
環境問題に取り組む企業のなかで、近年「RE100」が注目を集めています。RE100は、「自社で使用する電力を100%再生可能エネルギーにする」という目標を掲げる国際イニシアチブです。本記事では、RE100の概要や加盟企業、メリット・デメリットから加盟条件までわかりやすく解説します。中小企業向けの取り組みについても解説するので、ぜひご活用ください。
目次
RE100とは?わかりやすく解説
| 【RE100(Renewable Energy 100%)とは】 自らの事業で使用する全ての電力を「再生可能エネルギー」で賄うことを目的とした、国際的なイニシアチブのこと |
RE100は、再生可能エネルギーの導入促進とCO2排出量の削減を目的とした国際的な企業イニシアチブです。具体的な目標は、参加企業が自社の事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄うことです。脱炭素社会の実現に向けて、世界各国の企業が積極的に加盟しています。
RE100設立の背景と目的
RE100は、国際環境NGOの「The Climate Group(TCG)」により、2014年に結成されました。地球温暖化対策の一つとして、再生可能エネルギーの促進とCO2削減に取り組み、「脱炭素社会」の実現を最大目標としています。
この取り組みで重要なのは、「再生可能エネルギー市場の好循環を作ること」です。各企業が再生可能エネルギーの市場価値や必要性を発信することで、価格の低下や安定化を図れると考えています。供給側に「脱炭素」の市場ニーズを届けられれば、導入拡大を活性化でき、結果全体の好循環につながるでしょう。
そのため、影響力の大きな企業が積極的に取り組むことが、RE100全体の推進力にもなります。
脱炭素とは?カーボンニュートラルの違いや取り組みついて詳しくはこちら
RE100の国内外の主な加盟企業
RE100に取り組む企業についてご紹介します。2025年12月現在では、440社以上の企業が加盟しています。
【国別】RE100の加盟企業数
出典をもとに筆者作成
出典:CLIMATE GROUP RE100「Our members」
※2026年1月5日時点の情報です
上記は、世界の国別のRE100の加盟企業数を示したグラフです。加盟企業がもっとも多いのは日本で、95社が加盟しています。次いでアメリカが91社、イギリスが49社加盟。台湾・韓国の加盟企業数も多く、アジア企業が積極的にRE100の取り組みに参加していることがわかります。
【海外】RE100の主な加盟企業
| ・Google ・Apple ・AmericanExpress ・StarBucks ・Coca-ColaEuropeanPartners ・NIKE ・CHANEL ・BMWGroup ・Discovery,Inc. ・Airbnb |
上記は、海外の主な加盟企業です。小売業やソフトウェア、自動車、医療、レジャー、アパレルなど幅広い企業が加盟しています。中でも、もっとも多い業種はAmericanExpressやVisaなどの金融業です。そのほか、食料品や通信業などの業種も多く、日本でも広く知られるグローバル企業が多数参加しています。
RE100に加盟するメリット
RE100の最大目標は脱炭素社会への移行ですが、加盟することで企業の成長にも有利な面があります。以下、3つのメリットをご紹介します。
ESG投資において評価を得やすい
ESG投資とは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の3つの要素をふまえて企業を評価する投資方法です。近年の投資では、業績や財務状況だけでなく、環境に配慮した事業活動を行っているかも重要視されています。
RE100への加盟で、環境問題に取り組む姿勢を示すことができ、ESGを重視する投資家に対しての大きなアピール材料になるでしょう。
化石燃料の持つ構造的リスクからの脱却を目指せる
化石燃料は、産油国における地政学リスクや、炭素税・排出量取引などの制度リスクといった構造的な価格高騰リスクをはらんでいます。再生可能エネルギーに移行することで、そのリスクを低減することが可能です。
経済産業省の「エネルギー白書2025」によれば、日本のエネルギー自給率は15.3%と、G7各国でもっとも低い水準です。また、一次エネルギーの約8割を化石燃料に依存しています。企業がRE100へ加盟し再生可能エネルギー100%を目指すことは、日本のエネルギー安全保障にとっても重要な取り組みといえるでしょう。
企業のイメージ向上につながる
RE100への加盟は、環境問題に取り組む姿勢の発信材料になります。前述の通りESGを重視する投資家に対してはもちろん、消費者に対しても同様です。近年、とくにサステナブルな取り組みや商品は、世間全体の注目を集めています。「環境に配慮した企業」であることを積極的に発信することで、企業のブランドイメージの向上につながるでしょう。
