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温室効果ガスの気候変動への影響とは?種類や原因について解説

現在、気候変動による地球環境の変化は世界的に大きな問題となっています。気候変動とは何によって起こり、どうしたら抑制できるのでしょうか。実は気候変動や地球温暖化には、私たち一人ひとりの行動も大きく影響しています。

本記事では、気候変動の原因や影響、世界で何が起こっているのか、そして気候変動の解決策、日頃から私たちができる対策について詳しく紹介します。

気候変動とは?

気候変動 雷

気候変動は地球の気温や気候に大きな変化をもたらす現象で、自然現象に加え、人類の活動によって起きています。主な原因は化石燃料の燃焼による温室効果ガスの排出であり、ここ200万年で最も量が増えています。

気候変動によって私たちが受けるリスク

自然災害 土砂崩れ

気候変動は私たちにとって大きなリスクを伴う問題で、健康、食糧生産、住まい、安全、仕事などすべての面に影響が及びます。特に小島嶼国や開発途上国では、気候変動による影響を受けやすく、すでに大きなダメージを負っている国もあります。例えば、海面上昇によって移住を余儀なくされている人々がいます。海面は、2010年までの約100年で19cm上昇しており、海抜の低い都市では高潮による潮水の侵入や塩水化によって、作物が育たない、飲み水が塩水になってしまうなどの影響から、コミュニティー全体の移転も行われています。また、アフリカなどで干ばつが深刻化し、2022年4月には1,000万人もの子どもたちが飢餓や栄養不良に苦しむなど、すでに大きな影響が出ていることが報告されました。今後、「気候難民」はますます増えると考えられています。

既に気候変動によって起こっている問題

氷河

気候変動の影響は地球全体に及んでいますが、日本でもさまざまな影響が現れています。気候変動による影響や問題を、具体的にいくつかご紹介します。

気温の上昇

気候変動の結果であり、かつ最も根本的な問題となっているのが、気温の上昇です。世界の気温は、2010年までの約100年で平均して0.75度上昇しました。わずかな変動に見えますが、このまま何も対策をしなかった場合は変化が加速し、2100年までに最大5.7度の上昇が予測されています。

気温の上昇は世界的な現象として現れており、夏冬問わず暑くなってきています。

北極の海の氷の減少

北極では気温の上昇にともなって氷が溶けてきていることが確認されており、1979年以降、平均して8.9万平方キロメートル/年の減少が続いています。これは北海道に匹敵する面積で、わかりやすく言えば、毎年北海道1つ分の氷が溶けているということです。

氷の減少によってホッキョクグマ等の生態系にも影響が出ており、今後もさらに変化が大きくなると予想されます。

世界中で起こっている自然災害

気候変動によって、世界中で大きな台風、洪水などが起こっています。先ほど少し触れた干ばつも、異常気象のひとつです。こうした異常気象が今、世界中で気候災害を引き起こしています。

気候変動を原因とする災害は、2000年から2020年までの間に82%も増加しました。近年日本でも、ゲリラ豪雨、大規模な台風による風水害が増えています。自然災害は、先進国・途上国問わず安全を脅かす問題です。このような異常気象の大きな原因が、地球温暖化の進行であると考えられています。

気候変動の解決策はある?

風力発電 太陽光発電 太陽光パネル

地球温暖化は、二酸化炭素の排出量の増加によって引き起こされています。個々が二酸化炭素の排出量を削減することが重要であり、世界でもその取り組みが進んでいます。2015年のCOPで合意された「パリ協定」では、世界の平均気温上昇を1.5度以下に抑えることや、21世紀後半には温室効果ガス排出実質ゼロを目指すことが定められました。

温室効果ガス「実質ゼロ」とは?

温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることが、気候変動対策において重要であることは先に述べました。この実質ゼロとは、森林などによる吸収量と排出量がプラスマイナスゼロになることを指します。

二酸化炭素の排出量をゼロにする技術は多くの分野で存在しており、自然エネルギーの利用によって実現可能です。例えば、家庭用や工業用の電力供給には太陽光発電や風力発電を、自動車の動力には水素を使用することで、排出量を実質ゼロにすることができます。

しかし、航空産業や農業などの分野では、現時点では技術的に排出量ゼロを目指すことが難しく、引き続き温室効果ガスが発生する燃料の使用が続いています。そこで、排出された二酸化炭素の総量を増やさないよう、吸収量を増やすことで実質ゼロを実現します。これは、森林や海洋などによる吸収量を増やし、排出量と吸収量がプラスマイナスゼロになることを目指す考え方です。

自然エネルギー100%が必要とされる理由

自然エネルギー100%による発電は、温室効果ガスを排出しないことから、温室効果ガスの削減に必要不可欠です。

現在の日本においては、石油や石炭などの化石燃料に大きく依存しています。2019年のデータによれば、天然ガスが37.1%で最も多く、次いで石炭が31.9%、石油等が6.8%、原子力が6.2%です。一方、自然エネルギーを利用した発電は、水力が7.8%であり、水力を除く再生可能エネルギーによる発電は10.3%です。

