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「宣言することで行動を変えていく」リコーが日本で初めてRE100に参加した理由

「宣言することで行動を変えていく」リコーが日本で初めてRE100に参加した理由
左から平井真紀子さん、清水洋岐さん / photo by 曽川拓哉

「リコー」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。複合機やプリンター、デジタルカメラ…。真っ先に浮かぶのは、お馴染みの社名ロゴマークが付いた、こうした電子機器かもしれません。

一方で、同社はもう1つの「顔」も持っています。それは、日本を代表する“環境先進企業”であるということ。

使用する電力を100%再エネで調達することを目指す企業イニシアチブ「RE100」。2017年、日本企業で初めてこのRE100に参加したのがリコーでした。

e-dashは2023年6月、リコーグループの「リコージャパン」と業務提携しました。脱炭素に関する互いのサービスやソリューションを掛け合わせることで、企業の脱炭素を支援していきます。

リコージャパンがe-dashと共に描く脱炭素の道筋とは。そして、そもそも「環境のリコー」はいかにして生まれたのかーー。

同社のパブリックサービス本部 スマートエネルギー事業部 脱炭素・エコソリューション事業企画推進室の清水洋岐さん、平井真紀子さんにお話を聞きました。

<この記事は、CO2排出量削減への取り組みを総合的にサポートするサービスプラットフォーム「e-dash」のウェブサイトより一部編集した上で転載しています>

「宣言することで行動を変えていく」。RE100参加への覚悟

「宣言することで行動を変えていく」。RE100参加への覚悟

──昨今「サステナビリティ経営」が大きな注目を浴びていますが、リコーグループは25年以上も前から「環境経営」を掲げてきました。どのような考え方なのでしょうか。

清水洋岐さん(以下、清水):環境保全と利益創出の同時実現。これが私たちの定義する「環境経営」です。

環境保全活動で何よりも重要なのは、長期的な視点に立ち、取り組みを継続していくこと。事業が好調な時だけ積極的に取り組み、収益が少ない時には利益確保を優先するというのでは、効果は限定的です。

だからこそ私たちは、環境保全活動を通じて利益を創出し、経営と一体となって継続的に環境保全を進めていくことが重要だと考えています。

──「環境経営」を掲げたきっかけは何だったのですか。

平井真紀子さん(以下、平井):「環境経営」の源流には、「人を愛し 国を愛し 勤めを愛す」という創業の精神「三愛精神」があります。このうち「国を愛す」は、日本だけでなく世界の国や地域、すなわち地球を愛するということを意味しています。

また、「環境経営」という言葉を掲げたのは1998年ですが、取り組み自体を開始したのは実は1970年代のことです。当時の日本では、企業の環境に対する取り組みというと公害対応や法規制対応がメインでしたが、欧州ではすでに企業が経営戦略として環境問題に取り組み始めていました。当時の経営層がこうした潮流をいち早く察知して、社内に環境対策室を置いたのが出発点になっています。

「環境経営」を掲げたきっかけは何だったのですか。

──リコーグループと言えば、日本企業として初めて「RE100」に参加したことで知られています。

清水:RE100への参加を決めた理由は、主に4つあります。

1つ目が、再エネの促進です。最大の電力需要家である企業が「再エネを優先的に購入する」と宣言することで、供給側の変革を促せると考えました。

2つ目が、「環境のリコー」として、企業価値をさらに押し上げることです。また、この企業DNAを社外のみならず、改めて社内にも周知したいという狙いもありました。これが3つ目の理由です。

4つ目が、自社の環境エネルギー事業拡大の後押しにしたいという狙いでした。

参加にあたっては、参加を決めた当時の社長自身、「本当に達成できるのか」という躊躇いもあったそうです。ただ、それ以上に「宣言することで行動を変えていく」という強い信念がありました。

参加から今年で6年目ですが、まさに狙い通りの成果を得られていると考えています。

おかげさまで、「環境のリコー」というブランドも国内外でさらに浸透し、お客様から「脱炭素の相談に乗ってほしい」とお声がけ頂くことも増えています。

CO2排出、「数値」が見えることの重要性

CO2排出、「数値」が見えることの重要性

──リコーグループは、RE100への参加表明と同時に、「2050年までにバリューチェーン全体のGHG排出ゼロ」を掲げました。実現にあたっては、取引先の脱炭素支援も重要なキーになってくると思います。

