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業界動向

カーボンニュートラルの落とし穴|ゼロカーボン・脱炭素の嘘とは

カーボンニュートラルはおかしい?反対意見から見える問題点とは

カーボンニュートラルとは、二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスの排出量をできる限りゼロに近づける取り組みです。

しかし、二酸化炭素や温室効果ガスの排出の原因となる化石燃料をゼロにすることは現実的に難しく、化石燃料の代わりとなるエネルギーが必要です。

代替エネルギーとして原子力を取り入れた際には世界中で反対意見がおき、カーボンニュートラルに対する反対意見がみられます。
本記事ではカーボンニュートラルの具体的な取り組みと原子力の使用への反対意見、企業の取り組みや課題について解説します。

カーボンニュートラルとは?概要について

カーボンニュートラルとはそもそも何なのか

カーボンニュートラルとは、二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスの排出量をできる限り削減し、吸収量や除去量を均衡させることを指します。 

日本政府は2020年10月に、2050年までに二酸化炭素の実質排出量ゼロを目指すと発表しています。

二酸化炭素の実質排出量ゼロ※は、「二酸化炭素などの温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と、森林等の吸収源による除去量との間の均衡を達成すること」を指します。

※二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から、植林、森林管理などによる「吸収量」 を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味しています。

カーボンニュートラルが広まった背景

カーボンニュートラルが広まった背景

カーボンニュートラルが広まった背景には主に次の2点が挙げられます。

  • パリ協定が掲げる目標
  • SDGsによる環境問題への言及

パリ協定が掲げる目標とは

パリ協定とは、2020年以降の「気象変動問題を課題とする国際的な枠組み」のことを指します。

パリ協定は、「国連気候変動枠組条約締約国会議」において、2015年に合意がなされ、2017年の時点で世界の温室効果ガス排出量の約86%をカバーする159カ国が合意しています。 

世界共通で2℃以内に抑えることを目標とし、各国が削減目標を設定し目標の妥当性を検証することが盛り込まれています。
日本ではパリ協定が掲げる目標への長期戦略として、最終到達点では「脱炭素社会」を掲げ、早期に実現することを目指すとともに、2050年までに温室効果ガスの80%削減に取り組みます。

最終到達点としての「脱炭素社会」を掲げ、それを野心的に今世紀後半のできるだけ早期に実現することを目指すとともに、2050年までに80%の温室効果ガスの削減に大胆に取り組みます。

引用元:環境省|「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」の閣議決定について

また、パリ協定が採択されたことによって、世界共通で2℃以内に抑えることを目標としています。そのため、各国が削減目標を設定しその目標が妥当であるかどうかを検証することが盛り込まれています。

SDGsによる環境問題への言及

SDGs(Sustainable Development Goals)とは、気候変動・感染症・紛争など様々な課題がある現代において、人々が安心して暮らせるように課題を解決する具体的な目標のことをいいます。

SDGsは最終目標ではなく 、持続的に開発を続けられる目標であり、その中に環境問題も取り上げられています。

環境問題の中で温室効果ガスに関しても触れており、課題解決のためにもカーボンニュートラルが重要となります。

またSDGsは、環境の保全だけではなく経済面での貢献もあります。

例えば発展途上国においては貧困問題があり、その問題を解決するには多くの資源が必要です。しかし先進国からの支援だけではなかなか解決しません。
そこで発展途上国は、自国で生産したお金を先進国に投資することで、自国の経済発展を促すことができます。これがSDGsの一つ「持続可能な世界」を実現する方法でもあります。

日本が掲げるカーボンニュートラルの具体的な目標

日本が掲げるカーボンニュートラルの具体的な目標

日本はカーボンニュートラル宣言をしており、2050年の電源構成割合の目標を次のように設定しています。

化石燃料から100%の脱却は難しいものの、太陽光や風力などの再生エネルギーを使うことで少しずつ化石燃料を使う割合を減らし、2050年には発電量の約半分を再生エネルギーでまかなうことを目指しています。

「2050年の電力需要は、産業・運輸・家庭部門の電化によって、現状の30~50%増加するとの試算がある。熱需要には、水素などの脱炭素燃料、化石燃料からのCO₂の回収・再利用も活用することとなる。再エネについては、最大限の導入を図る。

しかしながら、調整力の確保、送電容量の確保、慣性力の確保、自然条件や社会制約への対応、コスト低減といった課題に直面するため、あらゆる政策を総動員してもなお、全ての電力需要を100%再エネで賄うことは困難と考えることが現実的である。

