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脱炭素について

LNG(液化天然ガス)とは?特徴・用途やLPGとの違いまでご紹介!

タンカー

LNG(液化天然ガス)とは、具体的にどのようなものかご存じでしょうか?LNGは高効率での発電が可能なエネルギー資源として重宝しています。

この記事では、LNGの特徴や用途、そしてLPGとの違いについて、それぞれの特徴と違いを含めて紹介します。LNGが持つ数々のメリットを中心に、その魅力を詳しく掘り下げていきましょう。

LNG(液化天然ガス)とは?

四日市市 工場タンク

この章では、LNGの基本や特徴についてわかりやすく解説していきます。生活の身近にあるガスを理解していきましょう。

LNGは天然ガスを冷却して液体化したもの

「LNG(Liquefied Natural Gas:液化天然ガス)」とは、天然ガスを特定の温度まで冷却することで液体化させたものです。天然ガスを沸点(-161.5℃)以下に冷却するとLNGとなります。逆に、LNGを再び沸騰させると天然ガスの状態に戻ります。天然ガス自体は、地中深くに蓄えられた、古代の植物や生物が年月をかけて変化してできたエネルギー資源です。

天然ガスは地球に優しいエネルギー

天然ガスは化石燃料の中でもクリーンエネルギーとしての特性が優れています。炭や石油に比べてCO2の排出量が格段に少なく、環境負荷が低いからです。また、LNGに液化するプロセス中に不純物が除去されるので、硫黄酸化物や「ばい煙」といった有害物質もほとんど排出されません。

魔法瓶のような「LNG船」で輸送される

日本は天然ガスに大きく依存していますが、海に囲まれた島国のため、産出国から直接パイプラインを引くのは難しいのが現状です。そこで、天然ガスはLNGに液化させて大型のタンカーで運ばれます。LNGにすることで、天然ガスの体積は約600分の1に縮小し、大量のガスを効率よく運搬できるのです。

日本の天然ガスの価格や「都市ガス」での販売価格

ガス火のイメージ 燃料費の高騰

日本では、米国などに比べて天然ガスの価格が高いのはなぜでしょうか。それは、気体の天然ガスをLNGに液化するプロセスや、島国特有の輸送コストが影響しています。

東京ガスのデータを見ると、一般家庭の平均的な都市ガス使用量は1カ月あたり30㎥となっています。この量を基に考えると、都市ガスの平均的な費用は約7,035円90銭となります。

LPG(液化石油ガス・LPガス)との違いと共通点

LPガス ボンベ

LNGとLPGはどちらもガスですが、その性質や用途には大きな違いがあります。この章では、よく知られる「LPガス」としてのLPGとLNGの違いや共通点を、分かりやすく説明していきます。

LNGとLPGの違い

まず、原料としてLNGは液化天然ガス、LPGは液化石油ガスを使用しています。

ガスの重さでは、LNGは空気より軽いのに対し、LPGは空気より重く、LNGは空気の約0.6倍、LPGは約1.5倍の重さとなっています。火力に関してもLPGの方がLNGの約2倍となっており、その供給形態にも違いが見られます。

また、LNGは都市ガスとして地下のパイプラインを利用して供給されるのに対し、LPGはガスボンベを使用し、都市部だけでなく全国どこでも利用できます。

LNGとLPGの共通点

LNGとLPGの共通点は、どちらもガスを液化して輸送することで、密度を高めて保存を容易にする点です。また、日本にとっては輸入エネルギーであり、液化して輸送するという点でも共通しています。

LNGとLPGはともに、液化することで体積が小さくなり、輸送や貯蔵が容易になります。また、環境にやさしいエネルギー源であると言え、燃焼時に発生する二酸化炭素や窒素酸化物の量が、他の化石燃料よりも少ないのが特徴です。

どちらも多様な用途に利用されます。発電や工業用の燃料だけでなく、家庭用の調理や暖房、自動車用の燃料などにも使われています。

LNG(液化天然ガス)の使用用途

ガスコンロの炎

ここでは、LNGとは何か、その重要性や利用範囲を解説します。日本のエネルギー供給におけるLNGの役割を中心に、火力発電や都市ガス、さらに未来の展望としての利用方法について紹介していきます。

