地球温暖化による気候変動は異常気象や気温上昇、海面上昇などのさまざまな影響を引き起こしています。しかし、地球温暖化と気候変動の違いや、どのような対策があるのかなど、はっきり分からない人も多いのではないでしょうか。
地球温暖化は身近なもので、一人ひとりが意識して対策する必要があります。本記事では、地球温暖化と気候変動の関係やその原因、現状と影響例やその対策について分かりやすく解説します。
目次
地球温暖化と気候変動の関係
気候変動とは次の2つの原因で引き起こされる、気温・気象の長期的な変化を指します。
- 自然現象
- 人の活動
そのうち、 地球温暖化は「人の活動」が原因で起こる気候変動です。大気中の二酸化炭素など温室効果ガスの濃度が増加し、地球の気温が上昇します。
「自然現象」が原因の気候変動は太陽活動の変化や公転周期の変動、火山の噴火によって起こります。本来、気候変動は数十年の長い期間で気温が上下するものでした。しかし、人の活動によって地球温暖化が起こり、気候変動はより勢いを増しています。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)でも、「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」と発表されています。
それでは、具体的に地球温暖化はなぜ起きているのでしょうか。原因について詳しく見ていきましょう。
地球温暖化の原因
地球温暖化は、大気中の「温室効果ガス」の濃度が増えることが主な原因となっています。温室効果ガスとは、二酸化炭素・メタン・一酸化二窒素・フロンなど、熱を地球に閉じ込め気候変動をもたらす気体の総称です。
地球温暖化のメカニズムは以下の通りです。
- 太陽からエネルギーが放射され地球が暖められる
- 地球から反射したエネルギーは宇宙へ放出されるが、温室効果ガスにより妨げられる
- 熱が地球に再放射され、地球温暖化が起こる
温室効果ガスのうち、最も多くを占めるのは二酸化炭素です。大気中の二酸化炭素は、「石油・石炭など化石燃料の燃焼」や、「森林破壊による吸収量の低下」によって増加しています。
地球温暖化・気候変動はいつから問題視されるようになったのか
地球温暖化による気候変動が問題視されるようになったのは、今から50年ほど前にさかのぼります。
1970年代、科学の発達により地球の大気について理解が進み、科学者によって地球温暖化が問題視されはじめました。
1985年、「フィラハ会議」と呼ばれる、地球温暖化に関する初めての国際会議がオーストリアのフィラハで開かれました。これをきっかけに、地球温暖化が大きな問題として世界に広まりました。
1988年には、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)によって設立されました。IPCCは、世界中の科学者と協力し、論文に基づいて、地球温暖化についての信頼性の高い報告書を提供しています。
地球温暖化・気候変動の現状と影響例
地球温暖化による気候変動の現状として、世界の平均気温が1880年から2012年にかけて、0.85℃上昇しています。たった0.85℃と感じる人もいるかもしれません。しかし、気象庁気象研究所をはじめとする研究チームは「世界の平均気温が今後1度上昇すると、国内の猛暑日の発生回数が現在の1.8倍となる」と予測しています。
大気中の二酸化炭素の濃度も、産業革命前に比べて約1.5倍に増えており、過去80万年の中で前例のない増加傾向にあります。
このような地球温暖化による影響は身近な生活に広がっており、以下のような例があります。
- 気温上昇による、熱中症の増加
- 大型の台風などの異常気象
- 氷河の融解・海面上昇による、島や沿岸の侵食
- 農水産物の収穫の減少
- マラリアなどの感染症地域の拡大
IPCCによると、このまま温暖化対策を取らなければ、21世紀末の未来では平均気温が2.6〜4.8℃上がると言われています。日本の東京では、真夏日(最高気温が30℃以上)の年間日数が103日になってしまうとの予測もあります。
地球温暖化の対策には「緩和策」と「適応策」の2種類があります。
「緩和策」は、地球温暖化による気候変動を食い止めようとする対策です。
