「グリーン電力」という言葉を耳にしたことはありますか?
近年、環境問題に対する意識が高まる中で、グリーン電力という選択肢が多くの人々に注目されています。それは、再生可能エネルギーを利用して発電された電気を指し、一般的な電気よりも地球環境に優しいとされています。単に再生可能エネルギーと何が違うのでしょうか。
実際に「グリーン」と認証されるための制度はどのようなものなのか。この記事では、グリーン電力のメリットやその特徴、認証制度について詳しく解説していきます。
目次
グリーン電力とは?
グリーン電力の意味について、具体的な定義などは知らないという方も多いかと思います。この章では、環境に優しいエネルギーとしての「グリーン電力」に焦点を当てて説明していきます。「再生可能エネルギー」との違いも解説しています。
近年、サステナビリティへの関心の高まりとともに、このグリーン電力の重要性も増しています。この機会に特徴を理解していきましょう。
「再生可能エネルギー(グリーンエネルギー)」の違い
グリーン電力と再生可能エネルギー、聞き慣れたこれらの言葉ですが、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
再生可能エネルギーとは、太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱など、自然界に存在する熱やバイオマスから得られるエネルギーそのもののことを指します。また、再生可能エネルギーは「グリーンエネルギー」とも称されることがあります。
一方で、グリーン電力とは、これらの再生可能エネルギーから生成された電力を指す言葉です。
「クリーンエネルギー」との違い
クリーンエネルギーという言葉もよく聞かれますが、こちらはその名の通り環境への負担が少ないエネルギーのことを指します。ただし明確な定義は存在せず、必ずしも再生可能エネルギーである必要はありません。
また、CO2排出量がないため、一部では原子力もクリーンエネルギーの一部として考える向きもあります。
グリーン電力の主な種類
この章では、グリーン電力の主要な発電手段とその特徴について、具体的に紹介していきます。太陽光発電から地熱発電まで、各種の発電方法のメリットとともに、理解を深めていきましょう。
太陽光発電
太陽光発電は、太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換する技術です。その最大のメリットは、CO2排出がなく、環境に優しい発電方法であることです。また、設置が比較的容易で、持続的なエネルギー供給が期待できます。
水力発電
水力発電は、高低差のある場所を水が流れる際のエネルギーを利用して発電する方法です。この発電方法のメリットは、水という再生可能な資源を利用するため、安定して大量の電力を供給することができる点にあります。
風力発電
風力発電は、風の力を活用してタービンを回転させ、電力を生成する技術です。この発電方法のメリットとして、風は地球上に存在するもののため、持続的でエコロジー的な発電が可能です。
地熱発電
地熱発電は、地下の熱エネルギーを利用して発電を行う方法です。メリットは、気象の影響を受けず、年間を通して安定したエネルギー供給が期待できる点にあります。
バイオマス発電
バイオマス発電は、植物や動物の有機物をエネルギー源として発電する技術です。これにより、再生可能な資源を利用しながら、廃棄物の有効活用ができるというメリットがあります。
グリーン電力の「環境価値」を認証する制度
グリーン電力の「環境価値」を認証・可視化する制度について詳しく解説していきます。どのようにしてその価値が市場で取引され、消費者や事業者にどういったメリットがもたらされるのか、一緒に見ていきましょう。
環境価値とは?
グリーン電力は、電気そのものの価値(部屋を明るくする・スマホの充電をするといった電気本来の役割)に加え、「二酸化炭素(CO2)の排出がない」「環境に優しい」という価値も持っています。
このような環境負担が少ない特性から生まれる付加的な価値を「環境価値」と呼びます。
グリーンエネルギー = 電気自体の価値 + 環境価値(グリーン電力証書) |
グリーン電力証書制度(システム)
グリーン電力の環境価値を証書として明確にする「グリーン電力証書制度」があります。これは、発電事業者が生成したグリーンエネルギーの価値を、電気の役割と環境価値に分けて取引できるようにするものです。事業者が証書を販売し、自治体や企業がこれを購入することで、環境貢献をアピールできます。
グリーン・エネルギー・マーク(グリーンエネルギー認証)
グリーン電力の環境価値を証書として明確にする「グリーン電力証書制度」があります。これは、発電事業者が生成したグリーンエネルギーの価値を、電気の役割と環境価値に分けて取引できるようにするものです。事業者が証書を販売し、自治体や企業がこれを購入することで、環境貢献をアピールできます。
環境価値を可視化した制度は他にもある
グリーン電力証書以外にも環境価値を認証する制度はあります。例として、「J-クレジット制度」があり、これは省エネや再生エネルギー活用によるCO2排出削減を認証するものです。また、「非化石証書」は、非化石電源での発電に関連するCO2排出削減の価値を証明するものとして利用されています。
グリーン電力・証書の購入方法
