脱炭素社会の実現に向けて様々な取り組みを行っている企業があります。その中で、脱炭素化を進めるために再生可能エネルギーを提供する企業の株式を「脱炭素銘柄」と呼びます。
本記事ではこの脱炭素銘柄の中から、今後期待できる企業についてランキング形式で詳しく解説していきます。脱炭素銘柄について知りたい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
脱炭素銘柄とは?脱炭素銘柄の企業の取り組みを解説!
まず最初に、脱炭素銘柄の基本情報や脱炭素銘柄の企業の取り組みについて確認していきます。
脱炭素銘柄とは再生可能エネルギーを提供する上場企業の株式
脱炭素銘柄とは、再生可能エネルギーを提供する上場企業の株式を指します。また、脱炭素化を進めるための技術開発を行っている企業の株式も脱炭素銘柄です。
再生可能エネルギーとは、太陽や風力、水力など自然由来のエネルギーのことです。再生可能エネルギーを活用することで、CO2の削減に繋げることができます。また石油・石炭などの化石燃料と異なり、資源が枯渇することがありません。繰り返し利用できる点も、再生可能エネルギーの強みになります。
脱炭素がテーマの企業が行っている取り組み事例
脱炭素をテーマにした企業の取り組み事例として、下記の企業事例をご紹介します。
<株式会社セブン&アイ・ホールディングス>
株式会社セブン&アイ・ホールディングスは脱炭素社会の実現に向けて、2019年5月に「GREEN CHALLENGE 2050」という環境宣言を制定しました。「GREEN CHALLENGE 2050」において、店舗運営に伴うCO2排出量を2013年度比で2030年までに50%削減し、2050年までに実質ゼロにする目標を掲げています。
セブン&アイグループ各社において、店舗運営のための電気使用がCO2排出量の約9割を占めています。事業拡大・店舗数が増加してもCO2排出量が増加しないよう、店舗における電気使用量削減・従業員への環境教育を進めています。
<トヨタ自動車株式会社>
トヨタ自動車では、1960年代から継続して脱炭素化の取り組みを行い、事業活動を通じて社会・地球の持続可能な発展に貢献しています。環境分野においては、1992年に「トヨタ地球環境憲章」を制定しました。2015年には地球環境に対する2050年までの取り組みである「トヨタ環境チャレンジ2050」をまとめ、脱炭素化の取り組みを続けています。
電気自動車の開発はその代表例です。CO2を排出しない電気自動車の開発・普及は、脱炭素化に直結する取り組みとなっています。
<株式会社リコー>
株式会社リコーでは、温室効果ガスの排出が抑制された脱炭素化を実現するために、下記の3つの視点で取り組みを実施しています。
- 脱炭素化社会実現に貢献する技術開発
- 省エネ・再エネ関連ビジネスの提供
- 事業活動における脱炭素化
脱炭素化社会実現に貢献する技術開発では、優れた省エネ性能と使いやすさを両立したオフィス機器、ライフサイクル全体でのCO2排出が少ない商品、太陽や照明光などの再生可能エネルギーで稼働する電力など、脱炭素化に貢献する様々な技術開発に取り組んでいます。
省エネ・再エネ関連ビジネスの提供では、オフィス環境でのCO2削減に繋がるMPS(マネージド・プリント・サービス)の提案、再生可能エネルギーの生産・管理、グリーン電力や電気自動車(EV)の利用、オフィスなどへのエネルギーマネジメントシステムの導入など、幅広いソリューションサービスを提供している点が特徴です。
事業活動における脱炭素化では、自社拠点で生産プロセスの改善・高効率設備の導入などを行うことで省エネ活動を展開しています。さらに、使用するエネルギーを再生可能エネルギーに置換することで、事業活動における脱炭素化も進めています。
脱炭素銘柄は今後伸びる?企業の売上ランキングも合わせて紹介!