そもそも、自社で使用する電力を100%再生可能エネルギーにするということは、Scope 2をゼロにする、ということです。脱炭素経営の観点で、本質的に非常に大きなメリットがあるといえるでしょう。
RE100に加盟する注意点
RE100への加盟するにあたり、注意すべきこともあります。どのような点に気を付けるべきか、詳しく見ていきましょう。
情報公開と進捗報告を行う必要がある
RE100に加盟すると、進捗報告を行う必要があります。取り組みを主導する国際環境NGOの「The Climate Group(TCG)」に対し、毎年報告を行わなければなりません。報告の準備には手間と人員を必要とするため、企業にとっては大きな負担になるでしょう。
報告内容は主に企業情報、再エネ目標、消費電力量の実績などです。報告は所定フォーマットで提出、もしくはCDP質問書にて回答します。
データ収集や社内体制構築を要するこれらの対応には、外部のサポートを活用するのがおすすめです。脱炭素経営を総合的にサポートする「e-dash」では、専門家が情報開示・報告の支援を行います。企業のニーズに合わせたサービスをご提案していますので、ぜひお気軽にご相談ください。
FIT認定を受けているものは対象外になる場合がある
「FIT認定」を受けている再生可能エネルギーは、RE100の対象外となるため注意が必要です。
「FIT認定」とは、国が定める「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)」の認定を受けたものを指します。これは、再生可能エネルギーで発電された電力を、電力会社が一定期間一定の価格で買い取る制度です。
ただし、FIT認定されたものでも、発電場所・発電方法などの情報が明記された電力(トラッキング付)であれば、RE100の対象になります。あらかじめ、利用電力の属性を確認しましょう。
RE100の加盟条件と加盟対象外企業について
ここでは、どんな企業がRE100に加盟できるのかについて解説します。具体的な項目を挙げながら説明するので、当てはまるか確認してみてください。
RE100の主な加盟条件
| ・年間消費電力量が100GWh以上であること(日本企業は「50GWh以上」に緩和) ・目標年を設定し100%再エネ化にコミットする、もしくはすでに達成していること ・自社事業で使用する電力※を再エネ化すること ・グループ全体で加盟すること ・毎年、所定のフォーマットにて進捗報告を行うこと(企業情報や目標、実績など) |
環境省「RE100について」を基に筆者作成
※GHGプロトコルで定義される次のもの:全ての電力に関連するScope 2および、発電にかかわるScope 1
上記は、RE100の主な加盟条件です。日本企業においては、日本企業では50GWh以上の年間消費電力量が求められます。また、目標年を設定して具体的に再エネ化を目指し、これをグループ全体で進めることも条件の一つです。ただし、子会社であっても、親会社と明確に分離しており、年間消費電力量が1TWh以上であれば加盟が認められます。加えて、所定のフォーマットでの企業情報や実績などの毎年の報告が必須です。
上記の通り、RE100の加盟条件は厳しく、中小企業の多くは条件を満たすことが難しいといえます。中小企業の場合は、「再エネ100宣言RE Action」という取り組みがおすすめです。以下の項目で詳しく解説しています。
中小企業向けの「再エネ100宣言 RE Action」を確認する
RE100の主な加盟対象外企業
| ・化石燃料 ・航空 ・軍需品 ・ギャンブル ・たばこ ・主要な収入源が発電事業である企業 |
環境省「RE100について」を基に筆者作成
RE100には、加盟の対象外となる業種があります。上記の業種にのみ属する企業は加盟できません。そのほか、化石燃料を推進したり、再エネ普及を妨害する活動を行ったりする企業も加盟対象外となります。また、RE100ミッションや信頼性にマイナスな影響を及ぼす活動もしてはなりません。
RE100の再エネ調達方法
| 再生可能エネルギーの定義 | 太陽光・風力・水力・地熱・太陽熱・大気中の熱その他の自然界に存する熱・バイオマス |
|---|---|
| RE100で認められている 再生可能エネルギー | 太陽光・風力・地熱・海洋(波力、潮力)・持続可能なバイオマス(バイオガス含む)・持続可能な水力 |
再生可能エネルギーとは、太陽光や風力など、エネルギー源として永続的に利用可能な非化石エネルギーのことです。RE100では、上記のエネルギーが再生可能エネルギーとして認められています。これらのエネルギーを調達するための方法は、主に以下の5つです。
| 調達方法 | 詳細 |
|---|---|
| 企業による自家発電 | ・自社所有の設備(敷地内・敷地内)から、自営線で直接調達 |