ここでは、グリーン電力証書の購入方法を中心に、どのようにして環境価値を確認し取得できるのか、詳しく説明していきます。具体的な発行事業者や価格、さらには購入の手続きや利用方法についても触れていきます。
「グリーン電力証書」の購入方法
グリーン電力証書の購入は、環境への配慮を示す手段として多くの事業者や団体に取り入れられています。購入は、公式のウェブサイトや取り扱い事業者からの申し込みを通じて行うことができ、購入後は、環境貢献を示す証として使用することができます。
グリーン電力証書の発行事業者・販売価格
グリーン電力証書の購入は、一般財団法人日本品質保証機構が公表している発行事業者から行うことができます。一例を挙げると、日本自然エネルギー株式会社や特定非営利活動法人太陽光発電所ネットワークなどが発行しています。
価格については、例えば最小販売単位が1,000kWhで、1,000kWh以上を購入する場合、1kWhあたり7円(税別)などで販売されています。
東京電力など、導入支援をしている小売事業者からの購入が簡単
グリーン電力証書の購入は、直接行うこともできますが、小売事業者の提供する特定のメニューを選択することで、通常の電気と証書を組み合わせて利用することも可能です。
例えば、東京電力の「グリーン電力証書提供サービス」やEnnetの「EnneGreen®」などが、このようなメニューを提供しています。これにより、環境貢献をより手軽に行うことができます。
主な取扱企業と通常電力との料金の比較
この章では、グリーン電力の供給を行っている企業の料金プランの例を挙げながら、グリーン電力ではない通常の電気料金と比較し、それぞれの特徴やメリットを紹介していきます。
auでんき「ecoプラン」
auでんきの「ecoプラン」は一般家庭を対象とした料金プランで、旧一般電気事業者の「従量電灯B」相当の価格設定になっています。
このプランの特徴として、電力サービスの売り上げの2%相当額が環境保全団体に寄付される点が挙げられます。そのため、環境への寄与を意識しつつ電気を使用することができます。
東京ガス「さすてな電気」
東京ガスが提供する「さすてな電気」は、一般家庭向けのプランで、東京電力EPの「従量電灯B」または「従量電灯C」と同じ料金設定となっています。
全てのプランで再エネ指定の非化石証書を活用し、実質的に再生可能エネルギー100%の電気を供給しています。これにより、環境負荷の減少に貢献しながら電気を使用することが可能となります。
しろくま電力(ぱわー)
しろくま電力(ぱわー)は、afterFITの電力小売りサービスとして、グリーンエネルギーの課題解決に取り組む一般家庭向けのプランを提供しています。旧一般電気事業者の「従量電灯B」相当の価格設定で、全プランが再エネ指定の非化石証書を活用しています。
これにより、実質的に再生可能エネルギー100%の電気を家庭で使用することができます。
グリーン電力のメリット
グリーン電力は再生可能エネルギーを主とした発電方法で、地球環境や企業価値の向上に大きく寄与します。この章では、グリーン電力のメリットを更に詳しく説明していきます。
再エネからの発電のため地球環境を守ることに繋がる
グリーン電力の大きな特長は、再エネとして知られる再生可能エネルギーからの発電により、地球環境を守ることができる点です。そもそも再生可能エネルギーの定義として、二酸化炭素を排出しない、そして資源が枯渇しないエネルギーを指すため、そこから得られるグリーン電力は地球に優しい電力と言えます。
グリーン電力証書制度の利用で企業価値の向上に繋がる
グリーン電力証書制度を利用することで、発電設備を持たない企業や自治体も再生可能エネルギーを活用できることになり、CO2削減や環境改善に貢献できます。
例えば、企業が使用した非再生可能電気に、グリーン電力証書を組み合わせることで、実質的なグリーンエネルギーを使用しているとして扱われます。
グリーン電力のデメリット
グリーン電力の利点を理解する一方で、デメリットも知っておくことも重要です。この章では、その点を詳しく取り上げます。
再エネからの発電のため発電量が変動・発電コストが高い
グリーン電力の課題として、再エネは天候に左右されるため、発電量が変動しやすく、また、初期導入や運用コストが高いという点が挙げられます。安定した供給のためには、発電燃料として使われる再生可能エネルギーの安定供給が課題となっています。
証書を販売する発電事業者には値下がりのリスクがある
グリーン電力証書の売却価格は市場の需要供給によって変動します。このため、発電事業者にとっては、相場が下落してしまうと、期待していた利益を得られないというリスクが存在します。
まとめ
グリーン電力は、地球環境の保護と企業価値の向上の両面で非常に大きなメリットを持っています。再生可能エネルギーからの発電は二酸化炭素(CO2)排出を削減し、企業や自治体が環境貢献を強化できるチャンスを提供します。また、個人でも電力会社のプランなどで、生活で意識しなくとも、グリーン電力を使用できるため、環境保護活動への一歩として活用することができるはずです。
ただ、天候の影響を受ける発電量の変動や証書の価格変動などのリスクも存在するため、これらのデメリットを理解して、計画的に導入を検討することが必要です。
グリーン電力を適切に利用することで、持続可能な未来や地球資源を守るきっかけにしてみるとよいでしょう。
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