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脱炭素

【初心者向け】脱炭素とは?カーボンニュートラルとの違いや企業の取り組み事例を解説

近年注目を集める脱炭素について、言葉は知っているけど、詳しくはわからないという方も多いでしょう。本記事では、脱炭素の意味やカーボンニュートラルとの違い、脱炭素に取り組むメリット・デメリットについて解説します。また、脱炭素に向けた具体的な施策や企業の取り組み事例もご紹介。これから脱炭素の取り組みを検討する企業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

脱炭素とは?

【脱炭素とは】
地球温暖化の原因となっている温室効果ガスの排出を可能な限り削減する考え方

脱炭素とは、地球温暖化の原因である温室効果ガスの排出を減らし、気候変動リスクを抑えるための取り組みです。

脱炭素による温室効果ガスの削減対策を講じず、現在の排出ペースが続けば、21世紀末には世界の平均気温が産業革命前と比べて最大で約4℃上昇する可能性も指摘されています。その結果、農業生産や経済活動、エネルギー・資源の供給への深刻な影響が懸念されているのが現状です。

こうした気候変動リスクを防ぐためにも、脱炭素に向けた取り組みは不可欠であり、2015年に採択されたパリ協定のもと、世界共通課題として温室効果ガスの削減が進められています。

炭素とは?意味や取り組みについて詳しくはこちら

脱炭素とカーボンニュートラルの違い

脱炭素とカーボンニュートラルの違い

カーボンニュートラルとは、二酸化炭素などの温室効果ガスについて、排出量と吸収・除去量を差し引いて実質ゼロにすることを指します。排出を完全にゼロにするのは現実的に難しいため、排出せざるを得なかった分を森林吸収や技術による除去で相殺し、中立に保つという考え方です。

一方、脱炭素は、温室効果ガスの排出そのものをできる限り減らす取り組みです。脱炭素の実践によって排出削減を積み重ねることが、結果的にカーボンニュートラルの達成につながります。

カーボンニュートラルの意味や考え方について詳しくはこちら

脱炭素に向けた国内での2030年・2035年目標

日本では2020年、当時の菅義偉首相が「2050年カーボンニュートラル宣言」を行い、2050年までに国内の温室効果ガス排出量を実質ゼロにする方針を示しました。

その実現に向け、2030年や2035年といった節目の年ごとに、温室効果ガス削減に関する具体的な国内目標が設定されています。

【日本の温室効果ガス削減目標】

内容
2030年温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指し、さらに50%の高みに向けて挑戦を続けていく
2035年温室効果ガスを2013年度から60%削減することを目指す

脱炭素に欠かせない主な4つの取り組み

脱炭素に欠かせない主な4つの取り組み
省エネの推進
再生可能エネルギーの活用
創エネによるエネルギーの自給
カーボンオフセットの導入

脱炭素を進めるにあたっては、いくつかの代表的な取り組みがあります。ここでは、企業が検討・実施しやすい4つの施策について紹介します。

省エネの推進

省エネは、使用するエネルギーを効率化することで、排出量を削減する取り組みです。設備更新やBEMS(ビル・エネルギー管理システム)の導入、LED照明への切り替え、空調の適切な制御などにより、エネルギー使用量を抑えることができます。

これらの施策は、排出量の削減と同時に、エネルギーコストの削減にもつながる点が特長です。

再生可能エネルギーの活用

再生可能エネルギーの活用は、太陽光や風力などの自然エネルギーを利用し、化石燃料への依存を減らす取り組みです。

自社で太陽光発電設備を設置する方法のほか、非化石証書の調達やグリーン電力の購入やPPA契約など、設備を保有せずに再エネを活用する方法もあります。

再生可能エネルギーについて詳しくはこちら

創エネによるエネルギーの自給

創エネとは、再生可能エネルギーを自社で作ることにより、エネルギーの自給を目指す取り組みです。オンサイト太陽光やバイオマス発電、燃料電池などが代表例です。電力を外部に頼らず確保できるため、エネルギー自給率の向上につながります。

また、二酸化炭素排出量の削減に寄与するだけでなく、災害時への備えとしても有効です。省エネや蓄エネと組み合わせることで、安定したエネルギー利用と脱炭素の両立が期待できます。

