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業界動向

【徹底解説】二酸化炭素が増えるとどうなる?原因と対策を解説

二酸化炭素が地球温暖化に大きな影響を与えることは広く認知されていますが、温暖化になった未来の詳細な予測については知られていません。今回は、二酸化炭素が増えることで起こる問題や二酸化炭素が増えている原因、日本や世界の二酸化炭素排出量、排出量を減らす取り組みについて解説します。

二酸化炭素が増えるとどうなる?

二酸化炭素排出 工場

二酸化炭素は、地球温暖化の主な原因とされている温室効果ガスの大半を占める気体です。二酸化炭素が増え続けると、地球温暖化が加速し、地球の平均気温が上昇します。

そして、地球の平均気温が上昇するともたらされるのは、異常気象の発生や地域の気候特性の変化、海水面の上昇、生態系の変化などの悪影響です。それに伴い食糧不足や水資源の枯渇、健康被害、経済格差の拡大など、私たちの暮らしに直結する問題を引き起こします。

私たちは日常生活のなかで、気付かないうちにたくさんの二酸化炭素を排出しています。そのため、二酸化炭素の排出量を削減していくためには、日常生活における習慣の見直しや、自然エネルギーの積極的な活用など、さまざまな取り組みが必要です。

はじめに、二酸化炭素の増加により温暖化が進むとどのような問題が起こるのかについて詳しく解説します。

海水面の上昇

温暖化により、北極や南極の氷河、氷床が溶け始めます。溶けた氷の水が海に流れ込むことで海面が上昇し、標高の低い土地や、サンゴ礁からなる南国の島などが水没する危険があります。

水面の上昇により影響を受けた動物や植物が、生きる場所を失われることで絶滅してしまう可能性があり、現在の生態系が連鎖的に崩れるでしょう。また、気温が1度上昇すると海水は膨張し、体積が約0.025%増えるといわれており、気温上昇による海水の体積増大もまた、海水面上昇の原因の一つです。

異常気象の進行

温暖化によって地球の平均気温が上昇すると、海や地面から蒸発する水分の量が増えます。水蒸気の量が増えれば、雨量の増加や豪雨の発生につながります。

近年、日本各地で記録的な豪雨が度々観測されており、アメリカ・カリフォルニア州では熱波に襲われ、2022年9月の気温が52度を超えました。異常気象の影響で、ほかにも洪水や干ばつ、森林火災などが世界各地で起こり、今後も多くの人の生活に影響を与えることが予想されています。

農業や漁業への影響

農作物の生育は、気温や雨量によって大きく左右されます。温暖化による気温の上昇や、雨の降らない日が長く続く日照りは農作物の不作につながります。

また、海の中でも水温の変化や海水の酸性化により、海洋生物は成長や繁殖に影響を受けます。結果として、海の生態系へ影響が及び、漁業においても獲れる魚の種類や収獲量が減少する可能性があります。

伝染病の発生

気温の変化によって、動物は生息エリアの移動を余儀なくされます。例えば、デング熱やマラリアを媒介する蚊の分布が広がり、発生数も増加する可能性があります。また、上下水道が整備されていない国や地域では、温暖化の進行による水温上昇で感染症の原因となる菌やウィルスが増加することも指摘されています。

食糧難へ

地球温暖化によって気候変動が起こると、世界各地で自然災害が増えることが想定されています。自然災害は、穀物の生産量の低下や病害虫などによる被害を引き起こし、世界的に深刻な食糧難を招きます。日本でも食料の約6割を輸入に頼っているため、世界の食料難から受ける影響は深刻です。

二酸化炭素が増えている原因

疑問 原因

では、なぜ二酸化炭素の排出量は増えているのでしょうか。すべては人間の活動に起因していますが、大きく3つの理由に分けられます。

1つ目は、産業の発展によるものです。1800年代後半の産業革命以降、石油や石炭、天然ガスを利用し、蒸気や電気の力を利用するようになりました。化石燃料を燃やすと二酸化炭素が排出されるため、世界では物の生産と物流のためにたくさんの二酸化炭素を排出するようになりました。

2つ目は社会が急速に発展したことです。乗用車によるガソリンの使用や、暖房のために灯油を使用します。世界的に電化の流れが進んでいますが、電力を生み出す発電所も化石燃料への依存度が高いため、二酸化炭素の排出は続いています。

3つ目は、森林面積の減少です。ライフスタイルの変化により、人々が田舎から都会で働くようになると、農業用地が余って転用されるようになりました。また、生活に必要な燃料用にも大量の木材が伐採されています。さらに、近年では森林火災も多く、アマゾン川流域やカリフォルニアの山火事で甚大な被害が出ています。このような森林の減少により、二酸化炭素の吸収量も比例して減少しています。

日本の二酸化炭素排出量とその内訳

割合 内訳

2019年の日本の二酸化炭素排出量は11億800万トンでした。内訳は、下記のように部門ごとに分けられています。

〇運輸部門 2億600万トン(20%)