| 再エネ発電事業者との契約 | ■フィジカルPPA ・他社所有の設備(敷地内・敷地外)から、自営線もしくは系統網経由で調達 ・再エネ価値+電力価値の両方を調達 ■バーチャルPPA ・他者所有の設備(敷地外)から、再エネ価値のみ調達 ・再エネ電力証書によって取引される ・電力価値は別途調達 |
| 電力小売業者との契約 | ■プロジェクト特定契約 ・小売業者が特定のプロジェクトから調達、販売したものを購入 ■小売供給契約(再エネ電力メニュー) ・小売業者が提供する再エネ電力メニューを購入 ・再エネ電力メニューの内容は以下 >相対契約による電力もしくは自家発電の電力 >卸電力取引経由の電力 >再エネ電力証書 |
| 再エネ電力証書の調達 | ・再エネ電力証書から分離された「再エネ価値」を調達 ・電力価値は別途調達 |
| 受動的調達 | ■再エネ電力証書で裏付けられた系統から調達 ・再エネ電力証書を購入している電力供給者から調達 ・以下を満たす電力供給者(系統)から調達 >供給量と同量の再エネ電力証書を購入している >デフォルトの状態で再エネを供給している ■再エネ電力の割合が95%以上の系統から調達 ・以下特定の条件を満たす統計から調達 >統計電力の95%以上が再エネ由来の電力である >再エネ電力証書制度が存在しない国である ※現時点で日本は対象外 |
環境省「RE100について」を基に筆者作成
再生可能エネルギーの価値は、物理的な「電力価値」と、概念的な「再エネ価値(環境価値)」の2つに分けられます。再エネ価値(環境価値)のみの購入も、RE100の調達方法の一つです。
環境省「RE100について」によれば、RE100の加盟企業の調達方法は「再エネ発電事業者との契約(PPA)」と「再エネ電力証書の調達」が増加しています。
【最新】2025年3月の改訂要件
RE100では、調達方法を含めたさまざまな技術要件が定められています。2025年3月には、要件についていくつかの改訂がありました。ここでは、一つずつ解説します。
「運転開始から15年」のルール緩和
15年ルールとは、「発電設備は運転開始から15年以内のものに限定する」という決まりのことです。ただし、自家発電や再エネ発電事業者との長期契約など、いくつかの条件下では適用外になります。しかし、2025年3月の要件改訂では、次の場合でも15年を超えることが認められ、条件が緩和されました。
| ・発電設備をリパワリング(増強)した場合、リパワリング後の運転開始時点からの長期契約開始 ・国や地域の規定によって一定期間の試運転が義務付けられている場合、試運転が終了した時点からの長期契約開始 |
石炭混焼による電力の使用禁止
RE100の技術要件改訂により、石炭と混焼する電力が使用禁止になりました。これは、再生可能エネルギーへの転換を進める必要性の認知拡大のためにとられた措置です。
石炭とバイオマス、アンモニアなどの自然由来のエネルギーとの混焼は、再生可能エネルギーとして認められず、石炭以外の化石燃料についても、混焼の制限を設けることを検討されています。
証書の償却(無効化)確認の徹底
証書は、再エネ価値(環境価値)を証明するためのものです。証書を二重に使用されることを防ぐため、技術要件に証書の償却(無効化)の徹底が加えられました。2023年時点での証書の償却(無効化)がきちんと確認できている割合は、世界全体で18%に留まり、日本においては少し高いものの、34%に留まっています。
証書が正しく使用され、各企業が再生可能エネルギーへよりコミットするために、償却(無効化)の徹底が求められています。
日本企業|RE100の取り組み事例
日本企業におけるRE100の取り組み事例をご紹介します。実際にどのような企業がどのような取り組みを行っているのかを、一つずつ解説します。ぜひ参考にしてみてください。
株式会社リコー
株式会社リコーは、2017年4月に日本企業で初めてRE100に加盟しました。生産拠点における再生可能エネルギー由来の電力活用を拡大することを掲げ、2030年度には再生可能エネルギー使用率を50%まで改善することを目標にしています。
脱炭素社会、循環型社会を実現するために、リコーの販売拠点である欧米の販売会社10社が使用する電力を100%再エネ電力に切り替えることに成功しています。
大和ハウス工業株式会社
大和ハウス工業株式会社は、2018年3月にRE100に加盟しました。自社未利用地を活用した再生可能エネルギーによる発電事業の推進だけでなく、さらなる再生可能エネルギーの活用を推進するため、「EP100」に加盟しCO2排出削減に貢献しています。
RE100とEP100双方に加盟した世界初の建設・住宅業界の企業となった大和ハウス工業株式会社ですが、その背景には大和ハウスグループが、2007年から「風」「太陽」「水」といったの再生可能エネルギー資源の有効活用することを掲げていた社会問題への取り組み姿勢が挙げられます。
2018年2月に完工した「大和ハウス佐賀ビル」では、井水・太陽熱利用ハイブリッド空調システムなどを導入することで、一般建築の2倍以上のエネルギー効率に成功しています。
