

ヨーロッパは自然エネルギー発電の割合が高い

ヨーロッパ諸国では、再生可能エネルギーへの転換が進んでいます。特に、スウェーデンやポルトガルは化石燃料の割合を上回る再生エネルギーの利用が目立ちます。デンマークでは、再生可能エネルギーの割合が約80%に達しており、持続可能なエネルギー政策の先進例として注目されています。

発電方法の種類と特徴をおさらいしよう

ソーラーパネルのイメージ

発電とは、熱や光、風などのエネルギーを電気に変換することで、発電手法にはさまざまな種類があります。特に「火力発電」「原子力発電」「水力発電」「太陽光発電」については、皆さんも見聞きしたことがあるかと思います。それぞれに特徴とメリットがあり、適切に使い分けることで安定したエネルギー供給が期待できます。詳細については、下記の発電方法ごとに後述していますので、是非最後までご覧ください。

主な発電方法

  • 火力発電:化石燃料を燃やす
  • 原子力発電:原子炉の中核分裂させて熱エネルギーを作り出す
  • 太陽光発電:太陽の光エネルギーによって発電
  • 水力発電:水を流した際の運動エネルギーで水車・タービン回して発電
  • 風力発電:巨大な風車を風の力で回転させ、回転エネルギーで発電
  • バイオマス発電:化石燃料以外の動植物の燃料を利用した発電
  • 地熱発電:地熱エネルギーを使用して発電

どのような発電方法が最適なのかを検討する際には、エネルギー源・効率や安全性、環境への影響など様々な要素が関係します。それらを理解することで、環境保護への関心も高まることでしょう。

「火力発電」の特徴と日本での発電割合

夜 発電所 火力発電所 空撮

日本のエネルギー構成を見ると、火力発電は中心的な役割を果たしています。2021年度の日本国内の電源構成の推移を調べると、LNG(天然ガス)・石炭・石油など、火力発電に関わる燃料の割合は全体の70.9%に及ぶのです。しかし、この数字は2020年度と比べると5%ほど減少しており、他の発電方法への転換の兆しが見えています。

発電方法について

火力発電の燃料としては、石炭・天然ガス・石油などの「化石燃料」が使われています。具体的には、これらの燃料を燃やして生じた熱で水を沸騰させ、その蒸気をタービンにぶつけて回転させることで電気を発生させています。また、火力発電の中でも細かく分かれており、汽力発電・ガスタービン発電・コンバインドサイクル発電といった方法があります。

火力発電を導入するメリットとデメリット

火力発電の導入は、燃料があれば安定した電力供給が可能な点が大きなメリットとなっています。特に、気候や周辺環境の変動に左右されず、エネルギー変換効率も高く、発電量の調整が可能です。

しかしながら、CO₂の排出や、燃料の大部分を海外からの輸入に頼っているというデメリットも無視できません。更に、火力発電と二酸化炭素の排出量は密接な関係にあり、SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」にも直結する課題となっています。

「原子力発電」の特徴と日本での発電割合

原子力発電所

原子力発電は日本のエネルギー供給において大きな役割を果たしてきました。2021年度の日本の電源構成を見ると、原子力は全体の6.6%を占めています。これは2020年度の3.7%から大きく増加し、約1.7倍になっています。

発電方法について

原子力発電の基本原理は火力発電と似ており、熱エネルギーを利用して電気を生み出します。火力発電と大きく異なるのは、原子炉で核分裂を起こしてエネルギーを生成する点です。具体的には、原子炉内でウラン235という特定の燃料を使用し、核分裂によって発生した熱エネルギーを利用して発電しています。

原子力発電を導入するメリットとデメリット

原子力発電には、CO2を排出せず、燃料の安定供給が可能であり、電気料金の安定にも寄与するという大きなメリットがあります。

その一方で、放射線事故のリスクや使用済み燃料の処分問題など、大きな課題も伴います。特に、事故が起きた場合の影響や、燃料の長期保存に必要な場所の確保が難しいというデメリットが重要視されています。

環境に優しい再生可能エネルギーに切り替えていこう

地球と植物のイメージ

従来の発電方法の課題を踏まえ、今日では再生可能エネルギーの重要性が増してきています。地球の未来を考え、環境に優しいエネルギーを求める声が高まっていますが、まずは再生可能エネルギーの定義から簡単に解説していきます。その必要性、そして私たちがどう行動すべきかの参考にしてみてください。

「再生可能エネルギー」とは?