エネルギー分野における多様な専門家間の意見交換を踏まえ、2050年には発電量の約50~60%を太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス等の再エネで賄うことを、議論を深めて行くに当たっての一つの参考値1として、今後の議論を進める。」

日本の全発電電力量に占める自然エネルギーの割合は次のように年々増えています。2050年の目標に向けて順調に取り組みが進んでいると言っていいでしょう。 特に太陽光発電の割合が年々増えていることがわかります。太陽光発電は日本を代表する再生可能エネルギーであり、太陽光発電導入の実績においては、中国やドイツとともに世界をリードしています。

日本の全発電電力量に占める自然エネルギーの割合の推移
画像出典元:環境エネルギー政策研究所|2020年の自然エネルギー電力の割合(暦年速報)

カーボンニュートラルに対する反対意見

カーボンニュートラルに対する反対意見

カーボンニュートラルには次のような反対意見があります。

カーボンニュートラルを実現するためには化石燃料からの脱却が必要となるため、急激な化学燃料から原子力への回帰に世界各国で反対運動が起きており、日本も例外ではありません。

そのため各国政府は原子力の代替案を模索しています。

アメリカではシェールガス革命によって石油産業が崩壊したことから、代替エネルギーとして注目されたのがシェールガスです。

シェールガスとは天然ガスの一種で採掘コストが非常に安く、埋蔵量も多いため今後10年以内に実用化されると言われています。 
他にも、現在の生活において化石燃料を使わないのは難しい状況のため、カーボンニュートラル実現は難しいと考える人は少なくありません。このシェールガスのように化石燃料の代わりになる燃料の開発が必要です。

カーボンニュートラルの課題・問題点

カーボンニュートラルの課題・問題点

カーボンニュートラルには次のような課題・問題点が挙げられます。

  • ● 代わりとなるエネルギーが現状無い
  • ● 検証が難しい
  • ● 経済活動の観点で化石燃料の削減が難しい
  • ● 膨大な投資が必要
  • ● 政府の取り組みが十分でない可能性がある
  • ● 一部のカーボンニュートラル技術が新たな環境問題を生む可能性
  • ● 一部の地域や産業が影響を受ける可能性がある

代わりとなるエネルギーが現状無い

温室効果ガスの排出を減らすためには、代わりのエネルギーが必要になります。しかし、現状はガソリンをはじめとした化石燃料に頼る生活となっており、代わりとなるようなエネルギーは現状ありません。

検証が難しい

カーボンニュートラルやSDGsといった環境問題に対する取り組みは日本を含めて世界中の国が実施しています。

しかし、実際に実現できているかどうかを検証するのは容易ではありません。 

例えば、先進国が発展途上国の人件費が安い国で工場を作るケースにおいて、発展途上国が二酸化炭素排出国となります。

このような傾向は世界でもよく見られており、先進国がカーボンニュートラルを達成し、 発展途上国が達成できないことが想定されます。
二酸化炭素の排出を具体的な数値として出すことは容易ではなく、検証方法に疑問の声があります。

経済活動の観点で化石燃料の削減が難しい

世界の経済活動において、化石燃料の削減は容易ではありません。
生産ラインの維持には電力が必要であり、現代社会においてガソリンを使用しない生活は難しく、二酸化炭素は大量に排出されています。

膨大な投資が必要

カーボンニュートラルの実現において、膨大な投資が必要な点も課題となっています。

再生可能なエネルギーとして挙げられる、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマス等が挙げられます。

いずれの発電方法であっても、土地代、エネルギー設備の建設、設備の定期的なメンテナンスなどの様々な費用がかかります。

他にも、設計や配置の改善や発電機の効率化、研究開発には新たな投資が必要となります。

また、再生エネルギーの導入には、エネルギーを使用するために送電線や変電所の建設、エネルギー貯蔵の施設やバッテリー、蓄電池といったインフラの整備が必要です。

実際に再生エネルギーの発電を行なった企業が、自社利用をした上で、余った電力を売電しようとした際に適切に取引が行われるように政府によって、賦課金が設けられています。