脱炭素化を積極的に進めている企業銘柄が、今後伸びるのか気になると思います。日本を代表する大企業は率先して脱炭素化を進めています。脱炭素化が日本企業の成長に貢献することがより人々に認知されれば、先駆的な取り組みを行っている脱炭素銘柄の伸びしろはますます大きくなるでしょう。
脱炭素がテーマの日本企業に向ける期待度は高い
世界的に脱炭素化の取り組みが広がる中、脱炭素化をテーマに対策に取り組む企業は投資家からの期待度が高くなります。脱炭素化に取り組んで成果を出せば、グローバルな課題に対して積極的に取り組んでいる企業として脚光を浴びやすいです。
取り組みが評価されることで、投資家が持続的な企業成長を見込んで投資してくれる可能性も高くなるでしょう。脱炭素化の取り組みを行っている企業銘柄をピックアップして中長期的に投資していくことが、投資家にとってメリットとなるからです。
脱炭素関連銘柄で見る売上ランキング
それでは、脱炭素関連銘柄の売上ランキングを確認していきましょう。
下記は、脱炭素化を進めている企業銘柄の売上ランキングです。
順位 | 銘柄コード | 会社名 | 売上高 |
1位 | 7203 | トヨタ自動車 | 31,379,507百万 |
2位 | 8058 | 三菱商事 | 17,264,828百万 |
3位 | 9432 | 日本電信電話 | 12,156,447百万 |
4位 | 5020 | ENEOS HD | 10,921,759百万 |
5位 | 8002 | 丸紅 | 8,508,591百万 |
6位 | 7201 | 日産自動車 | 8,424,585百万 |
7位 | 6758 | ソニーG | 8,396,702百万 |
8位 | 6752 | パナソニックHD | 7,388,791百万 |
9位 | 5401 | 日本製鉄 | 6,808,890百万 |
10位 | 9984 | ソフトバンクG | 6,221,534百万 |
日本の名だたる大企業が、脱炭素化銘柄として軒を連ねているのが分かります。日本のニュースやメディアでは大々的に扱われませんが、日本の大企業は着々と脱炭素化の取り組みを進めていると考えることができます。
脱炭素銘柄で伸びる分野は?おすすめの5選を紹介!
先ほど紹介した脱炭素銘柄の売上ランキングを見て分かるように、脱炭素銘柄と一口にいっても様々な分野の銘柄があります。そこで、今後成長するおすすめの分野をピックアップして紹介します。
グリーン成長戦略において成長が最も期待される14の分野
経済産業省は2020年12月に、経済と環境の好循環につなげるための施策として「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しました。様々な企業分野の中で、政府はグリーン成長戦略において成長が期待される分野として、下記の14分野を提示しています。
- 洋上風力・太陽光・地熱
- 水素・燃料アンモニア
- 次世代熱エネルギー
- 原子力
- 自動車・蓄電池
- 半導体・情報通信
- 船舶
- 物流・人流・土木インフラ
- 食料・農林水産業
- 航空機
- カーボンリサイクル・マテリアル
- 住宅・建築物・次世代電力マネジメント
- 資源循環関連
- ライフサイクル関連
上記分野に当てはまり、売上を多く出している企業銘柄は、脱炭素銘柄として今後伸びていく可能性が高いと考えることができます。
14の重要分野から特におすすめする5つの分野
上記で挙げた分野の中でも、特に注目を浴びているおすすめ分野は下記の5つです。
- 自動車・蓄電池
- 洋上風力・太陽光・地熱
- 水素・燃料アンモニア
- カーボンリサイクル
- 住宅・建築物
<自動車・蓄電池>
脱炭素化に向けて大きなカギを握るのが、自動車が排出するCO2の削減です。現在、トヨタをはじめとする大手自動車メーカーは電気自動車(EV)の開発に力を入れています。