まず、「再生可能エネルギー」とは、温室効果ガスを排出しない持続可能な発電方法のことを指します。化石燃料に頼る現状から脱却し、クリーンなエネルギーへとシフトしていく動きが世界中で加速しています。この再生可能エネルギーは、今後のエネルギー政策の主軸となることが期待されています。

再生可能エネルギーに切り替える必要性

2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、今後は再生可能エネルギーへの転換が不可欠です。SDGsの目標「7:エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」や「13:気候変動に具体的な対策を」という理念も、再生可能エネルギー導入の背景にあります。この2つの目標を達成するため、私たち一人ひとりが再生可能エネルギーへの理解を積極的に深めていくことが求められています。

次の章では、再生可能エネルギーでの主な発電方法について解説します。

再エネ:「太陽光発電」の特徴と日本での発電割合

ソーラーパネルと青空

太陽光発電は、再生可能エネルギーの代表的な形態として注目されています。2021年度の日本の電源構成において、太陽光発電は全体の9.5%を占めていることから、その普及の度合いが伺えます。この章では、太陽光発電の具体的な発電方法や、メリット・デメリットについて詳しく解説していきます。

発電方法について

太陽光発電は、太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換する方法です。この変換の際、N形とP形という2種類の半導体に光を当て、エネルギーを発電します。太陽光パネルには「結晶シリコン太陽電池」「薄膜シリコン太陽光パネル」「CIGS系太陽光パネル」など、いくつかの種類があります。

太陽光発電を導入するメリットとデメリット

日本は、太陽光発電設備の容量について世界第3位の多さを誇ります。これはCO2の排出がなく環境に優しい点や、最近では販売会社が多く存在する点で徐々に導入が広がっていることが理由として挙げられます。また、FIT制度やFIP制度を利用して、発電した電気を電力会社に売ることが可能なため、企業でも導入へのハードルが下がっているものと思われます。

しかし、日本は平地が少ないため設置場所が限られるという課題や、発電量が天候に左右される上、導入やメンテナンスに費用がかかるデメリットもあります。

再エネ:「水力発電」の特徴と日本での発電割合

水力発電の取水口

水力発電は、再生可能エネルギーの中でも長い歴史を持つものとして知られています。2021年度における日本の電源構成では、水力発電が全体の7.6%を占めており、その存在感を示しています。この章では、水力発電の具体的な発電方法や、メリット・デメリットについて詳しく解説していきます。

発電方法について

水力発電は、水の運動エネルギーを利用して、水車やタービンを回し電気を発生させる仕組みです。具体的な方式としては、「水路式」「調整池式」「貯水式」「揚水式」といったものがあります。さらに、運用方法による分類では、「流れ込み式」と「ダム式」の2つが主に取り上げられます。

水力発電を導入するメリットとデメリット

水力発電は再生可能エネルギーの中でも発電や管理のコストが安く、エネルギー変換効率が高いというメリットがあります。特に、起伏が多い日本は、水力資源が豊富で、その導入に向いています。

しかし、発電量は降水量に左右されるというデメリットがある上、新たなダムの建設は、環境や生態系への影響、そして高いコストが伴います。

再エネ:「風力発電」の特徴と日本での発電割合

風力発電

風力発電は再生可能なエネルギーの中でも普及が進んでいない、風の力を利用した発電手法です。2021年度の日本国内の電源構成において、風力発電はわずか0.9%を占めており、2020年度と変わらず、まだ十分に普及していない状況です。この章では、風力発電の具体的な発電方法や、メリット・デメリットについて詳しく解説していきます。

発電方法について

風力発電の原理は、巨大な風車を風の力で回転させ、その運動エネルギーを電気エネルギーに変換するというものです。具体的には、風が風車の翼を動かし、その回転を発電機に伝えることで、電気を発生させます。

風力発電を導入するメリットとデメリット

風力発電は、自然界に常に存在する風のエネルギーを利用するため、エネルギー変換効率が良く、適切な条件下ではコストも低く抑えられるメリットがあります。

しかしながら、日本は陸上の適地が少なく、また、台風や落雷の影響を受けやすい環境であるため、導入には注意が必要となります。

再エネ:「バイオマス発電」の特徴と日本での発電割合

バイオマス発電所

バイオマス発電は、動植物のエネルギー資源を利用する再生エネルギーの発電方法の一つです。2021年度の日本国内の電源構成では全体の4.3%を占め、微増の傾向にあります。この章では、バイオマス発電の具体的な発電方法や、メリット・デメリットについて詳しく解説していきます。