ただし、再生エネルギーを市場価格として取引が成立するようにするためには膨大な予算が必要な点も課題とされています。

政府の取り組みが十分でない可能性がある

政府の取り組みとして、再生エネルギーを除いた化石エネルギーの規制が不足している点も課題として挙げられています。

また、消費者が環境に配慮したエネルギーの選択を行えるような取り組みも必要です。

企業が積極的に取り組めるようにコスト面での支援だけでなく、技術的な支援が必要な可能性があります。

一部のカーボンニュートラル技術が新たな環境問題を生む可能性

例として、バイオマス発電において、バイオマスを生産するために森林を大規模に開発する場合に生態

系の破壊など新たな環境問題を引き起こす可能性があります。

他にも、カーボンキャプチャーにより二酸化炭素を貯蔵する場合に地震を引き起こす可能性があることも指摘されています。

そのため、カーボンニュートラル技術には、環境問題を引き起こさないものが求められています。

一部の地域や産業が影響を受ける可能性がある

カーボンニュートラルの実現に向けて、一部の地域や産業が影響を受ける可能性についても指摘されています。

化石燃料産業や自動車産業、建設産業などの温室効果ガスの排出が多い産業への影響について適切な支援を行う必要があります。

また、日本でもカーボンニュートラルへの取り組みは、地域ごとに行われていることもあり、取り組みの進行度によって経済格差が拡大する可能性が指摘されています。

そのため、影響が大きな産業や地域に対して、適切な支援や対策を行う必要があります。

カーボンニュートラル実現に向けて企業のできること

カーボンニュートラル実現に向けてできること

それぞれの企業がカーボンニュートラルを実現するためには、次の点が必要です。

  • ● 二酸化炭素の排出量を把握して削減する
  • ● 製品やサービスの二酸化炭素削減
  • ● 省エネルギー対策をすすめる
  • ● 再生エネルギーの活用
  • ● エネルギー効率向上

それぞれの方法を詳しく説明していきます。

二酸化炭素の排出量を把握して削減する

カーボンニュートラルに直結するのが二酸化炭素の排出量を把握し削減することです。 
そのため、二酸化炭素の使用量や排出量は、省エネ法と温対法により報告義務があり、正確なデータの把握をすることで排出量の削減に繋がります。

製品やサービスの二酸化炭素削減

製品やサービスの二酸化炭素を削減することで、排出量を削減することができます。

購買者や李商社に二酸化炭素の削減への取り組みを周知することにより、製品やサービスの変化についての理解を求めることができます。

省エネルギー対策をすすめる

蛍光灯からLED照明への切り替えや、バルブからインバーターに替えるなど、様々な省エネルギー対策の実施を推奨します。
省エネルギー対策には、不要照明の消灯や温度調整などの方法があり、二酸化炭素の排出量削減への貢献だけでなく、自社の節電にもつながります。

再生エネルギーの活用

再生可能なエネルギーには、太陽光や水力、バイオマス、地熱、風力などがあります。

これらのエネルギーを電力に変換することで脱炭素化された再生エネルギーの活用につながります。
具体的な施策では、ソーラーパネルの設置や使用による自家発電があります。

エネルギー効率向上

建物や設備のエネルギー効率を向上させることもカーボンニュートラルの実現に繋がります。

これは難しいことではなく、冷暖房をエネルギー効率の良い新しい製品に買い換えるだけでも実現できる場合があります。

他にも、自然光の利用や断熱材を設置することで省電力に繋がります。

化石燃料からの脱却がカーボンニュートラル実現の鍵

化石燃料からの脱却がカーボンニュートラル実現の鍵

カーボンニュートラル実現には、化石燃料からの脱却が必要不可欠となります。

核燃料からの脱却には、太陽光発電や風力発電、バイオマス、エネルギーの効率化など様々な技術が必要です。
化学燃料への依存度が高い現状ですが、世界が化学燃料脱却を目指しています。

カーボンニュートラルがおかしいとされる理由や取り組みについて

カーボンニュートラルの取り組み、事例、課題などを解説しました。

世界では、日本を含め2050年には化石燃料を完全に脱却する戦略を立てていますが、現状では人々が生活していく上で化石燃料は必需品となっています。

そのため、化石燃料の代替エネルギーが必要であり、太陽光発電やバイオマス、風力発電や水力発電など再生可能エネルギーの研究や開発が進められています。 

しかし、化石燃料の代わりに原子力の使用を推奨する意見もあり、カーボンニュートラルに対して反対意見や懐疑的な見方も存在します。

この状況への解決として、二酸化炭素の排出量の把握や削減、省エネルギー対策や再生エネルギーの活用などの対策が重要です。

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