国際規格ISO14000、ISO14001をご存じでしょうか。
これらの規格は環境保全を目的に作られており、日本でも多くの企業に浸透しています。
この記事では、ISO14000とISO14001の違いについて詳しくご説明します。
目次
そもそも「ISO」「JISQ」とは?
ここでは、ISOやJISQについて解説していきます。
ISOとは
ISOとは、国際的な標準化を推進する組織、国際標準化機構のことを指します。
各国が参加しており、製品、サービス、システムなどが国際的に一定の品質を保つことを目指しています。これにより、信頼性が向上します。
たとえば、ISO9001は品質管理の標準を、ISO14001は環境管理の標準を設定しています。これらの基準は、全世界で共通の品質と安全性を保証するために、重要な役割を果たしています。
ISOの審査制度は、組織がISOの規格を守っているかをチェックする仕組みです。
この審査は認定機関が行い、審査にパスするとISOの認証を得ることができます。
例えば、ISO 9001の審査では、組織の品質管理システムが適切に機能しているかを確認します。この制度のおかげで、組織は顧客やステークホルダーに対して信頼性を示すことができます。
JISQとは
JISQとは、品質保証と品質管理に焦点を当てた日本工業規格(JIS)の一部を指します。
これを用いることで、製品の品質が確保され、消費者に対する信頼性が向上します。
具体的には、JISQ9001は品質管理システムの標準を、JISQ14001は環境管理システムの標準を設定しています。これらの標準は、製品の一貫した品質と信頼性を保証する上で重要な役割を果たしています。
JISQの審査制度は、組織が日本工業規格の品質管理や品質保証の基準に従っているかをチェックする方法です。JABやJQAといった認証機関が審査を実施し、審査に合格するとJISQの認証が与えられます。具体的には、JISQ 9001の審査では組織の品質管理システムが規格に沿っているかを評価します。
OHSASもある
OHSASは、働く人々の安全と健康を保護するための国際的なガイドラインです。
これは、職場のリスク評価と改善活動を重視します。
具体的には、OHSAS 18001は、事故予防や働く人々の健康を向上するための管理体制のフレームワークを提案します。これにより、企業は安全な労働環境を維持し、その結果、社会からの信頼も向上します。
OHSASの審査システムは、労働安全衛生管理体制が適切に機能しているかを評価するものです。審査は認証機関によって実施され、審査に合格するとOHSAS 18001の認証が授与されます。例えば、JISHAやJQAはこのような審査を行う認定機関として知られています。
ISO14000とISO14001/JISQ14001の違い
ISOとはスイスのジュネーブに本部を置く国際標準化機構(International Organization for Standardization)の略称です。
ISO14000
SOが制定したEMS(環境マネジメントシステム)に関する国際規格群の総称で、大気汚染やCO2排出などの環境問題に対して、企業が自主的に行動を起こしていくための規格です。
ISO14001
EMS(環境マネジメントシステム)が満たさなければならない事項を定めた文書で、製品の製造やサービスの提供など、自社の活動による環境への負荷を最小限にするよう定めた内容になっています。
日本ではISOに対応したJIS(日本工業規格)が策定されており、JISQ14001はISO14001に対応したJIS(日本工業規格)となっています。
JISQ14001の記載は、ISO14001の原文内容を和訳した文書です。
ISO14000およびISO14000ファミリーとは
ISO規格は国際的な取引をスムーズにするための国際基準で、製品やサービスに関して世界中で同じ品質・レベルのものを提供するための規格です。
ISO14000はEMS(環境マネジメントシステム)に関する国際規格群の総称です。
EMS(環境マネジメントシステム)は、企業や団体等の組織が環境方針、目的・目標等を設定し、その達成に向けた取組を実施するための組織の計画・体制・プロセス等を指します。
ISO14000ファミリーとはISO14000の取り組みについてを規程した規格群のことです。
ISO14000およびISO14000ファミリーについて
まず、ISO14000ファミリーとは、環境マネジメントに関する国際標準規格群のことを指します。