発電方法について

バイオマス発電とは、化石燃料以外の動植物由来のエネルギー資源、すなわち「バイオマス」を燃料として利用する発電方法を指します。主要なバイオマス燃料には、木質燃料やバイオガスが含まれます。その発電方式としては、「直接燃焼方式」、「熱分解ガス化方式」、「生物化学的ガス化方式」の3つが存在します。

バイオマス発電を導入するメリットとデメリット

バイオマス発電の導入には、安定した発電量の確保や資源の循環性といったメリットがあります。特に、地域資源を活用する「エネルギーの地産地消」が新たな取り組みとして進められています。

しかし、廃棄物系バイオマスを燃料とする際は、廃液処理のコストが発生します。

再エネ:「地熱発電」の特徴と日本での発電割合

山川地熱発電所と開聞岳
Exif_JPEG_PICTURE

地熱発電は、地中の高温を利用した発電方法の一つです。2021年度の日本国内の電源構成においては、地熱発電は全体の0.3%を占めており、2020年度と比較しても変化は見られません。この章では、日本での地熱発電の具体的な発電方法や、メリット・デメリットについて詳しく解説していきます。

発電方法について

地熱発電は、地下深くにある高温水や蒸気を利用して発電します。このエネルギーの源泉は、岩が熱で溶けて存在するマグマ溜まり(マグマ貯留体)です。地熱発電の方法としては、「フラッシュ方式」と「バイナリー方式」「ドライスチーム方式」の主に3種類が主流となっています。

地熱発電を導入するメリットとデメリット

地熱発電は石油や石炭のように資源枯渇の心配がなく、計画的に使用すれば永続的な発電が可能です。また、火力発電と比較して二酸化炭素の排出量が少なく、使用後の蒸気や熱水は河川水と熱交換することで再利用が可能となっています。

しかし、地熱発電所の場所は公園や温泉地などと重なるため、設置には地元との調整が必要という課題があります。また、発電所の開設までに約14年と長い時間がかかり、資金の回収も時間が必要です。

おもしろい発電方法も研究が進められている

環境問題を考えるビジネスマン

従来の発電方法以外にも、日本や世界では珍しい発電技術が研究・開発されています。環境にやさしい独特の発電方法や、未来のエネルギーを担う可能性がある技術について紹介します。

海洋エネルギーや水素など研究中の発電方法

海洋は、豊富なエネルギー源としての可能性を秘めています。海水を使用した発電方法の中でも、「波力発電」は海の運動エネルギーを、「潮力発電研究」は海水の流れを利用して発電する方法です。

また、水素を使った発電も期待されており、燃焼しても二酸化炭素を排出しないのが特長です。これらの研究開発には、政府からの補助金が投じられています。

「うどん」から?珍しい発電方法もある

驚くべきことに、香川県では廃棄されるうどんからも発電が可能という研究が行われています。うどんの廃棄物を有効活用し、環境への負荷を軽減する新技術として注目されています。

その他、風車が空中に浮かぶという珍しい形の発電方法があります。「空中浮体式風力発電」と呼ばれ、効率的に電力を生成する技術も開発されています。

これらは、未来のエネルギー資源として大きな期待が寄せられているのです。

まとめ

森の中のガラスの地球儀

本記事を通じて、多岐にわたる「発電方法」の種類と特徴を紹介しました。日本や世界の電気構成割合から、火力発電や原子力発電の現状、そして環境への影響を考慮した再生可能エネルギーの取り組みまで、多角的に見てきました。さらには、海洋エネルギーや水素を活用した先進的な研究や、驚きの「うどん」からの発電方法など、未来の可能性に満ち溢れた内容も紹介しました。

発電方法は、社会の発展や環境問題と深く結びついており、その選択は私たちの未来を大きく左右します。今後も新しい発電技術の発展と、地球資源を守る動きに注目しましょう。
e-dashはエネルギーの最適化からCO2削減までをトータルにサポートするサービスプラットフォームです。省エネ法改正に伴う目標設定やロードマップの作成、報告対応もしっかりと支援します。省エネ法改正への対応にお困りの企業はぜひお気軽にご相談ください。