〇業務その他部門 1億9300万トン(19%)

〇家庭部門 1億5900万トン(15%)

〇産業部門 3億8400万トン(37%)

〇エネルギー転換部門 8620万トン(8%)

最も排出量が多いのは産業部門の37%となっており、そのなかでは鉄鋼業や化学工業、機械製造業が大部分を占めています。また、次いで排出量の多い運輸部門の内訳では、自家用自動車が46%で貨物自動車が37%の排出量を構成しています。気になる家庭部門では、22%が暖房によるもの、21%が給湯のため、45%が照明やその他家電製品利用による排出です。

1人あたりの二酸化炭素排出量

二酸化炭素の排出量を算出し始めた1990年以降、2007年までは一人当たりの二酸化炭素の排出量は増加の一途をたどっていました。しかし、日本の人口は減少傾向にあり、それと共に現在の二酸化炭素排出量は減少傾向です。

2018年のデータで世界との比較を見てみましょう。日本では一人当たりの二酸化炭素排出量は年間約8.5トン/人で世界5位でした。これは国別のランキングではトップの中国を、一人当たりランキング(中国は6位)では超えている形です。

家庭から出る二酸化炭素量の内訳として最も多いのは、電力使用によるもので全体の45.1%、次いでガソリンによる排出が25.1%となっています。ほかにも、キッチンやお風呂でお湯を出すとき、家庭ごみをごみ処理場で燃やすとき、水の下水処理の際にも二酸化炭素は排出されます。日常的に便利で衛生的な生活を送れている生活システムの背景で、たくさんの二酸化炭素を排出しています。

二酸化炭素を減らす取り組み

風力発電 再生可能エネルギー

地球温暖化は、私たち人類の活動によって排出されている温室効果ガス、特に二酸化炭素が大きな要因です。そのため、二酸化炭素の排出を減らそうと、世界各国でさまざまな対策が実施されています。ここでは、世界での取り組み、そして自分の身近なところから始められる取り組みについて説明します。

世界の取り組み

全世界共通の目標を決めるため、2015年に国連の気候変動についての取り決めを行う会議(COP21)にてパリ協定が結ばれました。パリ協定で定められた目標には、下記のような内容が含まれています。

〇世界の平均気温を産業革命前比+1.5度に抑える努力をする。

〇2020から2030年までに世界の二酸化炭素排出量の45%を削減する。

〇二酸化炭素の排出量をできる限り早くピークアウトし、21世紀後半には温室効果ガス排出量と森林などによる吸収量のバランスを取る(カーボンニュートラル)。

上記の目標を達成するための具体的な施策は、各国に委ねられています。ドイツでは再生エネルギーを専門に提供する複数の企業が再エネ利用を牽引しており、イギリスでは洋上風力発電を活用しているほか、2024年には石炭による火力発電から撤退すべく準備を進めています。デンマークには、すでに再生可能エネルギー100%で暮らしている村があるなど、各国の取り組みが形になり、結果としても現れています。

日本でも再生可能エネルギーの導入は拡大しています。その成果もあり、2013年から2019年の二酸化炭素排出量削減率では、イギリスに次いで世界で2番目でした。

アメリカやEUと同様、日本でも2050年にはカーボンニュートラルを目標としています。そのためには企業だけではなく、一人一人の自覚ある行動が重要です。

自分でできる身近な取り組み

家庭での二酸化炭素排出量の原因として最も大きいのは、電気の使用です。次いで、ガソリンの使用が続いています。それぞれの内訳の通り、誰でも、二酸化炭素排出量削減に貢献することが可能です。

それぞれが簡単な節電を心掛けることで、全体に与える影響は大きくなります。使わない照明の消灯や、服の工夫で冷暖房の設定温度を調整してみてください。また、シャワー中にお湯を流し続けないことも、節電につながります。家電を買い替えるときは、省エネ家電に切り替えるといった選択肢もあります。

車利用が多い方は、交通手段を自転車や公共交通機関の利用に変えると、二酸化炭素の排出量削減につながります。可能であれば、ガソリン車から電気自動車への切り替えも検討してみてください。

さらに、服やペットボトルの廃棄を減らす、エコバッグを利用するなど、小さな取り組みの積み重ねが、二酸化炭素を減らすために必要不可欠です。

小さなことからでも、二酸化炭素を減らすことに取り組もう

地球

二酸化炭素が増えると、地球の気温上昇を招き異常気象を引き起こします。さらに、地球で暮らす生物の生態系を壊し、世界の人々の暮らしに大きな打撃を与えることになります。

世界の国々がそれぞれ、二酸化炭素の排出量を減らす再生可能エネルギーへ切り替える、ガソリン車を減少させて電気自動車を増加させる、プラスチック製品の製造削減するなど、さまざまな対策が求められています。

生活のなかで電力やガソリンの使用を控え、石油を使う商品の消費や廃棄を減らす工夫をするといった努力で、地球の未来をよりよいものに変えることができます。

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