7割が火力発電に使われる

実は、輸入されるLNGの68.2%近くが火力発電の燃料として使用されています。2020年度の日本の電源構成を見ると、LNG火力発電の割合が最も多く、石炭や石油、原子力と比べてもその重要性が際立っています。

しかし、2030年の展望を考えると、既存の火力発電の割合が削減される方針となっています。それでもLNGは全体の20%程度を占めるとされ、引き続き大きな役割を果たすでしょう。

残り3割が都市ガスに使用される

LNGの用途の割合のうち、残りの約3割が都市ガスに使われています。LNG自体は無色・透明・無臭の液体ですが、ガス漏れを早く察知するために特定の匂いが加えられます。また、LNGは空気より軽いため、もしもの時は天井に向かって拡散し、地上に滞留しない特徴があり、これが事故防止に寄与しています。

液化天然ガス自動車の開発が進められている

日本でも、天然ガスを燃料とする自動車の開発が進行しています。この自動車は、燃料となる天然ガスを液体状態で超低温容器に貯蔵しているもので、現段階では、日本国内で大型トラックの実動走行試験が行われている状況です。メリットとして、CO2排出の低減や燃料コストの削減などが期待されています。

次世代エネルギー「水素」を作る際にも使用

次世代エネルギーとして知られている「水素」の製造にも、LNGが使われています。しかし、現段階では製造過程でのCO2排出はまだ課題となっており、さらなる技術開発が求められています。LNGを活用した水素エネルギーの研究は、今後のエネルギー政策の一翼を担うと期待されています。

LNG(液化天然ガス)のメリット

黒板にメリットの文字

LNGの活用は世界的に拡大していますが、その背景には数々のメリットが存在します。この章では、LNGがなぜ評価されるのか、具体的な利点とそれがもたらす効果について詳しく解説していきます。

【メリット1】二酸化炭素の排出量が少ない

LNGを燃料として使用することで、CO2の排出量は石炭と比べて約6割ほどに抑えることができます。さらに、窒素酸化物の排出も石炭の2割〜4割ほどと大幅に少なくなるのです。これは、地球環境の保護や地域の空気質改善に直結する大きな利点となっています。

【メリット2】埋蔵量が豊富で供給が安定している

LNGの埋蔵量は非常に豊富で、多くの国々で産出されています。そのため、石油のような国際情勢の変動に強く、供給の安定性が魅力です。日本は特に、オーストラリアや東南アジアからの輸入が主となっており、その他にもロシア、中東、アメリカなど多岐にわたる取引先が存在します。

【メリット3】発電効率が良い

日本のLNG火力発電は世界最高水準の効率を誇っています。この高いノウハウを東南アジアなどの国々にも導入することで、日本はその地域の経済発展にも大きく貢献しています。エネルギーを最大限に利用するこの技術は、資源を有効に使うという意味でも非常に価値があるといえます。

LNG(液化天然ガス)のデメリット

黒板にデメリットの文字

LNGには多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。LNGを活用する際の課題や注意点について解説します。

【デメリット1】輸入依存率が高い上に調達量や期間を調整しづらい

LNG事業の初期投資は大きく、このコストを回収するため事業者は15年や20年といった長期契約を買い手に求める傾向があります。その結果、輸入依存率が高くなり、柔軟な調達調整が難しくなる場合があります。

【デメリット2】転売によって需給を調整しづらい

多くのLNG取引契約には、第三者への転売を制限する条件が付いています。そのため、市場の需給バランスを転売で調整するのは困難です。これを解消するため、「LNG産消会議」が発足し、新たな市場形成に向けた議論が進められています。

【デメリット3】地震のリスクが高まる

LNGの採掘に際し、水圧破砕法という手法が使われることがあります。この方法は、過剰な採掘が地震のリスクを高める可能性があると懸念されています。ただ、これはあくまで懸念の一つであり、正式な公表は出ていません。

地球を守るためにLNG(液化天然ガス)の普及に注目しよう

LNGタンカー

LNGの利用は今後ますます増加する見込みです。特に、「天然ガスの環境調和等に資する利用促進事業費補助金」を活用した設備投資も推進されています。燃料転換は、SDGsの目標12番「作る責任、使う責任」や13番「気候変動に具体的な対策を」を実現する手段となるでしょう。

LNGの利点と課題を正確に把握し、持続可能な未来に貢献していきましょう。
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