カーボンオフセットの導入

省エネや再エネ導入などの削減努力を行っても、温室効果ガスの排出を完全にゼロにするのは容易ではありません。そこで有効なのがカーボンオフセットです。

カーボンクレジットの購入やJクレジット制度の活用、植林の支援などを通して、自社以外で生まれた削減・吸収量により排出量を相殺(オフセット)します。これらはカーボンニュートラルの達成を後押しする手段の一つです。

カーボンオフセットについて詳しくはこちら

脱炭素に向けた企業の取り組み事例

SONY
明治ホールディングス
丸井グループ
積水ハウス
ASKUL

脱炭素は業種や規模に関わらず、すべての企業が直面する課題です。ここでは、先進的な企業の取り組み事例について紹介します。

SONY

主な取り組み
・製品の省エネ化・省資源化
・再生可能エネルギーへの転換
・サプライチェーンとの協業による環境負荷のさらなる低減

ソニーは、バリューチェーン全体で脱炭素を進める先進的な企業です。気候変動リスクの高まりを受け、Scope 1~3を含むネットゼロ達成目標を2050年から2040年へ前倒ししました。

環境計画「Road to Zero」の中間目標である「Green Management 2025」では、製品の省エネ・省資源化、再エネ導入の拡大、サプライチェーンとの協働を重点に掲げています。製品の消費電力削減やプラスチック使用量削減など、事業活動全体で脱炭素を具体化している点が特徴です。

明治ホールディングス

主な取り組み
・省エネ・高効率設備の導入
・環境に配慮した物流の推進
・サプライヤーや生産者と連携した排出量削減

明治ホールディングスは、気候変動を重要な経営課題と位置づけ、バリューチェーン全体で脱炭素に取り組む企業です。

省エネや再生可能エネルギー導入を進め、Scope 1・2では2019年度比で2030年度に50%以上削減、2050年にScope 3も含めネットゼロを目指しています。さらにカーボンフットプリント算定を通じて温室効果ガス排出量を見える化し、削減の優先順位付けに活用しているのも特徴です。

2025年にはSBT Net-Zero・FLAG認定を取得し、科学的根拠に基づく目標のもと、持続可能な食品産業の実現を進めています。

SBTについて詳しくはこちら

ネットゼロ(Net zero)について詳しくはこちら

丸井グループ

主な取り組み
・カーボンフットプリントの導入
・カーボンオフセットの実施
・再エネ発電所の維持・開発を支援する「みんなで再エネ」プロジェクト

丸井グループは、日本の小売業の中でも早期から脱炭素に取り組んできた企業です。2018年に小売業として初めてSBT認定を取得し、RE100やTCFDにも相次いで参画しました。

2030年にはScope 1・2を2017年3月期比で80%、Scope 3を35%削減し、2050年にはネットゼロ達成を目指しています。

再エネを顧客とともに広げる「みんなで再エネ」や、カーボンフットプリントの店頭表示、商品の販売を通じたカーボンオフセットなど、生活者参加型の取り組みが特徴です。

RE100について詳しくはこちら

積水ハウス

主な取り組み
・事業活動における二酸化炭素排出削減
・環境配慮型の生産・供給体制の強化
・住宅からの二酸化炭素排出削減の推進

積水ハウスは、住まいづくりを通じて脱炭素社会の実現を牽引する住宅メーカーです。2030年までに、Scope 1・2を2013年度比で75%削減する目標を掲げています。

同社が普及を進めるZEHとは、省エネと創エネを組み合わせ、エネルギー消費量を実質ゼロにする住宅のことです。2024年度では、普及率96%を達成しています。また、全国の5工場に大規模な太陽光発電設備を導入するなど、再生可能エネルギーの活用にも積極的に取り組んでいる点が特徴です。

ASKUL

主な取り組み
・事業所や物流センターでの再生可能エネルギー活用
・EV導入による物流の脱炭素化
・排出量の見える化と効率的な削減

アスクルは、ネットゼロ実現に向けて、事業活動からサプライチェーン全体までを見据えた脱炭素経営を進めています。

2016年に「2030年CO₂ゼロチャレンジ」を宣言し、事業所や物流センターの排出削減を推進するとともに、SBT認定を取得しました。物流分野では電気自動車の導入や排出量の見える化を進め、原材料調達から配送までの二酸化炭素排出量を継続的に算定しています。

