世界的に脱炭素化への動きが活発となる中で、株式投資において脱炭素関連銘柄の注目が高まってきています。
特に、脱炭素化に意欲的に取り組んでいる企業の関連銘柄の株価は上昇しつつあります。
今回の記事では、脱炭素化関連のおすすめ日本株銘柄について、選び方やおすすめの銘柄を紹介します。
目次
脱炭素(カーボンニュートラル)関連銘柄とは
脱炭素関連銘柄とは、脱炭素に関連するサービスを提供している上場企業の株を指します。
脱炭素(カーボンニュートラル)は、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする取り組みで、日本は2050年までに脱炭素化を実現することを目標として掲げています。
脱炭素に関連するサービスには、洋上風力発電や水素エネルギーなどの再生エネルギー関連やEV(電気自動車)などがあります。
脱炭素化の実現に向けての取り組みは世界各国で行われており、それに伴い脱炭素関連銘柄の注目も増してきています。
脱炭素化への動きは今後さらに強まると予想されるため、国内外問わず多くの脱炭素関連企業が台頭してくる可能性が高く、脱炭素関連銘柄は投資の対象として非常に期待できるといえるでしょう。
脱炭素(カーボンニュートラル)のテーマについて
脱炭素のテーマとして掲げられているものは以下の5つです。
・洋上風力発電
・水素エネルギー
・アンモニア
・EV(電気自動車)
・CCS(二酸化炭素地下貯蔵)
洋上風力発電
国土が狭く、広い海域を保有している日本では、浮体式の洋上風力発電が有望な再生可能エネルギーの一つと考えられています。
洋上風力発電には着床式もありますが、日本の周辺海域は急に水深が深くなる地形のため着床式の設置が難しく、日本で洋上風力発電の導入を進めていくには水に浮かべる浮体式が重要となるのです。
海に設置するため、魚への悪影響があるのではないかと不安視する声もありますが、環境省が行っている検証では魚への悪影響は確認されていません。
水素エネルギー
水素は優れたエネルギー効率を持つとされており、近年水素エネルギーが注目されてきています。
水素は燃焼させることで熱エネルギーを産み出します。従来の化石燃料による熱エネルギーとの大きな違いは、燃焼時にCO2が発生しない点です。
また、水素は酸素と反応させることで電気エネルギーを産み出します。この原理を利用したものが燃料電池です。燃料電池は発電効率が高いうえに発電時にCO2を全く排出しません。
CO2を排出せずに熱・電力として利用可能ということで、水素エネルギーは脱炭素に貢献するエネルギーとして注目されているのです。
アンモニア
アンモニアも次世代のエネルギーとして注目されており、主に「水素を輸送・貯蔵するためのエネルギーキャリア」としての活用が期待されています。
アンモニアは水素よりも輸送や貯蔵に適しているため、普段はアンモニアとして貯蔵しておき、必要に応じて水素を取り出し利用するのです。
またアンモニアも水素と同様、燃焼時にCO2が発生しません。輸送・貯蔵としての役割だけでなく、アンモニア自体をエネルギー源とすることも有用といえます。
EV(電気自動車)
EVは電気を使って走行するため、ガソリンは使用せず、走行時にCO2を排出しません。そのため、従来のガソリン車からEVへの移行が日本でも脱炭素化へ向けた目標として掲げられています。
また、EVはCO2を排出しないというだけでなく、モーターで走るので騒音や振動がガソリン車に比べて少ないというメリットもあります。
CCS(二酸化炭素地下貯蔵)
CCSとは「Carbon dioxide Capture and Storage」の略称で、CO2を回収し、地下に貯蔵する技術を指します。
CCSと似た言葉にCCUSがあり、こちらは貯蔵したCO2を利用するための技術を指します。
なお、日本はCCSに適していないと言われています。日本にはCCSの利用に適した土地がなく、改定への貯蔵は技術的に難しく、コストも高いためです。
脱炭素(カーボンニュートラル)関連銘柄の選び方についてご紹介
脱炭素関連銘柄を選ぶ際は、以下の4つのポイントに注目しましょう。
・関連テーマに分散投資を行う
・IRレポートでESGへの取り組み内容を確認
・環境に悪影響を与えそうな銘柄はダイベストメントを実施
・投資信託を選ぶ場合はESG指数銘柄をチェックしよう
関連テーマに分散投資を行う
先述した洋上風力発電や水素エネルギーなど、脱炭素関連といっても複数のテーマがあります。1つのテーマにのみこだわってしまうと、そのテーマの関連銘柄が伸び悩んだり、損をしてしまう場合があります。
そのような状況を回避するために、複数のテーマを選び、分散投資を行うことをおすすめします。
