あなたの会社は、企業活動がもたらす社会や環境への影響をどれくらい考えていますか?今、国際的に注目されている「B corp」認証は、企業が持続可能なビジネスモデルであることを証明する制度として多くの組織に取得されています。この認証を取得することで、企業は顧客やステークホルダーへの信頼を高めるだけでなく、ビジネスの透明性や社会的責任を確立するメリットがあります。
それでは、この「B corp」の認証の制度概要や、メリットとは具体的にどのようなものなのでしょうか?
目次
B corp(B Corporation)とは?
この章では、「B Corporation」という認証の意味や、どのような評価基準があるのかを詳しく解説します。
また、「B Corp」のロゴは下記の通り。企業の公益性が一目でわかるよう、認証された企業に与えられます。海外では、街中でもこのロゴが貼ってある企業や店舗を目にすることができます。
B Corp(Bコープ)は「国際的な民間認証制度」のこと
B Corporation、略して「B Corp(Bコープ)」は、社会や環境への取り組みが高い企業に与えられる国際的な認証制度で、アメリカペンシルバニア州にあるNPO団体B Labが考案しました。「B」はBenefit(ベネフィット:利益・便益)を意味しており、この認証を持つことは、公益性の高い事業を行っているという国際的な証となります。
B Corp(Bコープ)の特徴と目指すビジョン
B Corp(Bコープ)は、世界に社会貢献のためにビジネスを利用するというムーブメントを広めることを目的としています。株主利益だけでなく、全体のビジネス活動や公益への取り組みで企業を評価する新しい方法として注目を浴びています。
オーガニック製品を評価する制度やフェアトレードの商品認証は以前からありましたが、B Corp(Bコープ)はその「企業」自体の価値を評価します。取得には厳しい条件があり、ビジネスの透明性や環境への取り組みなど多くの基準をクリアする必要があります。
(参考)「ベネフィット・コーポレーション」とは別もの
同じく「B Corp」と略される似た言葉に「ベネフィット・コーポレーション」がありますが、これは米国の法人形態を指す言葉です。米国の一部の州で法制化されているものであり、ここで取り上げているB Corporationとは異なるものです。
B corpの認証基準
B Corp(Bコープ)の認証には一定の条件やステップが存在します。それぞれの段階での詳細は次の項目で解説していますので、ぜひ続けてご覧ください。
まず、認証試験自体は無料で行われ、すべて英語での申請が必要です。全プロセスの完了までには約6〜10ヶ月の期間がかかります。
最初のステップとして「B Impact Assessment(Bインパクト・アセスメント)」というB Labが無料で提供するオンライン認証試験に挑戦し、約200の質問から80点以上を獲得することが求められます。
B Corp(Bコープ)認証取得の流れ
B Corp(Bコープ)の認証取得には、独自の流れが設定されています。この章では、その流れをステップごとにわかりやすく説明します。
手順1. 「B Impact Assesment(Bインパクト・アセスメント)」にて、80点以上を獲得する
認証取得の第一歩は、「B Impact Assesment(Bインパクト・アセスメント)」の受験です。企業の所在する国や会社規模によって要件が異なる場合もありますが、B Corporationの規定に沿った定款文書の作成と署名が必要となります。
B Impact Assessment(Bインパクト・アセスメント)の内容
「B Impact Assessment(Bインパクト・アセスメント)」は、企業の社会的貢献を評価するためのアセスメントで、約200の質問から成り立っています。これらの質問は、「ガバナンス」「従業員」「環境」「コミュニティ」「顧客」の5つの分野に分かれています。例えば、各項目では次のような内容の設問があると言われています。
- 「ガバナンス」:経営陣や財務状況の透明性
- 「従業員」:福利厚生の整備、給与
- 「環境」:廃棄物の管理や、再生可能エネルギーの導入割合
- 「コミュニティ」:地域貢献活動の内容
- 「顧客」:製品の安全性 など
手順2.認証プロセス