経済産業省が掲げるグリーン成長戦略において、2035年までに新車販売する自動車を「電気自動車100%」にする目標を掲げています。電気自動車の開発・普及を進めるためには、蓄電池の開発も不可欠です。今後、自動車・蓄電池産業は脱炭素銘柄として手堅く成長していくでしょう。
<洋上風力・太陽光・地熱>
洋上風力・太陽光・地熱分野も脱炭素化を進める上で成長銘柄になり得ます。風力・太陽光・地熱発電によって生産される再生可能エネルギーは、脱炭素化を進める上で不可欠であることが理由です。
すでにドイツをはじめとするヨーロッパ各国では、国単位で風力発電事業に取り組んでいます。日本の場合は、地上で安定的に風力発電を行える場所が限られているため、海洋上での風力発電が注目を集めています。
<水素・燃料アンモニア>
水素・燃料アンモニア関連の分野も脱炭素化において重要です。脱炭素化をさらに進めていくためには、風力や水力、太陽光といった既存の再生可能エネルギーに加えて、新しいエネルギーの開発が必要になってきます。そこで注目を集めているのが水素・燃料アンモニアです。
水素・燃料アンモニアは、幅広い分野でエネルギーとして活用できます。日本企業の中にも、岩谷産業のように水素の国内販売を活発に行う企業も登場してきており、水素関連銘柄として投資家から注目されています。
<カーボンリサイクル>
カーボンリサイクルとは、CO2を炭素資源としてとらえて、これを回収した上で多様な炭素化合物として再利用することです。CO2の排出を削減するという観点がこれまでの脱炭素化の取り組みで重視されてきましたが、技術の発達に伴い、カーボンリサイクルの視点も重視され始めています。
<住宅・建築物>
住宅・建築物分野も脱炭素化を進める上で重要です。近年は新しく建築される住宅などに太陽光発電設備を搭載するなど、住宅単位で再生可能エネルギーの生産を行う施策も増えてきています。生産したエネルギーを電力会社に売ることで、住宅所有者も金銭的な利益を得ることが可能です。
日本の脱炭素銘柄は?企業を一覧で紹介!
最後に、日本の有名な脱炭素銘柄を一覧で紹介します。脱炭素銘柄に対して投資していく際の参考にしてください。
脱炭素がテーマの日本企業の一覧
銘柄コード | 会社名 |
7203 | トヨタ自動車 |
8058 | 三菱商事 |
9432 | 日本電信電話 |
5020 | ENEOS HD |
8002 | 丸紅 |
7201 | 日産自動車 |
6758 | ソニーG |
6752 | パナソニックHD |
5401 | 日本製鉄 |
9984 | ソフトバンクG |
9501 | 東京電力HD |
8411 | みずほフィナンシャルグループ |
7011 | 三菱重工業 |
6502 | 東芝 |
6367 | ダイキン工業 |
9503 | 関西電力 |
9502 | 中部電力 |
8591 | オリックス |
3407 | 旭化成 |
9531 | 東京瓦斯 |
1812 | 鹿島建設 |
6971 | 京セラ |
脱炭素化をテーマに取り組みを進める中小企業・ベンチャー企業もありますが、大企業の方が取り組みの規模が大きいです。投資する際も、まずは大企業に絞って脱炭素銘柄を選ぶことをおすすめします。
脱炭素で伸びる企業を知っておこう
企業の脱炭素化に対する取り組みは、今や世界的なムーブメントになっています。日本のニュースや新聞などのメディアではあまり大きく取り上げられませんが、日本の大企業の多くが脱炭素化に向けて何かしらの取り組みを行っています。
脱炭素化を進める企業の中でも、自動車や再生可能エネルギー分野の銘柄は、今後特に伸びてくると予想されます。他の分野においても、脱炭素化の進展で伸びる銘柄が出る可能性も十分あります。
脱炭素銘柄は中長期的な成長銘柄として、投資対象に最適といえるでしょう。本記事の内容を参考にして頂き、脱炭素銘柄への投資を進めてもらえると幸いです。
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