分散投資をしておけば、特定のテーマで損失が出てしまっても他のテーマで利益が出ればプラスになるため、リスク回避として有効です。
IRレポートでESGへの取り組み内容を確認
脱炭素関連銘柄はESG投資なので、企業がどのようにESGに取り組んでいるのかをIRレポートで確認するようにしましょう。
ESGとは企業の長期戦略にかかせない3つの要素である「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字を取った言葉です。
脱炭素関連銘柄の場合、特に3つの要素の中でも「環境」と大きく関係しているため、ESGへの取り組み内容を確認することは重要なのです。
IRレポートは、企業が投資家に向けて発信する経営状況や業績などの情報をまとめた報告書です。
基本的に上場している企業の公式サイトで公表されています。
環境に悪影響を与えそうな銘柄はダイベストメントを実施
ダイベストメントは「投資しない」という意味です。具体的には保有している株や投資信託を手放すことを指します。
脱炭素化に注目が集まっている状況は、環境に悪影響を与える可能性のある銘柄にとっては逆風です。脱炭素関連銘柄に投資するのであれば、保有している環境に悪影響を与えそうな銘柄はダイベストメントを実施するべきでしょう。
投資信託を選ぶ場合はESG指数銘柄をチェックしよう
投資信託を選ぶ場合は、ESG指数銘柄をチェックしましょう。
ESG指数とは、先述した3要素から企業を評価し、点数の高い企業で構成された株価指数です。
つまりESG指数の高い銘柄は「環境」、「社会」、「企業統治」の面で満遍なく評価されており、将来性のある期待できる銘柄といえます。
ESG指数にはいくつかの種類があり、代表的なものは「DJSI World」や「MSCI KLD 400ソーシャルインデックス」です。
また、ESG指数の高い企業に投資することは、その企業の活動を支援することにもつながるため、間接的な社会貢献になるでしょう。
脱炭素(カーボンニュートラル)関連銘柄おすすめ7選をご紹介
おすすめの脱炭素関連銘柄は以下の7つです。
・五洋建設(1893)/東証1部/洋上風力発電関連
・レノバ(9519)/東証1部/洋上風力発電関連
・岩谷産業(8088)/東証1部/水素エネルギー関連
・日揮ホールディングス(1963)/東証1部/アンモニア関連
・三菱電機(6503)/東証1部/EV関連
・トヨタ自動車(7203)/東証1部/EV関連
・関西電力(9503)/東証1部/CCS関連
五洋建設(1893)/東証1部/洋上風力発電関連
五洋建設は、臨海部を中心とした建設工事の設計および請負をしている企業です。
環境に配慮したモノづくりと環境技術の開発に努めており、株主、顧客、取引先、従業員のみならず、地域社会にとって魅力ある企業を目指しています。
国内に建設された着床式洋上風車のうち約7割のシェアを誇っており、浮体式洋上風車についても様々な研究・検討を行い多くの特許を保有しています。
レノバ(9519)/東証1部/洋上風力発電関連
レノバは、再生可能エネルギー事業で環境と地域に貢献している企業です。
太陽光発電やバイオマス発電など様々な再生可能エネルギーの発電・運転事業を通じて、地球規模の社会的課題の解決に最大限貢献することを目指しており、近年では洋上風力発電関連にも力を入れています。
脱炭素化に資する新たなグリーン事業の開発も推進しているため、今後も成長し続ける安定性のある企業だといえるでしょう。
岩谷産業(8088)/東証1部/水素エネルギー関連
岩谷産業は、総合エネルギーと産業ガスを基幹事業とし、機械、マテリアル、自然産業など幅広い分野で事業展開している企業です。
水素エネルギー社会の実現に向けて取り組んでおり、2050年を視野に、水素をエネルギーとして活用するための方向性やビジョンを示しています。
また、2030年までに「国際水素サプライチェーン構築」と「国内再エネ由来水素製造技術確立」を目標としています。
日揮ホールディングス(1963)/東証1部/アンモニア関連
日揮ホールディングスは、幅広い事業領域を対象とする総合エンジニアリング企業です。
水素エネルギーキャリアとしてアンモニアを利用するための技術開発に取り組んでおり、水素を原料とするアンモニア合成の新プロセスを開発し、従来法に比べて低温・低圧条件でアンモニア製造を行う実証プラントを建設しました。
旭化成と共同で大規模水素製造システムを活用したグリーンアンモニアなどの化学品の合成プラントの実証事業も開始しており、今後更なる業績の拡大が期待できます。
三菱電機(6503)/東証1部/EV関連
三菱電機は、日本の大手総合電機メーカーです。自動車に搭載されるパーツの製造に注力しており、自動車の電動化や製品生産プロセスにおける省エネを推進しています。