これらの規格を活用することで、企業は環境への影響を最小限に抑えるためのシステムを構築し、その効果を定量的に評価できます。環境保全に対する企業の責任を明確にし、その取り組みを評価する重要な規格となっています。
ISO14000およびISO14000ファミリーについて代表的なものをいくつかご紹介します。
ISO14004
ISO14001に対する管理策が具体的に記載されています。構築した環境マネジメントシステムをより高い次元で運用するための規格です。
これは、組織がISO 14001の要求事項を満たすための枠組みを構築し、運用するのに役立つものです。ISO 14004は特定の業種や規模の組織を対象としていないため、どんな組織でも活用することができます。
ISO14015
土地の土壌汚染にスポットをあてた対策が記載されている規格です。
ISO14020
グリーンマークやエコマークなどの環境ラベルと宣言に関する国際規格で、製品の環境性能の自己宣言の原則と手順を規定しています。
ISO14031
環境パフォーマンス(組織が発生させている環境への影響)についての規格で、組織が自身の環境パフォーマンスを評価するためのフレームワークを提供します。
ISO14040
ライフサイクルアセスメントについての記載がある規格です。製品やサービスの生命サイクル全体にわたる環境影響を評価します。
ISO14050
ISO14001に記載がある単語について説明している規格です。
ISO14063
環境コミュニケーションに関する規格で、組織が環境に関する情報を公表・コミュニケーションするためのフレームワークを提供します。
ISO14064
温室効果ガスの計量、報告、検証、および削減のための国際規格で、企業や組織が温室効果ガスの排出・削減に関して信頼性のある情報を提供するための基準を提供します
ISO14001の具体的なメリット
ISO14001の取得には、さまざまなメリットがあります。
- 製造業の大手企業によるグリーン調達基準といった環境負荷に対し、どのような対応をしているかの調査、指導に対応することが可能になる。
- マネジメントシステムを構築することで、業務が標準化・構造化し、事故などを未然に防止できる。
- 緊急事態に対する手順のレビューと訓練を行うことにより、事故が起きても迅速な対応ができる。
- 環境的に考慮された企画が行われることで、新規クライアントの獲得につながることもある。
- これまで無駄になっていたコストの発覚により改善するべき点も明らかになり、職員の意識の変化やコスト削減にもつながる。
- 業務の標準化による事故や緊急事態などの環境リスクが低減する。
- 企業として社会的責任を果たしている証明になるので、従業員の意識や勤務態度の改善につながる。
- 社会全体での環境意識の高まりにより、社会的な信用に加え消費者や社会に対してのアピールポイントとなる。
実際に現場ではどのように運用されるのか?
環境問題への関心の高まりと共に、多くの企業でISO14001の環境マネジメントシステムが定着し、企業の経営の基盤になっています。
では、ISO14001は実際の製造現場においてどのように運用されているのでしょうか。
製造現場では、電気・ガス・石油などをはじめ鉱物などの資材や部品について、余計な資源を使わない取り組みや廃棄物を減らすなどの取り組みから、製品のリサイクルや再使用などが行われています。
また、流通の効率化によってトラックの排気ガスを減らすなど、環境に悪影響を与えないための取り組みも挙げられます。
ISO14001の運用は、このような取り組みの証拠にもなるようです。
たとえば使用している機器が正常に稼働して有害物質を排出していないかどうかを監視するため、機器の示す数値を記録するなどがそのひとつです。
他にも、操作を誤ると環境に影響を与えてしまう機器の操作において、マニュアルを用いて教育訓練を実施するなど、ISO14001はさまざまな角度から運用されています。
国際規格ISO14000とISO14001についておさらい
ISO14000 | EMS(環境マネジメントシステム)に関する国際規格群の総省。環境問題に対して、企業が自主的に行動を起こしていくための規格。 | |
ISO14001 | EMS(環境マネジメントシステム)が満たさなければならない事項を定めた文書。自社の活動による環境への負荷を最小限にするよう定めた規格。 | 対応するJIS規格:JISQ14001(原文内容を和訳した文書) |
いかがでしょうか。ISO14000、ISO14001についてご興味のある方はさらに詳しくお調べになってみてください。
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