商品単位でのカーボンフットプリント算定にも取り組み、削減効果の高い領域を特定しながら、効率的な脱炭素化を図っています。

企業が脱炭素に取り組むメリットとデメリット

企業が脱炭素に取り組むメリットとデメリット
メリットデメリット
・投資家・取引先・消費者からの評価につながる
・政府が実施する補助金制度を活用できる
・光熱費などの削減につながる
・規制・価格変動など事業リスクの低減につながる
・人材確保・従業員のエンゲージメント向上につながる
・設備導入のための初期費用がかかる
・脱炭素を推進するための人材確保が必要
・排出量算定、情報開示などで社内負担・業務負荷が増える

脱炭素の取り組みには、メリットとデメリットの両面があります。

主なメリットは、環境配慮企業として投資家・取引先・消費者からの評価が高まる点です。投資先として選ばれやすくなるだけでなく、取引先からの信頼向上や、消費者からのブランド評価の向上にもつながります。また、人材確保や従業員のエンゲージメントの向上といった効果も期待できるでしょう。さらに、補助金の活用や光熱費削減などのコスト面のメリットに加えて、脱炭素に関する規制強化や価格変動へのリスク対策にも有効です。

一方で、設備導入に伴う初期費用や専門人材の確保、排出量算定や情報開示による社内負担の増加などが課題です。しかし、これらは将来への投資といえます。中長期的には企業価値向上につながるメリットの方が大きいといえるでしょう。

脱炭素に関するよくある質問

Q.企業が脱炭素に取り組まない場合のリスクは?
Q.脱炭素に向けて、企業は何から始めればよい?
Q.カーボンニュートラルとSDGsの違いは?

脱炭素についての情報を得るなかで、新たな疑問をもつ方も多いでしょう。ここでは、よくある疑問について、回答をわかりやすくまとめています。

Q.企業が脱炭素に取り組まない場合のリスクは?

A.企業が脱炭素に取り組まない場合、取引先から選ばれなくなるリスクや、投資・融資を受けにくくなるリスクがあります。環境配慮への姿勢は企業評価やブランドイメージにも影響するため、中長期的な競争力の低下につながる可能性があります。

Q.脱炭素に向けて、企業は何から始めればよい?

A.脱炭素に向けて企業がまず取り組むべきなのは、自社の温室効果ガス排出量の把握です。Scope 1・2を中心に現状を可視化したうえで、省エネ施策や再生可能エネルギーの導入など、実行可能な対策から段階的に進めていくことが重要です。また、中長期的な目標設定や社内体制の整備を行うことで、無理なく継続できる脱炭素戦略につなげられるでしょう。

Q.カーボンニュートラルとSDGsの違いは?

A.カーボンニュートラルとSDGsの違いは、目的と対象範囲にあります。カーボンニュートラルは、温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目指す考え方です。一方SDGsは、環境に加え、社会・経済課題も含む持続可能な社会の実現を目的とした国際目標を指します。

脱炭素を正しく知り、できることから始めよう

脱炭素を正しく知ることは、社会の動きや自分・自社の立ち位置を理解する第一歩です。気候変動への対応は将来の課題ではなく、企業活動や私たちの暮らしにすでに影響を及ぼしている「いま、取り組むべき課題」といえます。

脱炭素は、特別な企業や専門家だけが担うものではありません。エネルギーの使い方を見直す、無駄を減らす、情報を把握するなど、誰にでも始められる行動があります。メリットとデメリットを理解したうえで、できることから段階的に進める姿勢が重要です。

まずは正しい知識を持ち、身近な選択や業務改善につなげていくことが、持続可能な社会への確かな一歩につながっていくでしょう。

弊社の「e-dash」は「脱炭素を加速する」をミッションに、クラウドサービスと伴走型のコンサルティングサービスを組み合わせ、脱炭素にまつわる企業のあらゆるニーズに応える支援をしています。脱炭素への取り組みを強化したい企業の皆さまは、ぜひe-dashにご相談ください。

以下の資料では、企業が脱炭素に取り組むべき理由や削減施策について、さらに詳しく解説しています。こちらもぜひ参考にしてください。

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