自然エネルギーは、今やパリ協定の目標達成に向けて、安全かつ信頼性が高く、最も費用対効果の高い方法として注目されています。また、日本のエネルギー自給率を高めるためにも、自然エネルギーは枯渇しない資源として重要です。

世界の多くの国々で、自然エネルギーはすでに主要なエネルギー源として位置付けられています。また、消費電力の100%を自然エネルギーでまかなうことを目標としている都市は地球上に600以上あり、2020年末までに目標を達成した都市はアメリカを中心に125以上にのぼります。

日本でも、2050年までに自然エネルギーへの移行を進め、二酸化炭素の排出量実質ゼロを目標として掲げています。今から対策を開始することで、2050年までに目標を達成することも実現可能です。

気候変動対策に貢献する科学技術

気候変動に対する多くの科学技術的な取り組みが進められています。その中でも、再生可能エネルギーの利用がまず挙げられます。再生可能エネルギーは、化石燃料に頼らず温室効果ガスを排出しないエネルギーです。太陽光発電、水力発電、地熱発電、海洋発電、風力、バイオなどが代表的な方法です。

これらの再生可能エネルギーを実際に導入するためには、多くのエネルギー需要制御・供給技術が必要です。特に、天候不良時や災害時にもエネルギーを安定して供給するための技術革新が進められています。

再生可能エネルギーは、二酸化炭素の排出量を減らすためのものですが、すでにある二酸化炭素を使ってオレフィン(プラスチックなどの原材料)を合成する取り組みも行われています。これは人工光合成と呼ばれる技術であり、植物等が自然界でもっている光合成を最大化させる生物学的な取り組みなどが二酸化炭素変換技術と呼ばれます。

また、核融合炉や宇宙太陽光など、温室効果ガスを排出しない次世代エネルギーの活用に向けた研究も進められています。

最近では、科学技術的な取り組みで気候変動に適応する動きも出ています。例えば、IoT技術の発展を受けて、海中や山中などにさまざまなセンサーが設置され、天候の変化や被災をリアルタイムかつ正確に予測する技術の開発が進んでいます。

同時に、長期的な地球環境の未来予測も行われています。これらの取り組みは、台風や雷雨などを予測・制御し、環境保全に努めることで、気候変動による被害と気候変動の進行をより小さく留める試みです。

日頃からできるエコな行動で対策

地球環境に配慮した生活を送ることで、気候変動への対策につながります。普段の生活において、二酸化炭素の削減に意識を向けることが重要です。

例えば、近所への外出時には車の使用を極力減らし、徒歩や自転車で移動することや、マイバッグを持参することが効果的です。また、ゴミを出す際には、全体量を減らすと同時に生ゴミなどの水分を切ってから袋に入れることで、燃焼時の二酸化炭素の排出量を減らすことができます。

これらの小さな工夫を取り入れることで、地球環境に配慮した生活を送ることができます。日常的に、二酸化炭素の排出量を減らす行動を意識して行うことが、気候変動対策の一つとして大切です。

温室効果ガスとは?種類や割合は?

排出される温室効果ガス

温室効果ガスの概要

温室効果ガスとは、大気中に含まれているCO2やメタンなどの総称であり、太陽から放出された熱を大気中に閉じ込めるという特徴があります。この閉じ込められた熱は逃げ場を失ってしまい、地表が温まってしまいます。温室効果ガス自体は地球の温度を保つのに必要なものですが、量が過剰になると地球温暖化を進行させます。

温室効果ガスの種類と割合 

人間活動によって増加する温室効果ガスは、大きくは下記の4つに分類されています。

  • ・CO2
  • ・メタン
  • ・一酸化二窒素
  • ・フロン類等

化石燃料由来のCO2が温室効果ガスの中で最も多く、全体の6割以上を占めています。このため、化石燃料の過剰使用は地球温暖化を引き起こす原因となっています。

日本では地球温暖化対策推進法に基づき、温室効果ガスの削減を進める取り組みが行われています。また、気候変動に最も影響を与えるCO2については、政府間パネル(IPCC)が発生量を抑制するための国際的な法整備を進めています。

身近な取り組みから、気候変動は抑えられる

節電

気候変動を抑えるには、大企業のエネルギー切り替えや、政府による大規模な政策が期待されます。しかし、2019年の統計によれば、家庭からの二酸化炭素の排出量は全体の約14.4%に及んでおり、こちらも大幅に減らす必要があります。

私たちが身近な取り組みを行うことで気候変動を抑えられる可能性も高まることを忘れず、日々の生活で二酸化炭素が排出されない方法、行動を選ぶことも重要です。

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