平井:リコーグループでは、サプライチェーン全体のCO2排出量を減らしていくため、取引企業様にも脱炭素化をお願いしています。ただし、一方的に排出削減を求めたり、削減量が少ないからと取り引きをやめたりすることはせず、削減計画や施策を共に考えながら、脱炭素化を進めていきたいと考えています。

──今回の提携において、e-dashはリコージャパンの取引先企業に「e-dash」をご提供し、CO2排出量可視化のご支援をしていきます。提携にあたり、「e-dash」にどんな期待をしてくださったのですか。

平井:取引企業様とお話する中で、「脱炭素と言われても何から手を付けたら良いのか」「削減には取り組んでいるが効果が分からない」という声が多く上がっていました。CO2排出量の見える化がボトルネックになっていることが見えてきたんですね。

私たちも長らく社内で脱炭素に取り組んできましたが、自分たちがどれくらいのCO2を、どこから排出しているかを知ることは、非常に重要なファーストステップであると実感しています。

リコーで事業所ごとのCO2排出量を初めて算出した際には、排出量の多い工場の所長がショックを受けて、排出削減に一生懸命取り組み始めたということがありました。省エネを呼びかけるにも、数値があるとないとではこんなにも反響が違うのかと驚いたものです。

CO2排出量の見える化を進めるにあたって、手順が複雑だと始めるための心理的なハードルがどうしても立ちはだかる。

数ある見える化ツールの中でも「e-dash」は、感覚的に操作がしやすく、初めての方でも取り組みやすい設計になっています。そこで、この度、CO2排出量を見える化する「e-dash」を当社の取引企業様にご紹介させて頂くことにしました。

社内実践で培ったノウハウを脱炭素ソリューションに

社内実践で培ったノウハウを脱炭素ソリューションに
リコージャパンは自社事業拠点における「ZEB(=Net Zero Energy Building。年間で消費する建築物のエネルギー量が大幅に削減されている建築物)」の導入を進めています。写真はリコーグループで初めて『ZEB』認証を取得した和歌山支社の外観 / リコージャパン提供

──一方で、本提携においてe-dashは、「e-dash」のご利用企業に対し、リコージャパンの脱炭素ソリューションをご案内します。

平井:当社では「減らす」「創る」「選ぶ」「融通する」という4つのフレームに分けて、脱炭素ソリューションを提供しています。

「減らす」では、省エネ性能が高いLED照明や空調設備、EMS(エネルギーマネジメントシステム)、「創る」では自家消費型太陽光発電システムや太陽光発電OEMサービス、「選ぶ」では再エネメニューやEV充電器トータルサポート、「融通する」では蓄電池のソリューションメニューをお客様の状況に併せてご提案しています。

清水:また、私たちはこうした脱炭素ソリューションをご提案する際に、社内実践で培ったノウハウも一緒にご紹介することに重きを置いています。

たとえば、当社には、自社の工場で長年省エネに取り組み、知見を蓄積してきた社員たちがいます。こうした社員が実際にお客様の工場へ出向き、省エネ診断や脱炭素施策を提案させて頂くということをしています。普段の営業でも「我々、これを使ってこんな良いことがあったんです」とか、逆に「こんな失敗しちゃったんです」など、自らの経験をもとにお話をするようにしています。

このように「モノ」ではなく「コト」から入る営業スタイルを大事にし、お客さんの脱炭素に寄り添っていきたいと考えています。

平井:失敗しながらも長年やってきた経験は付焼刃ではない。それが当社の一番の強みです。

「可視化の先も一緒に模索していきたい」

「可視化の先も一緒に模索していきたい」

──最後に、今回の提携への意気込みをお願いします

平井:見える化は脱炭素化の入り口に過ぎません。そこで得たデータをもとに、どうしたら効果的に脱炭素を推し進めていけるのかを考えていかなくてはならない。こうした可視化のその先についても、ぜひe-dashさんと一緒に模索していきたいです。

清水:企業の脱炭素を加速させるためには、やはり「経済合理性」を伝えていくということが一つ重要な点だと思っています。ですから、私たちとしてはまず、企業が脱炭素に取り組むことの意味や意義をしっかり伝えていきたい。その上で、一緒にロードマップを作り、ソリューションを提案していく。さらに、その成功事例を横展開することによって、点ではなく面で脱炭素を進めていきたいと思っています。e-dashさんとはこうした想いを共にしていると思うので、今回の提携に留まらず、一緒に何ができるかを考えていければありがたいです。

リコージャパン株式会社

リコー製品を中心とした商品・サービスの提供をはじめ、業務改善を含めたコンサルティングから、システム構築、アフターサービスまで、さまざまなソリューションをワンストップで提供しています

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