主に
- 温室効果ガスの排出量の削減
- 植林などによる温室効果ガスの吸収量の増加
の2種類の対策からなります。
総務省「世界の統計2022」によると、2019年時点で「日本の二酸化炭素排出量は世界で5番目に多い」ことが明らかになっています。そのため、日本の緩和策の効果は非常に大きいと言えるでしょう。
一方、「適応策」は、起こってしまった気候変動に対して、影響を和らげたり回避したりする対策を指します。
- 人や社会・経済の仕組みを調節する
- 温暖化によるメリットを活かす
といった対策が中心となっています。
緩和だけではなく適応が必要な理由
地球温暖化に対しては、進行を食い止めようとする「緩和策」が最も重要な対策です。なかには「緩和策だけで対策は十分ではないか」と感じる人もいるかもしれませんが、気候変動の影響をできるだけ小さく抑える「適応策」も必要不可欠です。
なぜなら、緩和策の効果が現れるまでには長い年月がかかるためです。過去に排出されてしまった温室効果ガスによる気候変動は、今から避けられるものではありません。
既に気温上昇や異常気象による災害の影響が、身近なものになってきています。だからこそ、これからの未来の生活のために、今からできる適応策を考えていくことが重要です。
一方で、地球温暖化による気候変動が良い影響を与える場合もあります。例えば農業では、気温の上昇によりこれまでは栽培が難しかった地域で新たな作物を作ることができるようになったり、付加価値の高い品種に変えられたりする可能性があります。このようなメリットを活かそうとする動きも適応策に含まれます。
緩和策と適応策、両方の側面から地球温暖化に対策していく視点が非常に大切です。
緩和の取り組み
地球温暖化による気候変動を回避するために、さまざまな緩和策が行われています。
2015年に定められた「パリ協定」では、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃にとどめる努力をする」との目標が掲げられました。日本は「2030年までに温室効果ガス排出量を2013年に比べ46%削減、2050年までに全体としてゼロにする」と決定しています。
私たちができる身近な緩和策も多くあります。
- 省エネルギー対策
家庭でのエアコンの設定温度を夏は28℃・冬は20℃にする。
照明やコンセントの使用を控える。 - 電気自動車やハイブリッド車などエコカーの使用
- 風力・太陽光発電など再生可能エネルギーの利用
- リサイクル
国立環境研究所によると、2020年度の二酸化炭素排出量の14.6%が家庭からの排出となっています。そのうちの47.6%が電気、21.6%がガソリンです。家庭など身近な対策も非常に有効な手段といえます。
適応の取り組み
緩和策を行っても避けられない地球温暖化の影響を抑えるためには、適応策を講じる必要があります。2018年に日本では「気候変動適応法」が作られ、国や地方公共団体が気候変動適応計画を策定することが定められました。
適応策の例として、
- 治水ダムの整備・堤防の強化・下水道整備
- 災害が起きた際の避難場所の確認
- 蚊による感染症の対策
- 熱中症警戒アラートなどの熱中症対策
- 高温でも育つ農作物の開発
などが挙げられます。
地球温暖化のメリットを活かそうと、熱帯地域の農作物を栽培する動きも見られています。このように、地球温暖化に対して、社会の仕組みを調節して適応していこうとする動きが非常に重要です。
地球温暖化は想像以上に身近なこと。一人ひとりが問題意識を持つことが大切
地球温暖化は、化石燃料の燃焼や森林破壊による、温室効果ガスの増加が原因で起こります。 地球温暖化による気候変動により、気温上昇や異常気象など身近な生活に関わる影響が多発しています。日本は世界で5番目に二酸化炭素の排出量が多く、その気候変動による影響力は非常に大きいと言えます。
節電やエコカーの使用、災害時の避難場所の確認など、緩和策と適応策の両面から一人ひとりが対策していくことが重要です。地球の未来のために、小さな取り組みから始めましょう。
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