電動パワーステアリングを世界で初めて製品化しており、EVの普及や自動運転の実現など、誰もが安全に安心して利用できるクルマづくりに貢献しています。
EVの普及に伴い、三菱電機製のパーツの売り上げ拡大が期待できるでしょう。
トヨタ自動車(7203)/東証1部/EV関連
トヨタ自動車は、日本最大手の自動車メーカーです。カーボンニュートラルの実現に向けたトヨタの戦略の中に「バッテリーEV戦略」があり、トヨタはクリーンなエネルギーを使ってCO2排出量をゼロにする「カーボンニュートラルビークル」の実現に向けて全力で取り組んでいます。
2030年にバッテリーEVのグローバル販売台数年間350万台を目標としており、特にレクサスは2030年までにすべてのカテゴリーでバッテリーEVのフルラインナップを実現し、2035年にはグローバルでバッテリーEV100%を目指しています。
関西電力(9503)/東証1部/CCS関連
関西電力は、大阪に本社を置く電力会社です。
CCS技術導入のための取り組みを行っており、2022年度から石炭火力発電所から排出される燃焼排ガスの中のCO2分離回収試験を開始することを公表しています。
固体吸収法を用いた火力発電所での実証実験は国内で初の取り組みであり、その期待値は非常に高いといえるでしょう。
脱炭素(カーボンニュートラル)関連おすすめ投資信託4選をご紹介
おすすめの脱炭素関連投資信託は以下の4つです。
・脱炭素テクノロジー株式ファンド
・脱炭素ジャパン
・脱炭素関連世界株式戦略ファンド
・東京海上・グローバルSDGs株式ファンド
脱炭素テクノロジー株式ファンド
脱炭素テクノロジー株式ファンドは「カーボンZERO」の愛称で親しまれており、脱炭素社会実現に貢献するソリューション企業に厳選投資しています。
排出されたCO2を吸収できるグリーンプロジェクトに資金拠出することで、ファンド全体としてカーボンゼロを目指しています。
脱炭素ジャパン
脱炭素ジャパンは、信託財産の成長を目標に積極的な運用を行うことを基本としているファンドです。
日本の株式を実質的な主要投資対象としており、個別企業の調査・分析等に基づいたボトムアップアプローチにより脱炭素への貢献が期待される投資候補銘柄を選定しています。
マザーファンドを通じて投資するファミリーファンド方式で運用され、毎年7月14日に分配が行われます。
脱炭素関連世界株式戦略ファンド
脱炭素関連世界株式戦略ファンドは、投資信託財産の中長期的な成長を目指して運用を行うファンドです。
主要投資対象ファンドへの投資を通じて、日本を含む世界各国の脱炭素企業の株式に投資します。
投資銘柄はファンダメンタルズ分析を通じて、成長性や株価の割安度を検証したうえで選定されます。
東京海上・グローバルSDGs株式ファンド
東京海上・グローバルSDGs株式ファンドは、世界的な経済成長や人口増加などを背景に、維持・向上が求められている「環境」、「水・食糧」、「医療・健康」に関連する世界の株式に投資するファンドです。
アナリストが個別企業の情報を集めて投資価値を判断し、その中から有望な銘柄を投資対象として厳選、ポートフォリオを構築して銘柄を選択しています。
脱炭素業界における売上高ランキング
脱炭素業界における売上高上位10社をランキング形式で紹介します。
順位 | 銘柄コード | 会社名 | 売上高 | 営業利益 | 時価総額 |
1位 | 7203 | トヨタ自動車 | 31,379,507 | 2,995,697 | 27,952,462 |
2位 | 8058 | 三菱商事 | 17,264,828 | – | 6,409,269 |
3位 | 9432 | 日本電信電話 | 12,156,447 | 1,768,593 | 13,273,281 |
4位 | 5020 | ENEOSHD | 10,921,759 | 785,905 | 1,625,418 |
5位 | 8002 | 丸紅 | 8,508,591 | – | 2,393,526 |
6位 | 7201 | 日産自動車 | 8,424,585 | 247,307 | 2,074,590 |
7位 | 6758 | ソニーG | 8,396,702 | 1,202,339 | 13,434,302 |
8位 | 6752 | パナソニック HD | 7,388,791 | 357,526 | 2,567,259 |
9位 | 5401 | 日本製鉄 | 6,808,890 | 840,901 | 2,040,638 |
10位 | 9984 | ソフトバンクG | 6,221,534 | – | 8,744,209 |
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