| 【EP100(Energy Productivity 100%)とは】 事業の使用電力の省エネ化を目的とした取り組み。 高度なエネルギー効率技術を駆使し、エネルギーコストの削減やCO2の削減、エネルギー安全保障の改善を実施します。 |
味の素株式会社
味の素株式会社は、2050年度の再エネ100%化を目標とし、2020年8月にRE100に加盟しました。
まずは中期経営戦略として、地球と環境との共存・共栄に向けて2030年度に温室効果ガス排出量を50%削減、2050年度の再エネ100%を掲げています。
具体的には、本社と全国の営業拠点で使用する電力全てに「グリーン電力証書」を購入し、環境対策に貢献しています。
他にも、ブラジルやベトナムなどの海外工場でバイオマスボイラーを設置し、サトウキビの搾りかすやもみ殻などの非可食部分や未利用部分を燃料としたエネルギーの利用を推進しています。
株式会社資生堂
株式会社資生堂は、2022年2月にRE100に加盟しました。脱炭素社会への移行に伴い、「2026年までにカーボンニュートラル」の実現を目標として、環境対策に取り組んでおります。
具体的には、以下3つの取り組みを行い、環境保全を推進しています。
・地球環境の負荷軽減
・サステナブルな製品の開発
・サステナブルで責任ある調達の推進
地球環境の負荷軽減において、資生堂の製品工場における生産工程を見直し、高効率設備の導入をしました。これにより、CO2排出量削減を行っています。
特に国内外の製品工場と研究所の建物や敷地には、太陽光発電設備の設置を促進し、国内工場では水力発電由来の再生可能エネルギーも積極的に利用しています。
中小企業向け|再エネ100宣言 RE Action
RE100について解説してきましたが、中小企業の場合は「RE100に加盟したいけど、条件が厳しくて加盟できない」と悩むケースも多いでしょう。
「再エネ100宣言RE Action」は、そのような中小企業に向けた取り組みです。企業や自治体、教育機関等において、使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを促進しています。RE100のような国際的なイニシアチブとは異なり、再エネ100宣言RE Actionは、日本国内の企業や団体に向けた新しい枠組みです。
| 再エネ100宣言RE Actionの参加条件 |
|---|
| ・2050年を期限とする使用電力の100%再エネ化を目標にし、対外的に公表すること ・消費電力量、再エネ率等の進捗を毎年報告すること ・再エネ拡大に向けた政策提言への積極的な参加に合意すること |
再エネ100宣言RE Actionへの主な参加条件は、上記の通りです。中間目標の設定やその他詳しい条件については、公式サイトをご確認ください。また、参加には年額で費用が発生します。金額は25,000円~200,000円程度で、企業や団体、またその従業員数に応じて異なります。
RE100に関するよくある質問
RE100に関するよくある質問をご紹介します。以下3つを解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
Q.RE100の読み方は?
A.RE100の読み方は「アールイーヒャク」です。「Renewable Energy 100%」の頭文字をとってRE100と呼ばれています。Renewable Energyは「再生可能エネルギー」を指します。
Q.RE100の年会費は?
A.RE100の年会費は、会員クラスによって異なります。Goldクラスでは、年会費$15,000で、イベント登壇などの特典があります。また、Standardクラスは、年会費$5,000です。
Q.JCLPとは?
A.JCLPとは、日本気候リーダーズ・パートナーシップという脱炭素社会を目指す企業グループです。日本独自の取り組みとして、2009年に発足しました。RE100への取り組み支援なども行っています。
脱炭素へ向けて、自社でできる取り組みを始めよう
RE100は、自らの事業で使用する全ての電力を「再生可能エネルギー」で賄うことを目的とした、国際的なイニシアチブのことです。再生可能エネルギーの促進、CO2削減を掲げ、脱炭素社会を目指しています。RE100に加盟することで、環境問題に取り組めるだけでなく、企業の評価やイメージの向上にもつながります。
一方で、毎年の進捗報告や情報開示、調達要件への対応といった運用面の負担もあります。
e-dashでは「脱炭素経営を加速する」をミッションに、クラウドサービスと伴走型のコンサルティングサービスを組み合わせ、脱炭素にまつわる企業のあらゆるニーズに応える支援をしています。RE100への対応や、CO2排出量データの算定・報告支援、再エネ調達まで、各社の状況に応じた最適な支援をご提案可能です。
RE100への加盟や再エネ活用に関心をお持ちの方は、ぜひお気軽にe-dashにご相談ください。