次に、B Labからの電話によるレビューが行われます。この際、B Impact Assessment(Bインパクト・アセスメント)の回答に基づいて、詳細な証拠資料の提出が求められ、内容の精査が行われます。
手順3.Bコープ認証を獲得
認証の最終ステップでは、B Corp(Bコープ)の「相互依存宣言(Declaration of Interdependence )」という同意書に署名をします。そして、企業の収益に応じて年会費が設定され、この費用を支払うことで正式に認証されます。
認証料の目安
認証の最終ステップでは、B Corp(Bコープ)の「相互依存宣言」という同意書に署名をします。そして、企業の収益に応じて年会費が設定され、この費用を支払うことで正式に認証されます。
認証を継続するには更新申請が必要
B Corp(Bコープ)認証を継続するためには、3年ごとにB Impact Assessment(Bインパクト・アセスメント)を再受験し、評価を更新することが求められます。さらに、自社の社会的取り組みに関する「B Impact Report」の提出と公開も必要となります。
B Corp(Bコープ)認証取得のメリット
B Corp(Bコープ)認証取得の利点は多岐にわたります。この章で、企業や個人にとっての具体的なメリットを3つの視点から詳しく紹介します。
メリット1:就職先の候補に選ばれやすい
現代の求職者、特にミレニアル世代やY世代は、単に収入を追求するだけでなく、社会や環境に対する企業の取り組みも重視している者が多いと言われています。
B Corp(Bコープ)の認証は、そのような価値観を持つ人にとっての判断基準となりやすく、認証マークはその企業が社会的な影響を考慮していることを可視化します。結果として、これらの認証を持つ企業は、求職者にとっての魅力的な選択肢となります。
メリット2:社会的信用を獲得し、企業価値を向上させる
B Corp(Bコープ)認証により第三者からの認証を得ることで、企業の社会的信用を高め、商品やサービスに付加価値をもたらします。具体的には、企業が社会的な透明性を確保しているというイメージを与えることができるため、企業価値が向上し、顧客や投資家からの信頼増加に繋がる可能性があります。
メリット3:国際認証のためグローバル化につながる
国際的に認められたB Corp(Bコープ)認証を持つことは、企業が国際的なサステナビリティの基準を満たしていることを示します。この認証を取得することで、海外の市場やパートナーに自社の取り組みをアピールするチャンスが広がり、ビジネスのグローバル化に繋がります。
B Corp(Bコープ)認証を取得した日本企業は現在30社 (2023年7月時点)
2023年7月の時点で、日本のB Corp(Bコープ)認証を取得している企業は30社となりました。その中からいくつかの企業の実例を取り上げ、B corp認証の取得が企業にどのような影響を及ぼしたのかを探っていきます。
株主利益と公益を両立?上場企業でも取得できるのか(クラダシ)
株式会社クラダシ(東京・品川)は、2022年6月にB Corp(Bコープ)認証を取得しました。更にその翌年の6月30日に東京証券取引所グロース市場へのIPO(新規株式公開)を実現しました。
B Corp(Bコープ)認証による「公益性」と、上場での「社会的信用性」の獲得を両立することで、企業としての新しい方向性を模索しています。
環境カテゴリーで「Best For The World」を受賞(エコリング)
株式会社エコリング(兵庫・姫路)はB Corp(Bコープ)の全体評価で101点を獲得し、特に「環境」カテゴリーでは46.4点と高得点を記録しました。この結果、地球の資源を保護するための積極的な活動を行う企業に与えられる「Best For The World」の称号を受賞。環境への真摯な取り組みが、国際的な認証として評価されました。
まとめ
B Corp(Bコープ)認証は、企業が持続可能性と社会貢献を追求する上での大きなステップとなります。取得した企業は、競争力の強化や社会的信用の獲得といったメリットを享受することができます。
そして、日本の企業も国際的な基準に基づくこの認証を通じて、社会貢献とビジネスの成長を両立させる新しい可能性を追求しています。
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